白の衣の神の子孫

キュー

文字の大きさ
上 下
55 / 81
おまけの話

一緒に遺跡を見に行こう

しおりを挟む
  一年ぶりに、南部の街に、遺跡を調査するため、助手を二人連れてやって来た。考古学研究の教授とか、博士と言えば聞こえがいいが、俺の場合は何の事はない。年中ふらふらどこかへ出かけて行って、土を掘り返してたまに論文書いて、たまに教鞭をとったり研究発表するくらいだ。

「先生、明日から、ジャングルに入りますね。俺、遺跡、楽しみです!」

  宿の部屋で、期待に満ちた顔の、持ち物表にチェックを付けてベッドの上に必要なものを並べている助手のウォーリーが話しかけてきた。金髪に灰色の瞳、人族で年若い彼との付き合いは、まだ三年ほどで、意欲に溢れている。将来が楽しみな若者だ。

「ウォーリー、これも入れとけ。」

  彼の横で、同じように明日の準備中だったもう一人の助手のピケがウォーリーに救急セットを放り投げた。

「先輩、もう救急セットは入れましたよぉ?」

  ピケは一睨みして、いいから入れとけと言った。彼はもう十年ほど一緒に行動している獣人族で、白黒まだらの毛だ。共同研究者なのだが、肩書は助手。彼は学会やら、論文やらが面倒臭いといって、その辺りの補助金申請とか、発表とかは俺に押し付けてくるのだ。

「ウォーリー、明日から入る森には毒虫や、普段出会わない獣もいるんだ。ピケのおすすめの蛇毒の血清と解毒キットは各自で持たなきゃ駄目だ。危険な植物もある。」

  ひぃ~、とウォーリーの小さく声が聞こえた。彼は、南方大樹海に入るのは初めてだ。案内人無しに入るとまず生きて帰れない、危険な所なのだ。

「明日朝に案内人が迎えに来る。しばらくはまともな飯は食えないからな、今晩しっかり食べとけよ。」
「それ、それなんですよ、心配なのは。俺、飯抜きとか、耐えられないですから……」
「案内人の村に泊めてもらえるし、食事も頼んであるから、大丈夫だ。野宿……二回~三回はあるかもなぁ。干し肉でもかじって、我慢してくれ。」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~

丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月 働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。 いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震! 悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。 対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。 ・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。 もう少しマシな奴いませんかね? あっ、出てきた。 男前ですね・・・落ち着いてください。 あっ、やっぱり神様なのね。 転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。 ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。 不定期更新 誤字脱字 理解不能 読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない
ファンタジー
   中学三年生の水野緑はいつもの花の水やりをしながら同級生と話してるいる途中突然に死んでしまう。  死んでしまった緑は異世界の女神に導かれ世界をわたり、ただ1匹の種族になる。  それは【超ミドリムシ】  緑は【超ミドリムシ】になり光合成をしながら生活していく。光合成をすると緑はミドリムシなのに花を咲かせ実をつける。 「なんだこの実は!? 腕が生えた!?」  実は欠損した体も回復し、花から採れる蜜は虫の魔物を人に変える。 「魔物が人になるのは龍種くらいなのだが……」  その元虫の魔物の仲間は緑から蜜を貰うごとに子供を生み出していく。  そんな仲間と緑は冒険者になるが冒険者ギルドのマスターに能力の説明をすると新たな冒険者のランクを作ると言われる。ランクはI(irregular)ランクだが緑の起こすことが噂になるとイカレタ冒険者と呼ばれるようになってしまう。 「何だ…… あの冒険者は!? イカレテル!」 「皆酷いです! 僕はイカレテません!」  緑がダンジョンに入ればダンジョンコアを見つけ、家族と歩けば大騒ぎになるがどんどん大家族になっていく。 「レアアイテムだ運がいいな!」 「ラッキー!」 「何だあの魔物の数は!? だめだ…… 今日で俺たちの村は壊滅する……」 「違います! 家族で散歩してたんです! 落ち着いてください! スタンピードじゃありません!」  緑は幸せを今日も感じながら家族を増やすために光合成し続ける。  そんな幸せいっぱいの緑はこの幸せをお裾分けするために様々な国に向かう。そんなある日、世界に1匹しかいないはずの自分【超ミドリムシ】とであう。  もう1人の【超ミドリムシ】と突然に戦闘となるが紆余曲折の後に和解する。すると、そこに女神が現れる。 「すいません緑さん達、【水野 緑】さんの存在が大きすぎてこの世界に入る時に【水野 緑】さんがわかれてしいました」  そこから、緑の旅の理由にわかれた【水野 緑】を探すことが加わる。  初めてあった、魔を冠するもう一人の【水野 緑】……魔緑  小さな子供達で干支を冠する【水野 緑】    ……干支緑  姿は美人だが中身が腐った女性の【水野 緑】  ……腐緑  様々な【水野 緑】と出会いながら緑は世界を幸せにしていく。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。

秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚 13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。 歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。 そしてエリーゼは大人へと成長していく。 ※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。 小説家になろう様にも掲載しています。

滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ
ファンタジー
「ここわぁ、地獄かぁ――!?」  悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、気がつきゃ金糸のような髪の小娘に!? 「えっ、ファンタジーかと思ったぁ? 残っ念っ、ハイ坊主ハラペコSFファンタジーでしたぁ――ウケケケッケッ♪」  やかましぃやぁ。  ※小説家になろうさんにも投稿しています。投稿時は初稿そのまま。順次整えます。よろしくお願いします。

処理中です...