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第三章 新たな道
五の神殿
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夜が明けた。
「シンシ…起きて……」
シンシを起こす。
昨日の夜空に不思議な光を見たと説明し、光が降りた辺りまで行くつもりだが、シンシはどうするかと尋ねた。
「私も行きます。」
昨夜ゆっくり休んだシンシは毒が抜けたようで、ニッコリ笑って言った。マラジャは獣人族の回復力に驚きつつ、ここに一人で残すのは心配だったので、一緒に行動してくれる事に安堵した。
「あちらの方角でしたら、たぶん五の神殿でしょう。」
「神殿…」
「あ、神殿が現れたのか?……」
シンシの尻尾が興奮しているのか、激しく揺れている。期待に満ちた目で、二人に頷き、立ち上がった。
「私も初めて見ます。早く行きましょう。」
荷物を片付ける間も、気持ちは逸り、早く、早くと心は既に走り出していた。
「ジュジュさん、マラジャさん、こちらです。」
どんどん先に進み案内するシンシ。不自由な足と、睡眠不足で、ジュジュに支えてもらいながらの移動であるマラジャの動きは鈍い。毒にやられてあれほど弱っていた彼女が、今や一番元気だ。
「あれが……神殿……」
「大きい……」
三人の目の前に見たこともない大きな建物があった。
まだ遥か先だというのに、その建物が巨大であるとわかる。
その神殿は大小の四角い建物をいくつか繋ぎ合わせたかのような形をしていた。
神殿のすぐ側までやって来て、壁に触れる。冷たく滑らかで、石や土壁や煉瓦とは全く違う感触で、それが何でできているのか想像もできない。入り口が見つからず、どこから出入りするのな、と、建物の壁に沿って歩いてみた。
「シンシ…起きて……」
シンシを起こす。
昨日の夜空に不思議な光を見たと説明し、光が降りた辺りまで行くつもりだが、シンシはどうするかと尋ねた。
「私も行きます。」
昨夜ゆっくり休んだシンシは毒が抜けたようで、ニッコリ笑って言った。マラジャは獣人族の回復力に驚きつつ、ここに一人で残すのは心配だったので、一緒に行動してくれる事に安堵した。
「あちらの方角でしたら、たぶん五の神殿でしょう。」
「神殿…」
「あ、神殿が現れたのか?……」
シンシの尻尾が興奮しているのか、激しく揺れている。期待に満ちた目で、二人に頷き、立ち上がった。
「私も初めて見ます。早く行きましょう。」
荷物を片付ける間も、気持ちは逸り、早く、早くと心は既に走り出していた。
「ジュジュさん、マラジャさん、こちらです。」
どんどん先に進み案内するシンシ。不自由な足と、睡眠不足で、ジュジュに支えてもらいながらの移動であるマラジャの動きは鈍い。毒にやられてあれほど弱っていた彼女が、今や一番元気だ。
「あれが……神殿……」
「大きい……」
三人の目の前に見たこともない大きな建物があった。
まだ遥か先だというのに、その建物が巨大であるとわかる。
その神殿は大小の四角い建物をいくつか繋ぎ合わせたかのような形をしていた。
神殿のすぐ側までやって来て、壁に触れる。冷たく滑らかで、石や土壁や煉瓦とは全く違う感触で、それが何でできているのか想像もできない。入り口が見つからず、どこから出入りするのな、と、建物の壁に沿って歩いてみた。
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