異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第十八章

十四話 【重い愛】

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『惣一郎様! ネウロが、ネウロが現れました!』

『ミルドラは、もう回復したのか!』

『いえ、それが現れたのはネウロだけの様で、ツナマヨさん達の話だと、グラサーナの様に厄災になっていたそうです!』

はい?

『どういう事?』

『わかりません……』

とうとう人間辞めたか…… いや、とっくに辞めてたか?

『それで、そのネウロは?』

『それが、突然飛び去ったと』

『何処に?』

『わかりません…… ですが飛び立つ前にネウロは、何かを感じ取った様に急に怒り出し「王は私だ」と叫んで消えたそうです』

王は私だ? ……まさか。

惣一郎は目の前の王を見る。

『セシル、位置関係は! ツナマヨ達がいる場所からネウロが飛び去った方角の先は、ここじゃないか調べてくれ!』

『はい!』

いや多分ここで、間違いないだろう。

俺が王を死玉で動かしたから、その魔力を感じ取ったに違いない。

そして奴は、それを感じ取れる距離にいる!

「ベンゾウ! 弁慶! ネウロがこの王の様になってここに来るぞ!」

「厄災を食ったのか!」

「知らん!」

「でも、どうするのだ? ネウロだけ来てもミルドラの消息がわからないと不味いのでは」

「それな……」

「生け捕る?」

「ん~ 良し! 隠れて王を操作して様子を見よう。奴がこの王を倒せば、ミルドラの所に戻るだろう。俺が瞬間移動で後をつける!」

そう言うと惣一郎は、迷彩のポンチョをみんなに配り、森に溶け込む様に指示する。

「追いかけるならアタイも行くぜ!」

「ベンゾウも!」

「いや、俺ひとりの方が動きやすいんだが」

「ミルドラを叩くなら、回復前の方がいいだろ旦那様! そのままケリを付けようぜ!」

まぁ、それもそうか……

「わかった。ビルゲン達は離れ、ミコ達と島を出てくれ頼む」

「3人で行くのか?」

「ああ、そうだな、俺たち3人で終わらせる!」

羨ましそうに見つめるビルゲンは、ポンチョを被り「お気をつけて」っと、囁く様に言葉を残し、バオと森に消えていく。



大木の根元に、身を寄せ合い隠れる惣一郎達。

そこに、セシルから連絡が入る。

『間違いありません! 確かに島の方角です。ですが、飛べるといっても国一つ越える距離です。すぐには現れないかと』

『奴の移動速度はわからん。辛抱強く待つしかないさ』

そう言いつつ惣一郎は、数時間と睨んでいる。

『セシル、島のみんなに事情を話し、奴が警戒しない様にキャンプからも離れてくれ! ギドにも応援を』

『わかりました…… そう伝えます』




寒い風が吹く森の中。

身を寄せ合い、暖をとる3人。

「ねぇ、ご主人様。ネウロはなんで厄災になったのかなぁ」

「何百年も一途に想っていたんだろう、ベリルを」

「ベリルが変わったから、ネウロも!って事?」

「まぁ、もう元のネウロなんてないのかもな、生まれ変わり、何度も…… きっとベリルへの想いだけが、今のネウロを動かしてるんだろう」

「旦那様は恨んでないのか? 殺されてたかもしれないんだぞ」

「弁慶が目の前でやられてたら、俺も同じ事するかもな」

「旦那様♡」

「ベンゾウはやられないよ! だからご主人様も死なないよ」

う、うん…… ん?

「まぁでも、これ以上暴走はさせない。止めてやろうぜ、俺たちで!」

「「 おお! 」」

いい事言った風な惣一郎。

その一時間後には、仲良く3人でイビキをかいていた……





「ご主人様!」

はっ!っと目を覚ます惣一郎。

異常な魔力が近付いて来るのがわかる。

「来たぞ! 声を出すなよ」

惣一郎は死玉を持ち、魔力を注ぐ。

カタカタと動き出し、起きあがろうと踠く王。

体からは、惣一郎の魔力と混ざる王の魔力が、目に見えて立ち昇る。

脆く崩れた折れた脚で立ち上がるとする次の瞬間!

爆音が土煙をあげ、森に轟く!

釣れた!

金色に輝く人型の蟲。

足元には無惨にもバラバラになった元王が、魔力を霧散させ、役目を終えていた。

「ギギ、王は…… ベリルの横に並ぶのは…… 私だけだぁぁぁぁ!」

ネウロは足元の死骸を掻き集め、バリバリと食べ始める。

異常な光景に、恐怖すら感じる惣一郎。

まだ動けない!

蟲人間ネウロは、食べたそばから益々と異形な物へと姿を変えていく。

その姿は以前のネウロとは、全くの別物に思えた…… 

その中身すら......

さぁ、ミルドラの元へ案内してもらおうか!





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