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第一章 神の子孫
藤黄の衣 9
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カークとヤ・ヤ には聞かれたくない話なのかと、ラ・ラは身構える。
「君達は、結婚相手を探しに来たのか?」
「へ?」
それを聞いたラ・ラは質問の意味を理解出来ずに間抜けな返答しか出来なかった。
「あ、すまない、違うのならいいんだ。もしそうなら…カークはうちの従業員だし、まだ早いと……求婚の邪魔をしてしまったかと。」
不思議そうな顔で自分を見つめるラ・ラに、居心地悪そうに頭を掻くトラネク。
「実は、先ほど、ヤ・ヤが干し芋の礼にと『神の瞳』の原石を皮袋から取り出してカークに渡したのだ。」
「あン子ったら……御守りを……人に見せるなんて……」
「では、あれの価値をあなたはご存知なのですね。」
「すいません。トラブルにならなくて良かった。よく言って聞かせますから。」
「まあ、原石なら一般の人は見てわからないでしょうが、もし、気がついた者がいたら、力ずくで奪われかねません。」
「はい。」
ラ・ラの話によると、赤い石の原石の採れる場所は一族の長しか知らないという。子どもが産まれると長が三日をかけて赤い石の欠片を取りに行くのだとか。なので、彼女の一族は自分の石を持っているのだ。
「あ、結婚って……?」
思い出したようにラ・ラが呟くと…
「私達のプロポーズは宝石を贈るのだ。まさか、あの小さな子どもが……と思ったから、返したのだが、見かけで判断してはいけないと思って……確認をしたのだ。」
「求婚の贈り物ですか……知りませんでした。私達にはない風習ですね。」
「しかし、こんなところで、『神の瞳』が採れるなんて……」
「人に言ってはいけないと言われてたのに……どうしよう……ごめんなさい……黙ってて……お願い……」
トラネクは彼女を通じて石の取引が出来ないか?…と一瞬考えたが、彼女の集落はここからずいぶん離れた場所の山奥と聞き、族長との交渉を考えると、簡単な事ではないと……急いではダメだと、考える。
「ラ・ラさん。私達は王都に店を構えるトラネク商会の者です。この街にある店と取引があり、新しく店舗を構える予定です。」
「それは、楽しみですね。」
「ええ、是非来てくださいね」
ちょうど二人が、両手に料理を乗せたトレーをを持って、帰って来た。
「君達は、結婚相手を探しに来たのか?」
「へ?」
それを聞いたラ・ラは質問の意味を理解出来ずに間抜けな返答しか出来なかった。
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不思議そうな顔で自分を見つめるラ・ラに、居心地悪そうに頭を掻くトラネク。
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「すいません。トラブルにならなくて良かった。よく言って聞かせますから。」
「まあ、原石なら一般の人は見てわからないでしょうが、もし、気がついた者がいたら、力ずくで奪われかねません。」
「はい。」
ラ・ラの話によると、赤い石の原石の採れる場所は一族の長しか知らないという。子どもが産まれると長が三日をかけて赤い石の欠片を取りに行くのだとか。なので、彼女の一族は自分の石を持っているのだ。
「あ、結婚って……?」
思い出したようにラ・ラが呟くと…
「私達のプロポーズは宝石を贈るのだ。まさか、あの小さな子どもが……と思ったから、返したのだが、見かけで判断してはいけないと思って……確認をしたのだ。」
「求婚の贈り物ですか……知りませんでした。私達にはない風習ですね。」
「しかし、こんなところで、『神の瞳』が採れるなんて……」
「人に言ってはいけないと言われてたのに……どうしよう……ごめんなさい……黙ってて……お願い……」
トラネクは彼女を通じて石の取引が出来ないか?…と一瞬考えたが、彼女の集落はここからずいぶん離れた場所の山奥と聞き、族長との交渉を考えると、簡単な事ではないと……急いではダメだと、考える。
「ラ・ラさん。私達は王都に店を構えるトラネク商会の者です。この街にある店と取引があり、新しく店舗を構える予定です。」
「それは、楽しみですね。」
「ええ、是非来てくださいね」
ちょうど二人が、両手に料理を乗せたトレーをを持って、帰って来た。
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