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挑発行為
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出発してまもなく俺とルシファーはジール共和国の前線に到着する。
前線に到着すると凄まじい戦闘音が聞こえる。
剣戟の音、叫ぶ声、苦しみの声、悲鳴とうめき声…
これが戦場か…。
ジール共和国重装歩兵による密集陣形24万人の中に入り、敵戦力の調査を行う。
ドラゴン大帝国の最前線は今までのように軽歩兵の奴隷兵士ではなく、C・Dランクのドラゴンを中心とした100万体もの軍勢が最前線にいた。そのすぐ後ろにはドラゴン大帝国が誇る最高戦力がいる。
Aランクの最強種ドラゴン4体に勇者1名に、Bランクの上位ドラゴンや人間の賢者、バトルマスターである。
魔王軍が145師団を奇襲し全滅させた影響により、奇襲攻撃ができない陣形となっている。
敵前線に強力な魔法を放った瞬間、ドラゴン大帝国の最高戦力がこちらに向かってくるだろう…。
それにAランクドラゴンが、こちらに向かって広範囲魔法を放ってくる可能性もある…。これは厳しいと言わざる得ない。
俺は攻撃を諦めルシファーに指示を出す。
「ルシファー…、これはとても攻撃できる状況じゃない。今回は中止だ。」
「了解、さすがにこれは俺も諦めるわ。攻撃した瞬間、A・Bランクの敵が全力で、こちらに向けて攻撃しかけてくるだろうし、勝ち目は薄い。そして俺もまた封印されたくはねぇ、今回はやめとくぜ。」
「そうか。すまんな。すぐに撤退しよう」
そうして俺たちが撤退しようと準備をすると、ドラゴン大帝国の最前線から声が聞こえてくる。
「ぐはっ‥‥」
「助けて!!」
「ギャー―――!!」
「ふはははは!!どうしたジール共和国よ!!お前たちの仲間がどんどん殺されてってるぞ!!」
何やらドラゴン大帝国がジール共和国の捕虜を1人づつ残虐な方法で殺しているようだ…。随分と古典的な挑発方法だな…。この挑発に乗って助けようとしたら、瞬殺されるだろう。飛んで火にいる夏の虫とは、まさにこのことである。さすがにこんなあからさまな挑発に引っかかるような馬鹿はジール共和国にいないと信じたい。
「魔王様?!あれウチの学生じゃね?」
「え?!」
そこにはつい先日、ウチのクラスからジール共和国の軍隊に就職した学生(名前:ルフェ)がいた。
「おいおい…、マジかよ…」
しばらくしたら、処刑されるであろう…。
「クソっ!!俺は行く!!すぐに助けてやる!!待ってろ!!ルフェ!!」
俺はすぐに処刑場所に高速移動をしようとしたが、ルシファーに全力で止められ、羽交い絞めにされた。
「魔王様、無理だって!!今いったらさすがに死んじまうって」
「安心しろ。俺は死なない。助けたらすぐ離脱するだけだ。」
「そんなん無理だって!!どっからどう見ても死地だ!!」
ルシファーと格闘してるうちに、魔王軍全員が集まって来て、全員で俺を羽交い絞にしてくる。
俺の興奮状態が収まり会議を行う
「死地というのは100も承知だ。その上で俺はルフェを助けにいこうと思う。」
「本気かよ?!大将。助けにいったらドラゴン大帝国の軍隊ほぼすべてから攻撃を受けるんだぜ?!」
「怖いのか?」
「いや、俺は嬉しいんだよ・・・!!命じてくれ大将!今すぐ!!」
「俺が許す。殺せ」
「おおおおおおおおおおおお!!!!」
…前世の有名な漫画みたいなセリフ使ってしまったが、やる気になってくれたのは幸いだ。
「マジかよ!!やるのかよ?!」
「ここは危険が伴うので志願者のみでやる…。少しでも不安なら参加しなくていい。」
「魔王様。提案があります。具申させていただいてもよろしいでしょうか?!」
あまり時間はないが、ユリルからの提案である。聞いておくべきであろう。
「何か秘策でもあるのか?」
「はい。さすがにこのまま行っても、魔王様とて生き残ることは難しいでしょう…。ジール共和国本陣より魔王様は【イフリートの地獄の業火】、ルシファー殿が【流星】を敵本陣に放ちます。その上で私、ユリルが敵の軍服を着て敵本陣に潜入しルフェを助けてきましょう。たとえ見つかったとしても今の私であれば多少はなんとかなるでしょう…。他の者は自軍本陣の魔王様とルシファー殿の護衛です。いかがでしょうか?」
なるほど最強魔法で敵本陣を混乱させ、その隙にユリルが助け出すという策か…。魔王軍による敵本陣に突撃するパワープレイよりも、生存率が格段に高い戦法である。しかし1つ変更点がある。
「ユリルいい案だ。さすが魔王軍の参謀よ…。しかし1点変更点がある。敵本陣に潜入するのはこの俺だ。異論は認めない。」
「…何故ですか?!」
「確かに魔王軍最強のユリルが一番適任かもしれんが、死地に攻撃をしかけると言い出したのは俺だ。俺が責任をもってやる。ユリルは後方支援で【氷系最上級魔法ブリニクル】を敵本陣に連発して欲しい。攻撃した敵のMPを吸収するスキルを持つユリルならMP関係なく魔法連発できるだろ?!俺のサポート頼むぞ!!」
「…わかりました。必ず生きて帰ってください。必ず…。」
「会議は終了だ!作戦はルフェを助け次第すぐに撤退だ!!行くぞ!!」
前線に到着すると凄まじい戦闘音が聞こえる。
剣戟の音、叫ぶ声、苦しみの声、悲鳴とうめき声…
これが戦場か…。
ジール共和国重装歩兵による密集陣形24万人の中に入り、敵戦力の調査を行う。
ドラゴン大帝国の最前線は今までのように軽歩兵の奴隷兵士ではなく、C・Dランクのドラゴンを中心とした100万体もの軍勢が最前線にいた。そのすぐ後ろにはドラゴン大帝国が誇る最高戦力がいる。
Aランクの最強種ドラゴン4体に勇者1名に、Bランクの上位ドラゴンや人間の賢者、バトルマスターである。
魔王軍が145師団を奇襲し全滅させた影響により、奇襲攻撃ができない陣形となっている。
敵前線に強力な魔法を放った瞬間、ドラゴン大帝国の最高戦力がこちらに向かってくるだろう…。
それにAランクドラゴンが、こちらに向かって広範囲魔法を放ってくる可能性もある…。これは厳しいと言わざる得ない。
俺は攻撃を諦めルシファーに指示を出す。
「ルシファー…、これはとても攻撃できる状況じゃない。今回は中止だ。」
「了解、さすがにこれは俺も諦めるわ。攻撃した瞬間、A・Bランクの敵が全力で、こちらに向けて攻撃しかけてくるだろうし、勝ち目は薄い。そして俺もまた封印されたくはねぇ、今回はやめとくぜ。」
「そうか。すまんな。すぐに撤退しよう」
そうして俺たちが撤退しようと準備をすると、ドラゴン大帝国の最前線から声が聞こえてくる。
「ぐはっ‥‥」
「助けて!!」
「ギャー―――!!」
「ふはははは!!どうしたジール共和国よ!!お前たちの仲間がどんどん殺されてってるぞ!!」
何やらドラゴン大帝国がジール共和国の捕虜を1人づつ残虐な方法で殺しているようだ…。随分と古典的な挑発方法だな…。この挑発に乗って助けようとしたら、瞬殺されるだろう。飛んで火にいる夏の虫とは、まさにこのことである。さすがにこんなあからさまな挑発に引っかかるような馬鹿はジール共和国にいないと信じたい。
「魔王様?!あれウチの学生じゃね?」
「え?!」
そこにはつい先日、ウチのクラスからジール共和国の軍隊に就職した学生(名前:ルフェ)がいた。
「おいおい…、マジかよ…」
しばらくしたら、処刑されるであろう…。
「クソっ!!俺は行く!!すぐに助けてやる!!待ってろ!!ルフェ!!」
俺はすぐに処刑場所に高速移動をしようとしたが、ルシファーに全力で止められ、羽交い絞めにされた。
「魔王様、無理だって!!今いったらさすがに死んじまうって」
「安心しろ。俺は死なない。助けたらすぐ離脱するだけだ。」
「そんなん無理だって!!どっからどう見ても死地だ!!」
ルシファーと格闘してるうちに、魔王軍全員が集まって来て、全員で俺を羽交い絞にしてくる。
俺の興奮状態が収まり会議を行う
「死地というのは100も承知だ。その上で俺はルフェを助けにいこうと思う。」
「本気かよ?!大将。助けにいったらドラゴン大帝国の軍隊ほぼすべてから攻撃を受けるんだぜ?!」
「怖いのか?」
「いや、俺は嬉しいんだよ・・・!!命じてくれ大将!今すぐ!!」
「俺が許す。殺せ」
「おおおおおおおおおおおお!!!!」
…前世の有名な漫画みたいなセリフ使ってしまったが、やる気になってくれたのは幸いだ。
「マジかよ!!やるのかよ?!」
「ここは危険が伴うので志願者のみでやる…。少しでも不安なら参加しなくていい。」
「魔王様。提案があります。具申させていただいてもよろしいでしょうか?!」
あまり時間はないが、ユリルからの提案である。聞いておくべきであろう。
「何か秘策でもあるのか?」
「はい。さすがにこのまま行っても、魔王様とて生き残ることは難しいでしょう…。ジール共和国本陣より魔王様は【イフリートの地獄の業火】、ルシファー殿が【流星】を敵本陣に放ちます。その上で私、ユリルが敵の軍服を着て敵本陣に潜入しルフェを助けてきましょう。たとえ見つかったとしても今の私であれば多少はなんとかなるでしょう…。他の者は自軍本陣の魔王様とルシファー殿の護衛です。いかがでしょうか?」
なるほど最強魔法で敵本陣を混乱させ、その隙にユリルが助け出すという策か…。魔王軍による敵本陣に突撃するパワープレイよりも、生存率が格段に高い戦法である。しかし1つ変更点がある。
「ユリルいい案だ。さすが魔王軍の参謀よ…。しかし1点変更点がある。敵本陣に潜入するのはこの俺だ。異論は認めない。」
「…何故ですか?!」
「確かに魔王軍最強のユリルが一番適任かもしれんが、死地に攻撃をしかけると言い出したのは俺だ。俺が責任をもってやる。ユリルは後方支援で【氷系最上級魔法ブリニクル】を敵本陣に連発して欲しい。攻撃した敵のMPを吸収するスキルを持つユリルならMP関係なく魔法連発できるだろ?!俺のサポート頼むぞ!!」
「…わかりました。必ず生きて帰ってください。必ず…。」
「会議は終了だ!作戦はルフェを助け次第すぐに撤退だ!!行くぞ!!」
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