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第二章 見知らぬ土地へ
神殿への道 4
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『ジュジュ、起きなさい。神殿へ行くわよ。』
彼女の名はジュジュ。小柄な獣人族で、獣人の特徴は猫系のややつり上がった目の他には毛の長い尻尾くらいで、耳の形や外見は人と同じだった。
碧の大きな瞳で白眼の部分がグレーなのは、別の種族の血が入っているのだろう。
彼女の母は既に亡くなっているのだが、毎日聞いていた母の声が、今でも頭の中で響いている気がした。
ぴょんと半身を起こし、側においてあった、ペチャンコの革袋と短剣の収まった鞘を掴んで立ち上がった。一人で森に入るため、野生の獣に出会う事もある。幸い大型の獣はこの近くにはいないので、小柄な彼女でも短剣があればなんとか対処できる。
家を出たジュジュは朝の光が眩しく、一瞬目を細めた。瞳に掛かる、金色の髪が陽を受けて光る。しばらく歩き、近くの川に降りて、人が寝転べられるくらいの大きな石の上に短剣と革袋をの乗せる。その後ろ姿には髪と同じ金色の毛足の長い尻尾が揺れる。身に付けている衣類を脱ぎ、ふくらはぎ辺りまでしかない浅い川に浸してささっと洗うと、石の上に絞って拡げておく。そのまましゃがみ、川の水をじゃぶじゃぶ体に掛けて汚れを落とし、最後に両手で水をすくい、頭と顔を洗う。
革袋を手に取り水を入れ口を細紐を巻き付けてこぼれないようにしてから衣類の干してある横に置く。
川から出ると、彼女の母がいつもしてくれていたように指で髪を梳かすと左右上部にそれぞれまとめ、組み紐で結んだ。石の上の貫頭衣を身に付けて腰紐を結ぶ。服はまだ湿っているが、天気がいいので、着ていればすぐに乾く。
革の簡素なサンダルを履き、水の入った革袋を手に持った。
森の中で目あての果実を見つけ、細枝に手を伸ばす。先から片手で器用に2つもぎ取ると歩き出した。歩き出してすぐに目についた小さな黄色の花も摘み取った。
神殿を目指し、毎日彼女が歩く細い獣道は、他に人が通ることはない。
神殿に捧げ物をして祈り、供えた果物を食べる。
帰ろうと立ち上がり、踵を返した時、ガサガサと音がした。振り返ると、そこには見たこともない大きな人が近付いて来るのが見えた。
捧げた花を越え、その人は彼女の目の前に倒れた。
「!?」
全身泥だらけで俯せの人に、にじり寄って、その顔に掛かる髪を掻き分ける。
「…生きてる?」
恐る恐る肌に触れる。
「うっ……」
倒れたまま動かない人の低い声に、彼女はビクッと反射的に後ろに飛び退いた。
「………?」
起き上がって来ないことを確認する。
「生きてるね……」
泥で汚れた顔を革袋の水で洗い流そうと再びにじり寄った。
彼女の名はジュジュ。小柄な獣人族で、獣人の特徴は猫系のややつり上がった目の他には毛の長い尻尾くらいで、耳の形や外見は人と同じだった。
碧の大きな瞳で白眼の部分がグレーなのは、別の種族の血が入っているのだろう。
彼女の母は既に亡くなっているのだが、毎日聞いていた母の声が、今でも頭の中で響いている気がした。
ぴょんと半身を起こし、側においてあった、ペチャンコの革袋と短剣の収まった鞘を掴んで立ち上がった。一人で森に入るため、野生の獣に出会う事もある。幸い大型の獣はこの近くにはいないので、小柄な彼女でも短剣があればなんとか対処できる。
家を出たジュジュは朝の光が眩しく、一瞬目を細めた。瞳に掛かる、金色の髪が陽を受けて光る。しばらく歩き、近くの川に降りて、人が寝転べられるくらいの大きな石の上に短剣と革袋をの乗せる。その後ろ姿には髪と同じ金色の毛足の長い尻尾が揺れる。身に付けている衣類を脱ぎ、ふくらはぎ辺りまでしかない浅い川に浸してささっと洗うと、石の上に絞って拡げておく。そのまましゃがみ、川の水をじゃぶじゃぶ体に掛けて汚れを落とし、最後に両手で水をすくい、頭と顔を洗う。
革袋を手に取り水を入れ口を細紐を巻き付けてこぼれないようにしてから衣類の干してある横に置く。
川から出ると、彼女の母がいつもしてくれていたように指で髪を梳かすと左右上部にそれぞれまとめ、組み紐で結んだ。石の上の貫頭衣を身に付けて腰紐を結ぶ。服はまだ湿っているが、天気がいいので、着ていればすぐに乾く。
革の簡素なサンダルを履き、水の入った革袋を手に持った。
森の中で目あての果実を見つけ、細枝に手を伸ばす。先から片手で器用に2つもぎ取ると歩き出した。歩き出してすぐに目についた小さな黄色の花も摘み取った。
神殿を目指し、毎日彼女が歩く細い獣道は、他に人が通ることはない。
神殿に捧げ物をして祈り、供えた果物を食べる。
帰ろうと立ち上がり、踵を返した時、ガサガサと音がした。振り返ると、そこには見たこともない大きな人が近付いて来るのが見えた。
捧げた花を越え、その人は彼女の目の前に倒れた。
「!?」
全身泥だらけで俯せの人に、にじり寄って、その顔に掛かる髪を掻き分ける。
「…生きてる?」
恐る恐る肌に触れる。
「うっ……」
倒れたまま動かない人の低い声に、彼女はビクッと反射的に後ろに飛び退いた。
「………?」
起き上がって来ないことを確認する。
「生きてるね……」
泥で汚れた顔を革袋の水で洗い流そうと再びにじり寄った。
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