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第十七章

十二話 【真夜中の会議】

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明日に大事な戦いを控えているのに、嬉しそうにはしゃぐ惣一郎。

一本取られたベンゾウは、

「そっちの瓶はなんだったの?」

っと、誤魔化す。

「読めんのよ…… なんだろう」

なんの躊躇もなく、瓶を開ける惣一郎。

シュポン!

瓶から光が広がり、広場一面の空に大きな映像が現れる。

破壊されたエキオの町と、暴れる2匹の厄災。

人々が襲われる凄惨な場面を映し出し、広場はパニックになる。

「これが、ミルドラと2匹の厄災か……」

あちこちで悲鳴が上がり、あっという間に広場からは人がいなくなる。

「旦那様…… コレは?」

後ろから声をかける弁慶。

いつのまにか広場に全員揃って、空に映し出された映像を見ていた。

「奇跡を、本当の奇跡を体感しました…… 本当に時間を遡ったのですね…… 惣一郎様」

「町が無事なんだ、信じるしか無いだろセシル! アタイだってまだ……」

「あの緑の方を先に倒すのだな?」

バッタじゃないな……

惣一郎はネットで買った昆虫図鑑を広げ、調べ始める。

「綺麗な絵だが、何語だ?」

覗き込むガブガ。

夢中で聞こえてない惣一郎は、似た虫を見つけ出す。

[サカダチコノハナナフシ]

世界一重い飛べない昆虫……

殺虫剤は効くのだろうか?

もう一匹は[ダイオウサソリ]だろうか……

どちらも似た虫ではあるが、大きさが全然違う異世界の蟲。

慎重にいかなければ……

気がつくと惣一郎の周りには、身を寄せ図鑑を覗き込むみんながいた。

空の映像はいつの間にか消えていた。

「旦那、作戦は!」

ミコが話しかけるとタイミングよく、ゼリオス達が現れる。

島の施設からすぐに飛んできたそうだ。

惣一郎はツナマヨ達が到着してから作戦会議をしようと、誰も居なくなった広場にテーブルを出し、食事を出し始める。



ツナマヨ達が到着したのは深夜であった。

深刻な状況を理解してか、みんな武器の手入れに余念が無い中、爆睡中のベンゾウを叩き起こし、真夜中の作戦会議が始まった。

場所はギルド内の会議室。

ほとんどの人が避難した中、残った人がいないか冒険者とギルド職員が手分けして町を見て回っている。

「すまない、遅れた様だ!」

ゴーラルド街に着いてすぐに、エキオに飛んだツナマヨの謝罪から会議が始まる。

「いや、疲れてる所、急に呼び出してこちらこそすまない。まずは何が起こったか説明する」

惣一郎はこの世界に無い、ホワイトボードを出して、時間の巻き戻しがあった事を説明する……

「はぁ? ホントなのか」

「ああ、本当だ。実際には島に戻ってからクラン名が決まり、宴会をしたりと一週間は経っていた」

「神の御業なのですね、惣一郎様」

「まぁ、神かは知らんが、そんな所だ」

流石は異世界だからか、受け入れは早かった。

「ハツネツガイライですか…… いい名前ですね! それで明日現れるというミルドラを倒せば、世界は救われるのですか?」

「倒せればそうだが、実際ここから先はもう予測がつかない。確実にあった事を回避するには、まず先に緑の厄災を倒す事が大事だ」

「なぜ取り巻きの厄災が先なのだ?」

「世界の話では、ミルドラが次元を開く召喚を可能にする魔力を、その緑の厄災が補っているらしい」

「なるほど、まずは敵を増やさせない為にも、その厄災を先に倒すのですね!」

「それで、お前さんの案とは?」

「俺とギドで、ミルドラと緑の厄災を引き離す」

「ギドのおっさんの瞬間移動は体感したからな! だが旦那がどうやって引き離すんだ?」

一番後ろで、椅子に踏ん反り返るミコの後ろに、突然現れる惣一郎。

「俺も使える様になった」

「「「「「 はぁ?! 」」」」」

誰も居ない深夜のギルドで、賑やかな会議は朝まで続いた。




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