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第十八章

八話 【凍える南国】

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肩を落とし座り込む惣一郎。

「マジで焦った……」

「ままま、まぁ、ほら惣一郎様! 目的の厄災もあらかた倒したみたいだし……」

確かに弱い厄災は、今のでほとんど倒しただろう。

残りも寒さと薬で弱ってるはずだ。

それでも……

「みんな巻き込んで、危なかったんだぞ」

シュンと落ち込むビルゲン。

「申し訳ありません、まさかこんな事になるとは……」

ハツネツガイライの4人も正座で反省していた。

「まぁ、その嬢ちゃんの言う通り、目的は果たしたんじゃろ? みな無事だったんじゃ、良しと思え惣一郎よ!」

横になったまま貫禄めいた事を言うジゼルに、軽くイラッとする惣一郎だった。

「どの道コレじゃすぐには、島に入れないだろ旦那! 少し休もうぜ」

「確かにミコ殿の言う通り、島には行けんな」

せめて王の所在だけでも確認したかったが……

するとセシルが、

「惣一郎様、もし今ので厄災の王が倒れていたら、ミルドラはここに来ないのでは?」

確かにそれも困る……

だが、腐っても王だ! 生き残ってる厄災がいるのなら、その中にいるはず。

「仕方ない、俺だけでも島に戻って状況を確認してくるしかないか…… みんなは少し休んでてくれ!」

「べべべべンゾウもももも、いくくくく」

「お前は風呂にでも入って温まって来い!」

冷たい海で溺れたベンゾウはブルブル震えながら、惣一郎に付いて行くと駄々をこねだす。

「旦那様、今直ぐ出なくても。旦那様も少し休んだ方が」

「惣一郎殿、ギルドからもまだ、なんの連絡もありません! 急がなくとも大丈夫かと」

まぁ、ミルドラもあの深傷だ、直ぐには動かないか……

弁慶とサーズリの説得に、みんなで休む事になる。




浜辺に簡易の風呂を作り、各々交互に温まる。

軽食で満たされ落ち着いた頃、セシルが大声を上げる。

「厄災が! 島から厄災が飛んで来ます!」

みんなの目が島に向くと、数匹の厄災が海を渡ろうと力無く飛んでくる。

上昇下降を繰り返す巨大な厄災は、力及ばず海に落ちるのもいた。

最後の力を振り絞り羽音を響かせ、飛ぶ厄災。

近く惣一郎達がいる島まで届く厄災は、2匹だけだった。

構えるイグラシオ達。

惣一郎達はただ見ていた。

浜辺に力無く落ちる厄災。

巨大なクワガタは、そのまま出した羽を仕舞う力もなく動かない。

その近くに落ちるクワガタより小さい鋏と長い触覚。

カミキリムシだろう厄災は、艶のないゴツゴツした体でギシギシ音を出し、震える様に起き上がる。

その背後で、海に落ちる厄災。

寒い島から逃げる様に飛ぶ厄災だが、そのほとんどが、海に落ちて行く。

「惣一郎様!」

「その厄災は頼んだ、俺は島を見てくる!」

理喪棍を持ち、飛ぼうとするとベンゾウが抱きつく!

「ベンゾウも一緒!」

背中にくっついたベンゾウごと消える惣一郎。

侃護斧を構えた弁慶が「ちょズルい!」っとカミキリムシへ突っ込んで行く。




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