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第四章 君と一緒に生きていきたい
無人の星 1
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「何か、来た。」
頭に三角耳、小柄な身体、長いふさふさの尻尾。一目見て獣人とわかる少年が部屋に走り込んできた。
「何かって?」
「わかんない、オッちゃん呼んでこいって言われた。」
はいはい、と立ち上がると、少年を連れて部屋を出る。廊下をしばらく歩くと周囲の壁は石だらけとなり、分岐点へ着く。ここは各家への分岐点で、岩をくりぬいて作られた広い空間である。中央に原始的な岩肌には似合わない電波探査機が、誰でも操作ができるように無造作に設置されている。
「どした~?サノ」
「オッド。これ見てくれ。」
モニターを覗き、場所を変わったオッドが操作盤に手を伸ばす。距離、スピード、大きさ、材質を素早く分析する。
「あーこれ、脱出用ポッドだわ。救難信号は出てないか?」
「でてない。近くに船も…ない……」
「ちょっと、範囲広げて……」
表示範囲を広げるとモニターに二つの点が見えた。片方の標識は警備隊。もう片方は認識不明だ。
「ああ、警告信号出してるわ……あ、捕まった。」
「海賊でも捕まえたかな?」
「どの辺りから追ってきたのかな、ここまで来るのはめずらしいよな。」
「だね。無人の星なら見つからないと思って、捕まる前に脱出したのかな。」
「ま、警備隊が気付いて捕まえに来るだろ。」
「念のために落ちた場所確認な。」
「了解。」
無人の星にやって来るのは犯罪者か、遭難者くらいだろう。今回はどちらだろうとオッドは思った。遠くから様子を伺って、前者なら静観し、後者なら救助だなと、暑さと砂から身を守るマントとゴーグルをみにつけ、リュックを背負いホバースクーターに乗って外へ出た。
頭に三角耳、小柄な身体、長いふさふさの尻尾。一目見て獣人とわかる少年が部屋に走り込んできた。
「何かって?」
「わかんない、オッちゃん呼んでこいって言われた。」
はいはい、と立ち上がると、少年を連れて部屋を出る。廊下をしばらく歩くと周囲の壁は石だらけとなり、分岐点へ着く。ここは各家への分岐点で、岩をくりぬいて作られた広い空間である。中央に原始的な岩肌には似合わない電波探査機が、誰でも操作ができるように無造作に設置されている。
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「オッド。これ見てくれ。」
モニターを覗き、場所を変わったオッドが操作盤に手を伸ばす。距離、スピード、大きさ、材質を素早く分析する。
「あーこれ、脱出用ポッドだわ。救難信号は出てないか?」
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「ああ、警告信号出してるわ……あ、捕まった。」
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「だね。無人の星なら見つからないと思って、捕まる前に脱出したのかな。」
「ま、警備隊が気付いて捕まえに来るだろ。」
「念のために落ちた場所確認な。」
「了解。」
無人の星にやって来るのは犯罪者か、遭難者くらいだろう。今回はどちらだろうとオッドは思った。遠くから様子を伺って、前者なら静観し、後者なら救助だなと、暑さと砂から身を守るマントとゴーグルをみにつけ、リュックを背負いホバースクーターに乗って外へ出た。
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