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第四章 君と一緒に生きていきたい
無人の星 2
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頭上に太陽が昇り、影が短くなった。日の出と共に気温は上昇し、呼吸するのも息苦しい。辺りは砂と岩ばかりの風景が続く。植物らしいものはなく、生き物達は日暮れまでじっと隠れて暑さをやり過ごす。
脱出ポッドが落ちたのはこの辺り、と目視で探しながらホバースクーターを飛ばす。熱風に長時間を身をさらしていると、ここで暮らすオッド達でも、暑さには慣れているとはいえ、油断すると命を落とす。もし、ポッドの中の人が不用意に外へ出たら……長くはもたないだろう。
「お、見つけた~」
遠くにポッドを見つけたオッドは、近くの岩影にスクーターを止めた。ポッドの様子を伺う。脱出用のポッドは自動運転で地表に問題なく降りたようだ。だが、砂の上のためか、重みで左右のバランスを崩し傾いている。
「付近に人影はなし。」
スクーターを振動させて砂に潜らせ、見えないように隠す。ポッドにゆっくり近づきながら観察していると、扉が開いて、中から人が出てきた。
「お?……大人……と……子ども?……あ、……倒れた……やべっ!」
慌ててスクーターを起動させ呼び寄せた。遠隔操作も出来る優れものは彼の自慢の一品だ。
気を失った二人をスクーターに無理やり乗せ、ポッドの中を確認する。中の背負子を拾い、ふと目に留まった小さな箱を掴むと、ピョンと飛び降りる。それからホバースクーターを飛ばして、住居まで戻った。
出迎えたサノと一緒に意識のない二人を運び、共用の広い部屋に寝床を作り寝かせていると、薬師がやって来て診療を始めた。
「軽い火傷と脱水症状。あと彼は足の古傷が良くないね。こっちの彼女は健康そのものさぁ。若干栄養不足かな。」
「ポッドの中に低温睡眠装置があった。」
「長距離運航船かあ……海賊船じゃなかったのか?」
「さあね、起きたら聞いてみるさ。」
脱出ポッドが落ちたのはこの辺り、と目視で探しながらホバースクーターを飛ばす。熱風に長時間を身をさらしていると、ここで暮らすオッド達でも、暑さには慣れているとはいえ、油断すると命を落とす。もし、ポッドの中の人が不用意に外へ出たら……長くはもたないだろう。
「お、見つけた~」
遠くにポッドを見つけたオッドは、近くの岩影にスクーターを止めた。ポッドの様子を伺う。脱出用のポッドは自動運転で地表に問題なく降りたようだ。だが、砂の上のためか、重みで左右のバランスを崩し傾いている。
「付近に人影はなし。」
スクーターを振動させて砂に潜らせ、見えないように隠す。ポッドにゆっくり近づきながら観察していると、扉が開いて、中から人が出てきた。
「お?……大人……と……子ども?……あ、……倒れた……やべっ!」
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