ヴァンパイア戦記

瞳の住人

文字の大きさ
上 下
32 / 82

学生達の野外活動14(背水の陣)

しおりを挟む
フローネと拠点に向かって移動していると、痛すぎて歩けないと言い出したため、お姫様抱っこをして拠点に向かう。
戻ったらすぐにユリルか回復魔法が使える学生にフローネを治療してもらおう・・・。
いや、それはだめだ!そんなことをしたら大変なことになる。「聖女の処女を美味しくいただきました。」と宣言するようなものである。
しばらくは痛いまま我慢してもらおう。
拠点に戻ると、俺に気づいたレッズが近寄って来る。
「大将!昨日の夜から突然消えて心配しましたぜ!それに片方の顔の頬が真っ赤で少し血が出てらっしゃる・・・戦闘でもありやしたか?」
キリッとした顔で俺は返答する。
「昨日はフローネと共に魔物討伐の修行をしていたんだ。途中、強い魔物が出て、油断したところ殴られて顔にダメージを負ってしまった。だがこれはかすり傷だ、なんてことはない、すぐに治るさ。そして心配をかけてすまなかったな」と俺は
ハッタリをかまし、釈然としない態度を取るレッズに何事もなかったように振舞う。
「そんなことがあったんですね。それにしては随分とご気分が宜しいようで?」
俺との話を聞いてたユリルから凍りつくような声で指摘を受ける。

「それでも俺はやってない!冤罪だー!」
「「???」」
俺は冤罪を主張してその場から逃げた。そして1時間後ついにアンデッドの軍勢に見つかり、撤退を再開することになった。
撤退中ではあるが、女性陣が俺をまるでゴミ以下の汚物を見るような目で見てくる。視線が痛すぎる・・・どうやら外堀は埋められたようだ。
でも俺は何も知らない。そう何もしてないし、何も知らない。
この世界にはDNA検査はないことをミランに確認した後、それでも俺はやってないんだ。と
そう自分に言い聞かせ、アンデッドを殲滅しながら移動をする。

しばらく移動していると断崖絶壁となっており行き止まりとなった。
全員に指示を出す
「迂回して、先に進むぞ!」
俺が指示した刹那、Bランクのデユラハンロード2体とデユラハンパラディン2体が突撃してくる。その背後には、Cランクの首無しデユラハンが50体、バロン・スケルトンセイントが50体ほどいた。
そしてさらにその後方にはデュラハンキング、リッチキング、デユラハンクイーン率いる敵の本陣がある様子。
どうやら、俺たちは相手の戦略により、ここに移動させられてたらしい。
そして、俺たちはこの場からはもう逃げられない、撤退不可能の背水陣。

相手はここで勝負を決めにきたようだ。

敵はイフリートを警戒して密集隊形ではなかったが、ユリルとレッズの意表をつく攻撃で上手く敵を弾き飛ばしたことで敵全員がイフリートの攻撃エリア内に集まった。
勿論、この幸運を逃す俺ではない。


「イフリート召喚!!俺の前から消え失せろ!」


「GGGRRRRUUOOOOOOO
               Hellfire Flame!!(地獄の業火)」


目に見えるすべての場所が青い炎につつまれる



しかしこちらに突撃してくる騎馬隊のうち、一体のデュラハンロードを仕留め損ねてしまった。
そして狙いは学生?!
常に俺、ユリルを第一目標に狙ってきていたが、現況では殺せないと悟り、その次に厄介な魔導ハイエルフの学生に向け突撃している。

「ヤバイ!!間に合わない!!誰か援護を!!」

急いで援護に入るレッズが相手に致命傷を負わせるも、その突撃の勢いは止まらず
ランスを持ったデュラハンロードに魔導ハイエルフの学生の身体は貫かれる・・・。
心臓を貫かれ即死・・・・!!

デュラハンロードは直後、ユリルににとどめを刺されて消滅する。

「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」 

「うああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

この戦場にフローネと、ミランの絶叫が響き渡る。

学生が殺され放心していた俺は、この絶叫で我に返る。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

処理中です...