白の衣の神の子孫

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第三章 新たな道

光る星

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  助け出した獣人の女性はシンシと名乗った。毒消しを飲ませた翌日には、体も動くようになって、休み休み移動も出来るようになった。

「じゃあ、シンシは五の神殿守りなのね。」

  シンシは頷いた。神殿に向かう道で、ガゲロブラスに襲われたという。

「ガゲロブラスの繁殖期だから気を付けていたんだけど……」
「助かってよかった。」

  幸い彼女は助かったが、エサ玉の中には同じ村の者もいただろう。
  彼女の村までは陽のある内にたどり着けそうになかったので、もう一泊野宿することにした。いつものようにマラジャが先に休み、夜中にジュジュが声をかけ起こす。

「マラジャ、マラジャ、起きて。」
「ん、交代……」
「違うの、ちょっと起きて、来て。」

  寝ぼけた顔で体を起こし、マラジャはそのまま手を引かれ森を歩く。こんな事は初めてだ。

「火の側…はなれちゃ……だめ……じゃ……」

  辺りは暗く、手を引かれるまま歩いた。眠ってからそれほどたっていなかったのか、中途半端に取った眠りが瞼が重くする。
  急に立ち止まり、ジュジュに上を見るようにうながされた。ちょうど木々が疎らになった場所で、マラジャは顔を上げ…………そこには満点星空…………そう思って、重い瞼を開くと、予想外の空がそこにあり、眠気が吹き飛んだ。

「な、何あれ……」

  空高く光る星がゆっくり移動している。強い光に凝視出来ずに目を細めた。マラジャはジュジュを見下ろす。空の眩い光が辺りを照らし、夜の暗闇の中にも関わらず、くっきりと彼女の姿が浮かび上がって見える。明るい満月の夜よりも更に明るい光が降り注ぎ、この世のものとは思えない。

「あっち……」

再び二人は光の進行方向に歩きだした。

  小高い丘から、光る星の行き先を見つめる。地上に近付くにつれ、光が弱まり、ほとんど見えなくなった。

「消えた?」
「……いえ、多分あそこに……」

マラジャの問に、ジュジュは確信を持って指差した。だが、光源の無くなった夜の森は暗く静かで、指した指先さえよく見えなかった。

「明日、あそこに行こう。」

  彼女に何が見えているのか、何が彼女を突き動かしているのか。二人は引き返し、火の側で寄り添うように夜明けを待った。マラジャが、眠らないの?と聞いても、眠れない、とジュジュはマラジャの横を離れなかった。
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