白の衣の神の子孫

キュー

文字の大きさ
上 下
10 / 81
第一章 神の子孫

藤黄の衣 9

しおりを挟む
  カークとヤ・ヤ には聞かれたくない話なのかと、ラ・ラは身構える。
「君達は、結婚相手を探しに来たのか?」
「へ?」
それを聞いたラ・ラは質問の意味を理解出来ずに間抜けな返答しか出来なかった。
「あ、すまない、違うのならいいんだ。もしそうなら…カークはうちの従業員だし、まだ早いと……求婚の邪魔をしてしまったかと。」
不思議そうな顔で自分を見つめるラ・ラに、居心地悪そうに頭を掻くトラネク。
「実は、先ほど、ヤ・ヤが干し芋の礼にと『神の瞳』の原石を皮袋から取り出してカークに渡したのだ。」
「あン子ったら……御守りを……人に見せるなんて……」
「では、の価値をあなたはご存知なのですね。」
「すいません。トラブルにならなくて良かった。よく言って聞かせますから。」
「まあ、原石なら一般の人は見てわからないでしょうが、もし、気がついた者がいたら、力ずくで奪われかねません。」
「はい。」
ラ・ラの話によると、赤い石の原石の採れる場所は一族の長しか知らないという。子どもが産まれると長が三日をかけて赤い石の欠片を取りに行くのだとか。なので、彼女の一族は自分の石を持っているのだ。
「あ、結婚って……?」
思い出したようにラ・ラが呟くと…
「私達のプロポーズは宝石を贈るのだ。まさか、あの小さな子どもが……と思ったから、返したのだが、見かけで判断してはいけないと思って……確認をしたのだ。」
「求婚の贈り物ですか……知りませんでした。私達にはない風習ですね。」
「しかし、こんなところで、『神の瞳』が採れるなんて……」
「人に言ってはいけないと言われてたのに……どうしよう……ごめんなさい……黙ってて……お願い……」
トラネクは彼女を通じて石の取引が出来ないか?…と一瞬考えたが、彼女の集落はここからずいぶん離れた場所の山奥と聞き、族長との交渉を考えると、簡単な事ではないと……急いではダメだと、考える。
「ラ・ラさん。私達は王都に店を構えるトラネク商会の者です。この街にある店と取引があり、新しく店舗を構える予定です。」
「それは、楽しみですね。」
「ええ、是非来てくださいね」
ちょうど二人が、両手に料理を乗せたトレーをを持って、帰って来た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

解放

かひけつ
ファンタジー
ある少年は、抗った。 謎の施設。謎の検査。謎の生活。 頭が狂いそうになりながらも施設から出る方法を模索する。 使えるものを活かした反抗計画とその結末は……。 ある科学者は悩んだ。 時折、無力感や後悔の念が身を焦がす。 利口が故に、自己嫌悪に陥ってしまう。 悩みぬいた末に出した結論は……。 ある貴族は覚悟を決めた。 貴ばれる血族であるが故のプライド、 それ相応とは言い難い重しをつけさせられる。 一家を背負い込む覚悟を、世界を調和させることを……。 あるモノは、嘆いた。 自由にはなれない……。 そう思わせる程、管理されてしまった世界。 ここには情すら……ないのかもしれない……。 諦めかけていた、でも、希望が見えた気がした……。 その希望は現状を打開し、解放してくれるのだろうか?

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

ぽとりひょん
ファンタジー
熱中症で死んだ俺は、勇者が召喚される16年前へ転生させられる。16年で宮廷魔法士になって、アレな勇者を導かなくてはならない。俺はチートスキルを隠して魔法士に成り上がって行く。勇者が召喚されたら、魔法士としてパーティーに入り彼を導き魔王を倒すのだ。

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~

丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月 働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。 いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震! 悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。 対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。 ・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。 もう少しマシな奴いませんかね? あっ、出てきた。 男前ですね・・・落ち着いてください。 あっ、やっぱり神様なのね。 転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。 ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。 不定期更新 誤字脱字 理解不能 読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

処理中です...