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第二章 見知らぬ土地へ
神殿への道 2
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叩きつけるような雨の中、アークは一刻も早くここを離れたいと強く思う。同時に今降りてきた山が気になり、振り返った。木々の隙間からは望むものはみえないが、気になって仕方がない。
『急げ…急げ……』
声にならない位の呟きが漏れる。少しスピードを上げると、目の前を走る伝令を追い越してしまう。駄目だ。駄目だ。
『……水音?……』
アークは鼻の奥がツンと痛み、微かに水の流れる音がする。
空気の震えを感じた。大地が震え、吠えるような恐ろしい音を聞いた。
『……間に合わん……』
「お前達!全力で駆けろ!前の奴等にも声を掛けて行け!早く!」
アークと共に、最後尾を走っていた一団に大声で指示を出す。何か…何かわからないが、迫ってくる圧を感じる。考えられるのは、川が増水しあふれたか、山の斜面が地滑りを起こしたか………まだ到達していないが、もう猶予はない、多分、飲み込まれるのは一瞬。逃げる事はできない。だが、最後まで諦めてはいけない。若い何人もの命を預かる団長が簡単に諦めては駄目だ。
「団長が先に!行って下さい!」
危険が迫っていると伝えても、我先に逃げたりしない出来た部下達。しかし、命あってこそ、だぞ?とアークは思う。
「足の遅いお前等の面倒まで俺に見させるつもりか?さっさと行け!俺は遅れてる奴等の尻を叩きながら、あっという間に追い付いてやるから。ほら、急げ!尻叩いてほしいか?」
部下達に発破をかけ、送り出す。
「行きます!ご無事で!」
「おう、後でな!」
逃げ切れ!一人でも多く!
『急げ…急げ……』
声にならない位の呟きが漏れる。少しスピードを上げると、目の前を走る伝令を追い越してしまう。駄目だ。駄目だ。
『……水音?……』
アークは鼻の奥がツンと痛み、微かに水の流れる音がする。
空気の震えを感じた。大地が震え、吠えるような恐ろしい音を聞いた。
『……間に合わん……』
「お前達!全力で駆けろ!前の奴等にも声を掛けて行け!早く!」
アークと共に、最後尾を走っていた一団に大声で指示を出す。何か…何かわからないが、迫ってくる圧を感じる。考えられるのは、川が増水しあふれたか、山の斜面が地滑りを起こしたか………まだ到達していないが、もう猶予はない、多分、飲み込まれるのは一瞬。逃げる事はできない。だが、最後まで諦めてはいけない。若い何人もの命を預かる団長が簡単に諦めては駄目だ。
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危険が迫っていると伝えても、我先に逃げたりしない出来た部下達。しかし、命あってこそ、だぞ?とアークは思う。
「足の遅いお前等の面倒まで俺に見させるつもりか?さっさと行け!俺は遅れてる奴等の尻を叩きながら、あっという間に追い付いてやるから。ほら、急げ!尻叩いてほしいか?」
部下達に発破をかけ、送り出す。
「行きます!ご無事で!」
「おう、後でな!」
逃げ切れ!一人でも多く!
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