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第十七章
十五話 【知らない未来】
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「消えたのか!」
驚き見渡す惣一郎。
「惣一郎殿! 次元は開いていません! 転移か何かかと!」
慌てる惣一郎がサーチを唱えると、ミルドラは叫んだゼリオスの後ろにいた!
「ゼリオス、後ろだ!」
振り向くゼリオス!
だが何もいない。
すると横から衝撃を受けて、吹っ飛ぶ!
背景と同じ色に擬態したミルドラが一瞬見えた。
「「「 ゼリオス! 」」」
持っていた杖が衝撃を緩和したのか、くの字に折れていた。
「くっ、あっ、足を……」
飛ばされたゼリオスの足も折れていた。
「少しそこで、休んでおるのじゃ!」
杖を掲げ、集中するエル。
エルの体の周りを風が吹き始め、砂埃が舞い、旋風がエルを包んでいくと、バチ、バチバチ!っと放電が始まる。
その時間をギコルが稼ぐ!
なるほど、見えなくても雷なら近くにいれば!
「弁慶! 今のうちにゼリオスを下がらせろ!」
惣一郎が叫ぶと、髪の毛が逆だったエルの周りで放電が激しさを増す!
ミルドラに蹴り飛ばされるギコル!
「喰らうのじゃ!」
眩しい光が一瞬、ミルドラの影を写すと、落雷がミルドラの影に吸い寄せられる様に伸びるのが見えた!
ドッゴオオオオオォォォォ!
地面を揺らす様な音が、鼓膜と腹に衝撃を与える!
「やったか!?」
地面が焦げ煙を上げる中、ミルドラは剣を地面に刺し、もたれかかる様な姿勢で体から、煙を上げていた。
広場付近には、瓦礫の山が出来ていた。
ダンジョンの入り口だった獅子も崩れ、足だけがかろうじて、残っていた。
その巨大な岩山を崩し、現れる片腕のサソリ。
脚も2本しか残っておらず、鋏と毒針の付いた尻尾を使い、不器用に這い出る。
「もう一息じゃ!」
斧を構えるガブガ。
そこにいきなり現れる、ベンゾウ達。
「ガブガ、応援に来たぞ!」
鉈を構え、ガブガの横に立つミコ。
「良くやったゴザ、後は任せるがいい!」
腰の刀に手をかけるツナマヨ。
すると、戦いをずっと見ていたダンジョンからミルドラと一緒に現れた獣人の男が、
「あんたら、一体何者なんだ! ベリルは? ベリルは何処に!」
っと、騒ぎ出す。
「ベリルなら、ご主人様と西側にいるよ」
胸からつぶれたお菓子を出して、袋を剥くベンゾウ。
「あんたは、惣一郎と一緒にいた……」
「話は後だ、一気に行くぞ!」
毛深く獣化して行くミコが、鉈を構え走り出すと、みんなが後に続く!
モグモグ……
「お前は…… 行かないのか?」
「だって、モグモグ、邪魔すると怒るんだもん!」
するとギドが、
「まぁ、あの様子ならミコ達だけで十分だろう。先に行くか? 惣一郎の所へ」
「うん、そうする!」
「まっ、待ってくれ! ベリルもそこにいるのだろう? 俺も、俺も連れて行ってくれ! 頼む」
ギドは、無かった事になった未来で、イグラシオに乗り移り、ダンジョンで共に戦ったネウロが、この獣人の青年である事に、違和感を感じていた。
「……まぁいいだろ、お前も掴まれ!」
ベンゾウの肩に手を置くギドが、杖をネウロに向け握る様に差し出す。
パッパッと景色が変わると、片膝を突き、牙の剣にもたれかかるミルドラが、体から煙を上げていた。
姿勢は辛そうだが、表情は無い。
「ベリル!」
「ベンゾウか! あと少しだ、頼む!」
「うん、ご主人様!」
小刀を抜き、黒いオーラを登らせるベンゾウが、歩き出す!
魔力を使い切ったのか、杖を掲げたまま気を失っているエルの元に走り出すギコルも足を引きずっていた!
惣一郎は、先を尖らせただけの鉄の棒の槍を、何十本と空に浮かせる!
ゼリオスを避難させた弁慶も、戻り侃護斧を構える!
ゆっくりと立ち上がるミルドラ。
ゆらりと消えるベンゾウの残像。
一瞬で牙の剣と美善國家と國千代が、火花を散らす!
まだ、あんなに動けたのか!
トドメと近付けば、ベンゾウ以外ならやられていたかも知れないと、冷や汗を流す惣一郎。
素早く目で追えないベンゾウの動きに、先が見えている様な動きで競り合うミルドラ!
二人の戦いに、割って入る隙が無い!
だが、ベンゾウがミルドラの額の触覚を一本切り落とすと隙が生まれ、背後から弁慶の渾身のフルスイングがミルドラの背後に炸裂する!
反り返り前に吹き飛ぶミルドラが、無様に顔から地面に、スライディングする様に滑り倒れる!
そこへ惣一郎が、空に浮いた槍を叩き込もうと理喪棍を掲げる!
なっ……
背中に感じた衝撃は胸の下を貫き、惣一郎の目には、赤く血で染まった剣の先だけが自分の腹に見えた……
「ご主人様ーーーーー!!!!」
驚き見渡す惣一郎。
「惣一郎殿! 次元は開いていません! 転移か何かかと!」
慌てる惣一郎がサーチを唱えると、ミルドラは叫んだゼリオスの後ろにいた!
「ゼリオス、後ろだ!」
振り向くゼリオス!
だが何もいない。
すると横から衝撃を受けて、吹っ飛ぶ!
背景と同じ色に擬態したミルドラが一瞬見えた。
「「「 ゼリオス! 」」」
持っていた杖が衝撃を緩和したのか、くの字に折れていた。
「くっ、あっ、足を……」
飛ばされたゼリオスの足も折れていた。
「少しそこで、休んでおるのじゃ!」
杖を掲げ、集中するエル。
エルの体の周りを風が吹き始め、砂埃が舞い、旋風がエルを包んでいくと、バチ、バチバチ!っと放電が始まる。
その時間をギコルが稼ぐ!
なるほど、見えなくても雷なら近くにいれば!
「弁慶! 今のうちにゼリオスを下がらせろ!」
惣一郎が叫ぶと、髪の毛が逆だったエルの周りで放電が激しさを増す!
ミルドラに蹴り飛ばされるギコル!
「喰らうのじゃ!」
眩しい光が一瞬、ミルドラの影を写すと、落雷がミルドラの影に吸い寄せられる様に伸びるのが見えた!
ドッゴオオオオオォォォォ!
地面を揺らす様な音が、鼓膜と腹に衝撃を与える!
「やったか!?」
地面が焦げ煙を上げる中、ミルドラは剣を地面に刺し、もたれかかる様な姿勢で体から、煙を上げていた。
広場付近には、瓦礫の山が出来ていた。
ダンジョンの入り口だった獅子も崩れ、足だけがかろうじて、残っていた。
その巨大な岩山を崩し、現れる片腕のサソリ。
脚も2本しか残っておらず、鋏と毒針の付いた尻尾を使い、不器用に這い出る。
「もう一息じゃ!」
斧を構えるガブガ。
そこにいきなり現れる、ベンゾウ達。
「ガブガ、応援に来たぞ!」
鉈を構え、ガブガの横に立つミコ。
「良くやったゴザ、後は任せるがいい!」
腰の刀に手をかけるツナマヨ。
すると、戦いをずっと見ていたダンジョンからミルドラと一緒に現れた獣人の男が、
「あんたら、一体何者なんだ! ベリルは? ベリルは何処に!」
っと、騒ぎ出す。
「ベリルなら、ご主人様と西側にいるよ」
胸からつぶれたお菓子を出して、袋を剥くベンゾウ。
「あんたは、惣一郎と一緒にいた……」
「話は後だ、一気に行くぞ!」
毛深く獣化して行くミコが、鉈を構え走り出すと、みんなが後に続く!
モグモグ……
「お前は…… 行かないのか?」
「だって、モグモグ、邪魔すると怒るんだもん!」
するとギドが、
「まぁ、あの様子ならミコ達だけで十分だろう。先に行くか? 惣一郎の所へ」
「うん、そうする!」
「まっ、待ってくれ! ベリルもそこにいるのだろう? 俺も、俺も連れて行ってくれ! 頼む」
ギドは、無かった事になった未来で、イグラシオに乗り移り、ダンジョンで共に戦ったネウロが、この獣人の青年である事に、違和感を感じていた。
「……まぁいいだろ、お前も掴まれ!」
ベンゾウの肩に手を置くギドが、杖をネウロに向け握る様に差し出す。
パッパッと景色が変わると、片膝を突き、牙の剣にもたれかかるミルドラが、体から煙を上げていた。
姿勢は辛そうだが、表情は無い。
「ベリル!」
「ベンゾウか! あと少しだ、頼む!」
「うん、ご主人様!」
小刀を抜き、黒いオーラを登らせるベンゾウが、歩き出す!
魔力を使い切ったのか、杖を掲げたまま気を失っているエルの元に走り出すギコルも足を引きずっていた!
惣一郎は、先を尖らせただけの鉄の棒の槍を、何十本と空に浮かせる!
ゼリオスを避難させた弁慶も、戻り侃護斧を構える!
ゆっくりと立ち上がるミルドラ。
ゆらりと消えるベンゾウの残像。
一瞬で牙の剣と美善國家と國千代が、火花を散らす!
まだ、あんなに動けたのか!
トドメと近付けば、ベンゾウ以外ならやられていたかも知れないと、冷や汗を流す惣一郎。
素早く目で追えないベンゾウの動きに、先が見えている様な動きで競り合うミルドラ!
二人の戦いに、割って入る隙が無い!
だが、ベンゾウがミルドラの額の触覚を一本切り落とすと隙が生まれ、背後から弁慶の渾身のフルスイングがミルドラの背後に炸裂する!
反り返り前に吹き飛ぶミルドラが、無様に顔から地面に、スライディングする様に滑り倒れる!
そこへ惣一郎が、空に浮いた槍を叩き込もうと理喪棍を掲げる!
なっ……
背中に感じた衝撃は胸の下を貫き、惣一郎の目には、赤く血で染まった剣の先だけが自分の腹に見えた……
「ご主人様ーーーーー!!!!」
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