異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
上 下
386 / 409
第十七章

十五話 【知らない未来】

しおりを挟む
「消えたのか!」

驚き見渡す惣一郎。

「惣一郎殿! 次元は開いていません! 転移か何かかと!」

慌てる惣一郎がサーチを唱えると、ミルドラは叫んだゼリオスの後ろにいた!

「ゼリオス、後ろだ!」

振り向くゼリオス!

だが何もいない。

すると横から衝撃を受けて、吹っ飛ぶ!

背景と同じ色に擬態したミルドラが一瞬見えた。

「「「 ゼリオス! 」」」

持っていた杖が衝撃を緩和したのか、くの字に折れていた。

「くっ、あっ、足を……」

飛ばされたゼリオスの足も折れていた。

「少しそこで、休んでおるのじゃ!」

杖を掲げ、集中するエル。

エルの体の周りを風が吹き始め、砂埃が舞い、旋風がエルを包んでいくと、バチ、バチバチ!っと放電が始まる。

その時間をギコルが稼ぐ!

なるほど、見えなくても雷なら近くにいれば! 

「弁慶! 今のうちにゼリオスを下がらせろ!」

惣一郎が叫ぶと、髪の毛が逆だったエルの周りで放電が激しさを増す!

ミルドラに蹴り飛ばされるギコル!

「喰らうのじゃ!」

眩しい光が一瞬、ミルドラの影を写すと、落雷がミルドラの影に吸い寄せられる様に伸びるのが見えた!

ドッゴオオオオオォォォォ!

地面を揺らす様な音が、鼓膜と腹に衝撃を与える!

「やったか!?」

地面が焦げ煙を上げる中、ミルドラは剣を地面に刺し、もたれかかる様な姿勢で体から、煙を上げていた。







広場付近には、瓦礫の山が出来ていた。

ダンジョンの入り口だった獅子も崩れ、足だけがかろうじて、残っていた。

その巨大な岩山を崩し、現れる片腕のサソリ。

脚も2本しか残っておらず、鋏と毒針の付いた尻尾を使い、不器用に這い出る。

「もう一息じゃ!」

斧を構えるガブガ。

そこにいきなり現れる、ベンゾウ達。

「ガブガ、応援に来たぞ!」

鉈を構え、ガブガの横に立つミコ。

「良くやったゴザ、後は任せるがいい!」

腰の刀に手をかけるツナマヨ。

すると、戦いをずっと見ていたダンジョンからミルドラと一緒に現れた獣人の男が、

「あんたら、一体何者なんだ! ベリルは? ベリルは何処に!」

っと、騒ぎ出す。

「ベリルなら、ご主人様と西側にいるよ」

胸からつぶれたお菓子を出して、袋を剥くベンゾウ。

「あんたは、惣一郎と一緒にいた……」

「話は後だ、一気に行くぞ!」

毛深く獣化して行くミコが、鉈を構え走り出すと、みんなが後に続く!

モグモグ……

「お前は…… 行かないのか?」

「だって、モグモグ、邪魔すると怒るんだもん!」

するとギドが、

「まぁ、あの様子ならミコ達だけで十分だろう。先に行くか? 惣一郎の所へ」

「うん、そうする!」

「まっ、待ってくれ! ベリルもそこにいるのだろう? 俺も、俺も連れて行ってくれ! 頼む」

ギドは、無かった事になった未来で、イグラシオに乗り移り、ダンジョンで共に戦ったネウロが、この獣人の青年である事に、違和感を感じていた。

「……まぁいいだろ、お前も掴まれ!」

ベンゾウの肩に手を置くギドが、杖をネウロに向け握る様に差し出す。

パッパッと景色が変わると、片膝を突き、牙の剣にもたれかかるミルドラが、体から煙を上げていた。

姿勢は辛そうだが、表情は無い。

「ベリル!」

「ベンゾウか! あと少しだ、頼む!」

「うん、ご主人様!」

小刀を抜き、黒いオーラを登らせるベンゾウが、歩き出す!

魔力を使い切ったのか、杖を掲げたまま気を失っているエルの元に走り出すギコルも足を引きずっていた!

惣一郎は、先を尖らせただけの鉄の棒の槍を、何十本と空に浮かせる!

ゼリオスを避難させた弁慶も、戻り侃護斧を構える!

ゆっくりと立ち上がるミルドラ。

ゆらりと消えるベンゾウの残像。

一瞬で牙の剣と美善國家と國千代が、火花を散らす!

まだ、あんなに動けたのか!

トドメと近付けば、ベンゾウ以外ならやられていたかも知れないと、冷や汗を流す惣一郎。

素早く目で追えないベンゾウの動きに、先が見えている様な動きで競り合うミルドラ!

二人の戦いに、割って入る隙が無い!

だが、ベンゾウがミルドラの額の触覚を一本切り落とすと隙が生まれ、背後から弁慶の渾身のフルスイングがミルドラの背後に炸裂する!

反り返り前に吹き飛ぶミルドラが、無様に顔から地面に、スライディングする様に滑り倒れる!

そこへ惣一郎が、空に浮いた槍を叩き込もうと理喪棍を掲げる!

なっ……

背中に感じた衝撃は胸の下を貫き、惣一郎の目には、赤く血で染まった剣の先だけが自分の腹に見えた……

「ご主人様ーーーーー!!!!」




しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...