異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
上 下
407 / 409
第十八章

十八話 【助け愛】

しおりを挟む
ベンゾウの肩に掴まり、起きるあがる惣一郎。

弁慶が隣で唾を吐くと、歯が転がる。

「旦那様、いけるか?」

「ったり前だ」 っぺ!

惣一郎も黒い血を吐き捨てる。

そうは言ってもピンチには変わりない。

考えろ、考えろ!

4匹の厄災の真ん中で、勝ち誇った顔のミルドラ。

ムカつく!

どうする! 何かネットショップで有効な……

睨みつけながらも考えを廻らせる惣一郎に、上空の太陽の中から影が落ちてくるのが見えた。

影は、上空をホバリングしてるオニヤンマの背中に、大きな穴を開けて地面に激突する!

「いって~、ジジイ! 解除が遅えんだよ!」

「ミコ!」

驚く、惣一郎達の後ろから、

「アホ! とっくに解除しちょるわ」

「ギリアーク! ギド!」

突然現れた仲間に、驚いたのは惣一郎達だけではなかった。

驚くミルドラの後方から、氷の矢が飛んで来る!

直前で気付いたカブトムシが、ミルドラとの間に割って入ると、氷の矢がカブトムシの硬い外殻に刺さる!

いや、刺さったのではなく、凍り付く。

その場所から勢いよく、凍り始めるカブトムシ。

「ビルゲン! ゼリオス!」

遅れて落ちてきたオニヤンマ。

胴体に大穴を開けるも、まだ動いている。

「私もいるぞ!」

落ちたオニヤンマの大きな頭が、ゴロンと転がり離れる。

その影から現れた、日本刀を振り抜いたままのツナマヨ。

「おまえら……」

余裕を浮かべたミルドラの顔が、また怒りで曇っていく。

「いよいよ大詰めだな、旦那」

「近付くと、魔力がここまで凶々しいとは」

「他のみんなは!」

「一度にここまで来れるのは、この人数だけだ」

「だが、みんなも戦ってるぜ!」

「ええ、惣一郎殿! 近くで次元が開き、厄災が出現しています。どうやらその元凶はそちらの方の様で」

「惣一郎様! バオもみんなと他の厄災退治に向かいました。心配は無用です! さっさと終わらせましょう」

「長引けば、厄災がどんどん現れるぞ! お前さんらの魔力は異常じゃ、さっさと終わらせい」

魔力が溜まり、次元から厄災が現れるか……

確かに不味いな。

「助かる、周りの厄災は任せていいか!」

「いいから、さっさとミルドラを倒しちまえよ、旦那!」

みんな……

「ベンゾウ、弁慶! ミルドラを連れて離れるぞ」

そう言いと惣一郎は、左腕肩付近をキツく縛る様にと、弁慶に紐を渡す。

折れた腕が痛々しい。

弁慶も言われた通り、惣一郎の折れて血を流す腕を縛ると、惣一郎が出した刀が、左腕を切り落とす!

「なっ、何を!」

顔を歪める惣一郎は、青く燃える左腕で、落とした左腕を拾い、アイテムボックスに収納する。

右手に持つ理喪棍を二人に握らすと、

「さぁ…… 行くぞ!」

っと、姿を消す。

厄災と戦い始めるミコ達に、気を取られたミルドラの背後に現れた惣一郎!

瞬時に島の離れた場所に飛び、孤立させる。

景色が変わった事に驚くも、すぐに背後の惣一郎へ短剣が襲いかかる!

それを幻腕で掴み、受け止める惣一郎。

サーチも常時発動している。

伸び切ったその腕を、ベンゾウが小刀で斬りかかる!

だが、この國家を持ってしても、ミルドラの腕に骨までも届かなかった。

そこに弁慶の侃護斧が、小刀の背に撃ち込まれる!

ガキン!

慌てた様子で距離を取るミルドラ。

惣一郎の青く燃える腕には、ミルドラの腕が、掴まれたままだった。

「キシャーーーギギギギギーーー!」

もう、かろうじて残ってた、ベリルの面影も無いミルドラ。

蟲の顔で怒りを表し、片方だけの触覚が、ジジジ、ジジジっと小刻みに震える。

すると、スカート部分に思われた場所が前開きに広がり、第三、第四の腕である事に気付く!

蜂の様な針をつけた尻尾。

虫で言う腹部が現れる。

「ベンゾウ、弁慶、今まで隠し守ってたって事はあそこが弱点の可能性が高い!」

コクンと頷くベンゾウ。

深く息を吐き、クルリと侃護斧を回し、腰を落とす弁慶。

惣一郎の顔は青くも、その目は何も諦めていなかった。





しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...