白の衣の神の子孫

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プロローグ

プロローグ 神殿

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  ジャングルの密集した木々が急に無くなり、視界が開けた。辺りの景色と似つかわしくない規則正しく敷き詰められた石畳の広場に出た。
  彼女は慣れた様子で迷い無く、石畳に足を踏み入れる。その場に膝を付き、彼女には理解出来ないが、特別な言葉を一言二言呟き、立ち上がった。
「捧げ物です。」
石畳を歩いてほぼ中央に進み、積み上げられた何かを象った石の前に、持ってきた花と果物を置く。それから再び膝を付き、目を閉じ祈る。
  彼女は毎日花と少ない食料を持ってここを訪れる。それは、彼女の母親から受け継いだ決まり事だ。彼女がその役目を任され、一年がたつ。彼女の母親もまた、母親の母から受け継いだという。もうずっと何年も彼らは毎日ここを訪れ祈りを捧げるのだ。
  しばらく、祈りを捧げてから供えた果物を手に取りかぶり付く。形あるものは神に届かないと伝えられている。花の香りと、彼女の身体の内に入った形なき捧げたものは、神様の元へ届けられると母が言った。皮も種も残さず全て食べきると立ち上がり、去ろうと踵を返した。
  その時、ガサガサと音がして、カツカツと靴音が近付いて来る。彼女は硬い足音の出るような靴を履いていないし、彼女の集落の誰も、そんな靴を履いていない。彼女は、その音が靴音だとは知らなかった。その音の方を振り返ると、そこには見たこともない大きな人が立っていた。

  
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