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第十八章
九話 【たまたま?】
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弁慶のフルスイングが、カミキリムシの頭部に撃ち込まれる!
6本の脚を折り、地面に張り付くカミキリムシ。
だが、頭部にヒビを入れただけだった。
アゴをギシギシ鳴らしながら、小刻みに震え起きあがろうとする厄災。
「ジジイ! あの魔法だ!」
っと、上空高くガオに投げ飛ばされたミコは、回転しながら弾丸となりカミキリムシの背中に激しくぶつかる!
くの字に反る厄災。
だが、こちらもヒビが入っただけだった……
「ジジイ!」
「そんな急には無理じゃ、歳を考えろ!」
そこにゼリオスが杖を構え、
「下がってください!」
っと、声を上げる!
ビルゲンが出す氷塊がゼリオスの魔法陣に吸い込まれると、凍える風が厄災に吹き付ける!
動かなくなるカミキリムシは、足元から凍りつき、触覚が折れる。
弁慶がツノを伸ばし赤くなり、渾身のフルスイング!
「ジジイ!」
「わかっちょる!」
侃護斧が撃ち込まれた頭部から体半分が砕け、吹き飛ぶ!
撃ち込んだ侃護斧の重さに弁慶が驚いていた。
「やはり、厄災の弱点は冷気の様ですね……」
槍を構えるイグラシオ達は、弁慶達の素早い連携に何も出来ずにいたが、ツナマヨ達は近くに落ちたクワガタにトドメを刺していた。
「寒い…… ご主人様……」
惣一郎の背中に張り付き、島の上空を飛ぶベンゾウ。
「だから、待ってりゃ良かっただろ、様子を見に来ただけなんだから」
そう言いながら、防寒着を出して着せる惣一郎。
島は、南国とは思えない寒さで、木々が凍り、地面には霜が降りていた。
凍りつく厄災。
チラホラと、カタカタ鈍く動く物も見えた。
火山上空まで行くと、暗い火口には、うっすら赤いマグマが見えた。
惣一郎が心配した火山には影響は無さそうであった。
その火口に飛び込む厄災もいた。
惣一郎は近くに降りて、広範囲にサーチを唱える。
「結果オーライだな…… 大分、数が減ったぞ」
「王は?」
惣一郎は生き残りに意識を向ける……
「ん~ あれ? ポイのがいないぞ!」
「死んだの?」
「わからん、地下なのかも知れん」
するとそこに、セシルからコールが入る。
『惣一郎様! サーズリさんに厄災が出たと連絡が入ったそうです! [テレス]南部の[ロッドの街]付近に、黒い厄災が現れ、ギルドから応援要請が』
『数は?』
『詳しくはまだですが、複数です』
『わかった。俺は今ここを離れられんから、ツナマヨ達とワイドンテに向かってもらってくれ!』
『わかりました』
「ツナマヨさん! 惣一郎様が島の調査で動けないので、ワイドンテ騎士団の方々とお願いしたいと」
「わかった。ロッドの街まで飛べるそうなので、直ぐに向かおう」
ツナマヨは、イグラシオに事情を話し、施設へと向かっていった。
陽が傾き始めた頃、火山付近で惣一郎は立ち止まり固まっていた。
目の前には、金色がくすんでいる異形の厄災が、まさに虫の息であったのだ。
「まさか、コレが王か……」
以前、旧ゼリアオールスで見た、厄災召喚の末に自身まで厄災と変わり果てた、グラサーナに似ていた。
いや、それよりはもっと蟲っぽいが、サイズ的に他の厄災よりも、人に近いその厄災。
場所的にゼリオス達の魔法を運悪く直撃したのだろう金色の厄災は、羽を凍らせ、6本の手足も変色し崩れかかっていた。
惣一郎を見る蜂の様な黒い目はくすみがかり、口元の毛玉がついた様な触覚が、時折動いていた。
「まさか違うよな? 魔力も弱々しいし……」
「ご主人様、多分コレが王だよ」
「死にそうだが?」
「死にそうだね」
グラサーナもバッタの死骸を食べて強くなってたな……
行き着く先がコレなのか?
偶然にもゼリオスとビルゲンの魔法が、たまたま島に溜まった魔力を取り込んでしまい、たまたま落ちた所に、たまたまいた王に直撃した……
「なんてこった……」
6本の脚を折り、地面に張り付くカミキリムシ。
だが、頭部にヒビを入れただけだった。
アゴをギシギシ鳴らしながら、小刻みに震え起きあがろうとする厄災。
「ジジイ! あの魔法だ!」
っと、上空高くガオに投げ飛ばされたミコは、回転しながら弾丸となりカミキリムシの背中に激しくぶつかる!
くの字に反る厄災。
だが、こちらもヒビが入っただけだった……
「ジジイ!」
「そんな急には無理じゃ、歳を考えろ!」
そこにゼリオスが杖を構え、
「下がってください!」
っと、声を上げる!
ビルゲンが出す氷塊がゼリオスの魔法陣に吸い込まれると、凍える風が厄災に吹き付ける!
動かなくなるカミキリムシは、足元から凍りつき、触覚が折れる。
弁慶がツノを伸ばし赤くなり、渾身のフルスイング!
「ジジイ!」
「わかっちょる!」
侃護斧が撃ち込まれた頭部から体半分が砕け、吹き飛ぶ!
撃ち込んだ侃護斧の重さに弁慶が驚いていた。
「やはり、厄災の弱点は冷気の様ですね……」
槍を構えるイグラシオ達は、弁慶達の素早い連携に何も出来ずにいたが、ツナマヨ達は近くに落ちたクワガタにトドメを刺していた。
「寒い…… ご主人様……」
惣一郎の背中に張り付き、島の上空を飛ぶベンゾウ。
「だから、待ってりゃ良かっただろ、様子を見に来ただけなんだから」
そう言いながら、防寒着を出して着せる惣一郎。
島は、南国とは思えない寒さで、木々が凍り、地面には霜が降りていた。
凍りつく厄災。
チラホラと、カタカタ鈍く動く物も見えた。
火山上空まで行くと、暗い火口には、うっすら赤いマグマが見えた。
惣一郎が心配した火山には影響は無さそうであった。
その火口に飛び込む厄災もいた。
惣一郎は近くに降りて、広範囲にサーチを唱える。
「結果オーライだな…… 大分、数が減ったぞ」
「王は?」
惣一郎は生き残りに意識を向ける……
「ん~ あれ? ポイのがいないぞ!」
「死んだの?」
「わからん、地下なのかも知れん」
するとそこに、セシルからコールが入る。
『惣一郎様! サーズリさんに厄災が出たと連絡が入ったそうです! [テレス]南部の[ロッドの街]付近に、黒い厄災が現れ、ギルドから応援要請が』
『数は?』
『詳しくはまだですが、複数です』
『わかった。俺は今ここを離れられんから、ツナマヨ達とワイドンテに向かってもらってくれ!』
『わかりました』
「ツナマヨさん! 惣一郎様が島の調査で動けないので、ワイドンテ騎士団の方々とお願いしたいと」
「わかった。ロッドの街まで飛べるそうなので、直ぐに向かおう」
ツナマヨは、イグラシオに事情を話し、施設へと向かっていった。
陽が傾き始めた頃、火山付近で惣一郎は立ち止まり固まっていた。
目の前には、金色がくすんでいる異形の厄災が、まさに虫の息であったのだ。
「まさか、コレが王か……」
以前、旧ゼリアオールスで見た、厄災召喚の末に自身まで厄災と変わり果てた、グラサーナに似ていた。
いや、それよりはもっと蟲っぽいが、サイズ的に他の厄災よりも、人に近いその厄災。
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惣一郎を見る蜂の様な黒い目はくすみがかり、口元の毛玉がついた様な触覚が、時折動いていた。
「まさか違うよな? 魔力も弱々しいし……」
「ご主人様、多分コレが王だよ」
「死にそうだが?」
「死にそうだね」
グラサーナもバッタの死骸を食べて強くなってたな……
行き着く先がコレなのか?
偶然にもゼリオスとビルゲンの魔法が、たまたま島に溜まった魔力を取り込んでしまい、たまたま落ちた所に、たまたまいた王に直撃した……
「なんてこった……」
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