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おまけの話
一緒に遺跡を見に行こう
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一年ぶりに、南部の街に、遺跡を調査するため、助手を二人連れてやって来た。考古学研究の教授とか、博士と言えば聞こえがいいが、俺の場合は何の事はない。年中ふらふらどこかへ出かけて行って、土を掘り返してたまに論文書いて、たまに教鞭をとったり研究発表するくらいだ。
「先生、明日から、ジャングルに入りますね。俺、遺跡、楽しみです!」
宿の部屋で、期待に満ちた顔の、持ち物表にチェックを付けてベッドの上に必要なものを並べている助手のウォーリーが話しかけてきた。金髪に灰色の瞳、人族で年若い彼との付き合いは、まだ三年ほどで、意欲に溢れている。将来が楽しみな若者だ。
「ウォーリー、これも入れとけ。」
彼の横で、同じように明日の準備中だったもう一人の助手のピケがウォーリーに救急セットを放り投げた。
「先輩、もう救急セットは入れましたよぉ?」
ピケは一睨みして、いいから入れとけと言った。彼はもう十年ほど一緒に行動している獣人族で、白黒まだらの毛だ。共同研究者なのだが、肩書は助手。彼は学会やら、論文やらが面倒臭いといって、その辺りの補助金申請とか、発表とかは俺に押し付けてくるのだ。
「ウォーリー、明日から入る森には毒虫や、普段出会わない獣もいるんだ。ピケのおすすめの蛇毒の血清と解毒キットは各自で持たなきゃ駄目だ。危険な植物もある。」
ひぃ~、とウォーリーの小さく声が聞こえた。彼は、南方大樹海に入るのは初めてだ。案内人無しに入るとまず生きて帰れない、危険な所なのだ。
「明日朝に案内人が迎えに来る。しばらくはまともな飯は食えないからな、今晩しっかり食べとけよ。」
「それ、それなんですよ、心配なのは。俺、飯抜きとか、耐えられないですから……」
「案内人の村に泊めてもらえるし、食事も頼んであるから、大丈夫だ。野宿……二回~三回はあるかもなぁ。干し肉でもかじって、我慢してくれ。」
「先生、明日から、ジャングルに入りますね。俺、遺跡、楽しみです!」
宿の部屋で、期待に満ちた顔の、持ち物表にチェックを付けてベッドの上に必要なものを並べている助手のウォーリーが話しかけてきた。金髪に灰色の瞳、人族で年若い彼との付き合いは、まだ三年ほどで、意欲に溢れている。将来が楽しみな若者だ。
「ウォーリー、これも入れとけ。」
彼の横で、同じように明日の準備中だったもう一人の助手のピケがウォーリーに救急セットを放り投げた。
「先輩、もう救急セットは入れましたよぉ?」
ピケは一睨みして、いいから入れとけと言った。彼はもう十年ほど一緒に行動している獣人族で、白黒まだらの毛だ。共同研究者なのだが、肩書は助手。彼は学会やら、論文やらが面倒臭いといって、その辺りの補助金申請とか、発表とかは俺に押し付けてくるのだ。
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ひぃ~、とウォーリーの小さく声が聞こえた。彼は、南方大樹海に入るのは初めてだ。案内人無しに入るとまず生きて帰れない、危険な所なのだ。
「明日朝に案内人が迎えに来る。しばらくはまともな飯は食えないからな、今晩しっかり食べとけよ。」
「それ、それなんですよ、心配なのは。俺、飯抜きとか、耐えられないですから……」
「案内人の村に泊めてもらえるし、食事も頼んであるから、大丈夫だ。野宿……二回~三回はあるかもなぁ。干し肉でもかじって、我慢してくれ。」
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
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