403 / 409
第十八章
十四話 【重い愛】
しおりを挟む
『惣一郎様! ネウロが、ネウロが現れました!』
『ミルドラは、もう回復したのか!』
『いえ、それが現れたのはネウロだけの様で、ツナマヨさん達の話だと、グラサーナの様に厄災になっていたそうです!』
はい?
『どういう事?』
『わかりません……』
とうとう人間辞めたか…… いや、とっくに辞めてたか?
『それで、そのネウロは?』
『それが、突然飛び去ったと』
『何処に?』
『わかりません…… ですが飛び立つ前にネウロは、何かを感じ取った様に急に怒り出し「王は私だ」と叫んで消えたそうです』
王は私だ? ……まさか。
惣一郎は目の前の王を見る。
『セシル、位置関係は! ツナマヨ達がいる場所からネウロが飛び去った方角の先は、ここじゃないか調べてくれ!』
『はい!』
いや多分ここで、間違いないだろう。
俺が王を死玉で動かしたから、その魔力を感じ取ったに違いない。
そして奴は、それを感じ取れる距離にいる!
「ベンゾウ! 弁慶! ネウロがこの王の様になってここに来るぞ!」
「厄災を食ったのか!」
「知らん!」
「でも、どうするのだ? ネウロだけ来てもミルドラの消息がわからないと不味いのでは」
「それな……」
「生け捕る?」
「ん~ 良し! 隠れて王を操作して様子を見よう。奴がこの王を倒せば、ミルドラの所に戻るだろう。俺が瞬間移動で後をつける!」
そう言うと惣一郎は、迷彩のポンチョをみんなに配り、森に溶け込む様に指示する。
「追いかけるならアタイも行くぜ!」
「ベンゾウも!」
「いや、俺ひとりの方が動きやすいんだが」
「ミルドラを叩くなら、回復前の方がいいだろ旦那様! そのままケリを付けようぜ!」
まぁ、それもそうか……
「わかった。ビルゲン達は離れ、ミコ達と島を出てくれ頼む」
「3人で行くのか?」
「ああ、そうだな、俺たち3人で終わらせる!」
羨ましそうに見つめるビルゲンは、ポンチョを被り「お気をつけて」っと、囁く様に言葉を残し、バオと森に消えていく。
大木の根元に、身を寄せ合い隠れる惣一郎達。
そこに、セシルから連絡が入る。
『間違いありません! 確かに島の方角です。ですが、飛べるといっても国一つ越える距離です。すぐには現れないかと』
『奴の移動速度はわからん。辛抱強く待つしかないさ』
そう言いつつ惣一郎は、数時間と睨んでいる。
『セシル、島のみんなに事情を話し、奴が警戒しない様にキャンプからも離れてくれ! ギドにも応援を』
『わかりました…… そう伝えます』
寒い風が吹く森の中。
身を寄せ合い、暖をとる3人。
「ねぇ、ご主人様。ネウロはなんで厄災になったのかなぁ」
「何百年も一途に想っていたんだろう、ベリルを」
「ベリルが変わったから、ネウロも!って事?」
「まぁ、もう元のネウロなんてないのかもな、生まれ変わり、何度も…… きっとベリルへの想いだけが、今のネウロを動かしてるんだろう」
「旦那様は恨んでないのか? 殺されてたかもしれないんだぞ」
「弁慶が目の前でやられてたら、俺も同じ事するかもな」
「旦那様♡」
「ベンゾウはやられないよ! だからご主人様も死なないよ」
う、うん…… ん?
「まぁでも、これ以上暴走はさせない。止めてやろうぜ、俺たちで!」
「「 おお! 」」
いい事言った風な惣一郎。
その一時間後には、仲良く3人でイビキをかいていた……
「ご主人様!」
はっ!っと目を覚ます惣一郎。
異常な魔力が近付いて来るのがわかる。
「来たぞ! 声を出すなよ」
惣一郎は死玉を持ち、魔力を注ぐ。
カタカタと動き出し、起きあがろうと踠く王。
体からは、惣一郎の魔力と混ざる王の魔力が、目に見えて立ち昇る。
脆く崩れた折れた脚で立ち上がるとする次の瞬間!
爆音が土煙をあげ、森に轟く!
釣れた!
金色に輝く人型の蟲。
足元には無惨にもバラバラになった元王が、魔力を霧散させ、役目を終えていた。
「ギギ、王は…… ベリルの横に並ぶのは…… 私だけだぁぁぁぁ!」
ネウロは足元の死骸を掻き集め、バリバリと食べ始める。
異常な光景に、恐怖すら感じる惣一郎。
まだ動けない!
蟲人間ネウロは、食べたそばから益々と異形な物へと姿を変えていく。
その姿は以前のネウロとは、全くの別物に思えた……
その中身すら......
さぁ、ミルドラの元へ案内してもらおうか!
『ミルドラは、もう回復したのか!』
『いえ、それが現れたのはネウロだけの様で、ツナマヨさん達の話だと、グラサーナの様に厄災になっていたそうです!』
はい?
『どういう事?』
『わかりません……』
とうとう人間辞めたか…… いや、とっくに辞めてたか?
『それで、そのネウロは?』
『それが、突然飛び去ったと』
『何処に?』
『わかりません…… ですが飛び立つ前にネウロは、何かを感じ取った様に急に怒り出し「王は私だ」と叫んで消えたそうです』
王は私だ? ……まさか。
惣一郎は目の前の王を見る。
『セシル、位置関係は! ツナマヨ達がいる場所からネウロが飛び去った方角の先は、ここじゃないか調べてくれ!』
『はい!』
いや多分ここで、間違いないだろう。
俺が王を死玉で動かしたから、その魔力を感じ取ったに違いない。
そして奴は、それを感じ取れる距離にいる!
「ベンゾウ! 弁慶! ネウロがこの王の様になってここに来るぞ!」
「厄災を食ったのか!」
「知らん!」
「でも、どうするのだ? ネウロだけ来てもミルドラの消息がわからないと不味いのでは」
「それな……」
「生け捕る?」
「ん~ 良し! 隠れて王を操作して様子を見よう。奴がこの王を倒せば、ミルドラの所に戻るだろう。俺が瞬間移動で後をつける!」
そう言うと惣一郎は、迷彩のポンチョをみんなに配り、森に溶け込む様に指示する。
「追いかけるならアタイも行くぜ!」
「ベンゾウも!」
「いや、俺ひとりの方が動きやすいんだが」
「ミルドラを叩くなら、回復前の方がいいだろ旦那様! そのままケリを付けようぜ!」
まぁ、それもそうか……
「わかった。ビルゲン達は離れ、ミコ達と島を出てくれ頼む」
「3人で行くのか?」
「ああ、そうだな、俺たち3人で終わらせる!」
羨ましそうに見つめるビルゲンは、ポンチョを被り「お気をつけて」っと、囁く様に言葉を残し、バオと森に消えていく。
大木の根元に、身を寄せ合い隠れる惣一郎達。
そこに、セシルから連絡が入る。
『間違いありません! 確かに島の方角です。ですが、飛べるといっても国一つ越える距離です。すぐには現れないかと』
『奴の移動速度はわからん。辛抱強く待つしかないさ』
そう言いつつ惣一郎は、数時間と睨んでいる。
『セシル、島のみんなに事情を話し、奴が警戒しない様にキャンプからも離れてくれ! ギドにも応援を』
『わかりました…… そう伝えます』
寒い風が吹く森の中。
身を寄せ合い、暖をとる3人。
「ねぇ、ご主人様。ネウロはなんで厄災になったのかなぁ」
「何百年も一途に想っていたんだろう、ベリルを」
「ベリルが変わったから、ネウロも!って事?」
「まぁ、もう元のネウロなんてないのかもな、生まれ変わり、何度も…… きっとベリルへの想いだけが、今のネウロを動かしてるんだろう」
「旦那様は恨んでないのか? 殺されてたかもしれないんだぞ」
「弁慶が目の前でやられてたら、俺も同じ事するかもな」
「旦那様♡」
「ベンゾウはやられないよ! だからご主人様も死なないよ」
う、うん…… ん?
「まぁでも、これ以上暴走はさせない。止めてやろうぜ、俺たちで!」
「「 おお! 」」
いい事言った風な惣一郎。
その一時間後には、仲良く3人でイビキをかいていた……
「ご主人様!」
はっ!っと目を覚ます惣一郎。
異常な魔力が近付いて来るのがわかる。
「来たぞ! 声を出すなよ」
惣一郎は死玉を持ち、魔力を注ぐ。
カタカタと動き出し、起きあがろうと踠く王。
体からは、惣一郎の魔力と混ざる王の魔力が、目に見えて立ち昇る。
脆く崩れた折れた脚で立ち上がるとする次の瞬間!
爆音が土煙をあげ、森に轟く!
釣れた!
金色に輝く人型の蟲。
足元には無惨にもバラバラになった元王が、魔力を霧散させ、役目を終えていた。
「ギギ、王は…… ベリルの横に並ぶのは…… 私だけだぁぁぁぁ!」
ネウロは足元の死骸を掻き集め、バリバリと食べ始める。
異常な光景に、恐怖すら感じる惣一郎。
まだ動けない!
蟲人間ネウロは、食べたそばから益々と異形な物へと姿を変えていく。
その姿は以前のネウロとは、全くの別物に思えた……
その中身すら......
さぁ、ミルドラの元へ案内してもらおうか!
13
お気に入りに追加
1,858
あなたにおすすめの小説
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる