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第十八章

十一話 【タフなアイツ!】

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結局、悩んだ末にサーズリが、なんとか獣王と連絡をとり、使い方を聞く事になる。

「まったく、宝の持ち腐れじゃね~か!」

「えっ、鉈を返す?」

「って、ガオが言ってました!」

「ガッ、ガオ!」

………




翌朝、現地の草原に着いたフジンカガイライとワイドンテ。

霧がかる草原には、大量のノイテが食い散らかされていた。

「あの大きさのノイテを…… 凄い食欲だな」

「厄災は何処にいるんだ!」

「気を付けろ! 奴ら夜は活動しないから何処かに隠れているはずだ」

ツナマヨはマジックバッグからスプレー缶を取り出して配り始める。

ワイドンテ騎士団は4つのグループに分かれ、ツナマヨ達を含む5つのグループで広く分かれる。

霧の中、山の様なノイテの影に近付いていく、イグラシオと騎士2人。

すると、食い散らされた巨大な牛、ノイテの死骸から、長い髭が2本、ビュンビュンと空を切る様に動き出す。

「厄災は、死骸の中だ!」

大声をあげ、スプレー缶を向け、教わった通り頭頂部のボタンを押すイグラシオ!

ジェットタイプの霧が4m先の死骸に向けて飛び広がるが、それよりも早く黒い影は、地を這う様に右に走り去り霧の中へ消えていく。

「素早い、追うぞ!」




ワイドンテ騎士団エゾシコと3人の騎士は、盾を構え槍を向けながら、慎重に死骸の山に近づく。

「草原で隠れるなら、死骸の中しかない! 囲むぞ!」

四方に分かれて死骸に近付く騎士達。

カサカサっと音が聞こえる。

「何処だ、近いぞ!」

霧の中、突然背後から現れた2mの黒い厄災が、盾を構える騎士の背中に強烈なタックルを喰らわし、霧の中へと姿を隠す!

鎧の騎士は宙を舞い、少し先の地面に落ちる!

「大丈夫か!」

「ああ、何ともない、凄いぞこの防具!」

「感心してる場合か!」

スプレー缶を構えるエゾシコが、仲間に注意を逸らすと、死骸の山から飛び出した別の厄災がエゾシコを轢いて、カサカサと霧の中へ消えていく。




「団長、どうやら霧の中を動き回ってる様だぞ!」

「らしいな! トーマ、私は一人で動くみんなと死骸の山を調べてくれ!」

「ああ、わかった」

霧の中ひとりで目を閉じて、腰を落とすツナマヨ。

刀に右手をそっと添え、気配を消す。

カサカサ、カサカサ。




「いたぞ!」

死骸に抱き付き、ジュルジュル音を立てる厄災に、そっと近付くサリーワイズとピノ達。

ピノが杖を構え光剣を作り出すと、長い触覚を振り始める厄災。

ジュルジュルと吸う様な音はいつのまにか聞こえなくなっており、代わりに触覚が空を切る音がしていた。

霧を裂き、無数の光剣が上空から厄災に降り注ぐ!

死骸を撒き散らし刺さる光剣!

厄災はそれを縫う様に素早く低く、ピノに近付く!

騎士が盾と槍を構えピノの前に出ると、進路を変え、サリーワイズに襲い掛かる!

シューーーーーー!

スプレーを向けるサリーワイズの前で、ひっくり返り足を縮めて動かなくなる厄災。

「えっ! 死んだの?」

「「 ………… 」」

「さっ流石です、お姉様!」

目を丸く固まるサリーワイズ。





別の場所でも、ひっくり返った厄災と手に持つスプレーを見比べる騎士達がいた。

「倒したのか!」

「トーマ殿! ええ、それがあっさりと……」

「まだ数がいる、油断するなよ!」

カサカサ。

「近い、構えろ!」

カサカサ、カサカサ。

盾構えるトーマ!

騎士達もスプレーと剣を構える。

「いた!」

ゴザの光矢が、霧の中を動く影を捉える!

少しズレたが、厄災を地面に縫い付けた光矢!

追いかける様に炎槍が影に突き刺さると、青く燃え上がる!

「この厄災は固くない様じゃ!」

「ああ、だがタフだぞ!」

燃えながらも刺さった場所を引きちぎり、カサカサ動き出す厄災。

素早さは無くなったが、燃えながら真っ直ぐ突っ込んで来る!

スプレーを向け噴霧するギコル!

だが、赤く燃え広がり驚く!

「火を吹いたぞ!」

突っ込む厄災を盾で弾き返すトーマ!

「燃えてる敵には効かないのか!」

光矢がさらに地面に縫い付け、完全に動けなくすると、燃える火の中でも長い髭が動いていた。






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