異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
上 下
370 / 409
第十六章

三十七話 【捜索依頼】

しおりを挟む
水着にアロハシャツで、拠点となるテントを改造し広げるガブガ。

島ではすっかり、みんなこのスタイルになっていた。

ミコ用に、小さめのテントも頼まれ、つなげている。

ちゃんと渡したマジックバックに、入る大きさに調整されている。

移動用に渡した荷車も使いやすそうに、手を加えられていた。

ゼリオス達ハツネツガイライは、今朝から訓練と厄災の島に行っている。

王が居ると聞いた惣一郎が、奥まで行かない様にと注意してある。

フジンカガイライのツナマヨ達は、資材調達に施設から何処かの街に行っている。

セシルは朝からミコと意外にもギコルに、料理を教えながら、調理を楽しんでいる。

毎回毎回、他のチームの分まで作る訳にもいかないとの事で、料理教室が開かれている。

そして惣一郎はサーズリに呼び出され、またギルド本部のあるゼルダンに行く為、準備をしていた。

「じゃセシル、食材はここに置いておくぞ、悪いがクロと留守番を頼む」

「はい、いってらっしゃい!」

聖女も今や、寮母の様であった。

本人が楽しそうだから、いいだろう。

惣一郎は、寒いから留守番してろ!っと言ったが、ついて行くと聞かないベンゾウと弁慶を連れ、施設に向かう。






本部の地下では、ヌイドリーとサーズリが待っていた。

「惣一郎殿、急に呼び出して済まない!」

「いえいえ」

「クラン結成おめでとうございます。それで、今回お呼びしたのは、本部統括のジゼル様より、折り入ってお願いがあるとの事で」

「あの爺さんが?」

長い階段を登りながら話す惣一郎。

背中にはベンゾウが引っ付いていた。

賑やかなギルド受付を通り、前回とは違う場所へ案内される。

通された部屋の奥にいる、ガタイのいい白髪の老人。

「おお、惣一郎! よく来たの~ 噂は聞いておるぞ! クランを立ち上げ、クルセウスやゴリラング・ログを鍛えてるそうじゃな! 一体どんな魔法を使えばそんなすぐに、厄災を倒せるチームに鍛えられるのじゃ!」

「彼女達は元々、その素質があっただけですよ」

「謙遜するな、他のチームもどんどん鍛えて欲しいもんじゃ!」

「それで、頼みとは?」

「いきなり本題か、つれないの~」

ジゼルの頼みとは、消息不明の冒険者チームの捜索であった。

セキヌス大陸の北にある[コステル国]。その中でもダンジョンで有名な[エキオの町]が突然音信不通になり、厄災の仕業かもと事実確認の為に向かったベテランチームが、その後消息を絶ったとの事。

「セキヌス大陸か、つい最近ワーテイズに行ってたが……」

「そのずっと北じゃ、町ひとつ急に消えたとなると、厄災が絡んでる可能性が高い。そうなれば、おいそれと依頼も出せんのじゃ」

「なるほど」

「コステル国からの依頼でな、近隣の村や街は万が一を考え、すでに避難にはいっちょる。まだ厄災と決まった訳じゃないが、最近頻繁に厄災も現れておるしの」

「まぁ可能性があるなら引き受けますよ」

「済まんの~ それとジビカガイライに依頼する理由がもう一つ……」

「何ですか?」

「その消息を絶ったチームは、ジビカガイライが現れるまでトップじゃった、ワイドンテなんじゃ」

ありゃNo2のチームか、そりゃその捜索を下のチームに依頼は出来ないな……

「了解した、一度戻ってからすぐに向かうよ」

「頼む!」

頭を下げて頼むジゼルに見送られ、惣一郎達は部屋を出る。

「わざわざ本部に呼ばなくても、いつもの様にコールくれれば良かったのに」

戻りながら額の汗を拭く、サーズリ。

「いえ実は、お願いがもう一つありまして」

サーズリのお願いは、最近頻発する厄災と同じく、ムカデの出現も増えて来ているとの事で、惣一郎が使う、厄災にも有効な毒を大量に購入させて欲しいとの事だった。

「それはいいが、ムカデも厄災だぞ! 脚の数が違うってだけで判断するな、無理をせずに依頼してくれ! ゴリラング……じゃないフジンカガイライや他のチームも、ムカデ位なら問題ないからな」

まっ、そうは言っても、実際には移動の時間も問題ではあるのだろう。

惣一郎は受付の裏から資材置き場へと案内され、殺虫剤を大量に出し、詳しく使用上の注意を説明する。

ギルドでもグラマラの葉の研究が進み、忌避薬の開発が進んでいるそうだ。

その後、サーズリからワイドンテの情報を聞き、依頼について詳しく打ち合わせを済ませると、地下施設からその日のうちに島に戻る事になる。

つくづく縁の無い街である……

「雪国観光は、また今度だな」





島に戻った惣一郎は、まだ戻らないゼリオス達を抜きに、調達から帰って来ていたツナマヨとミコ達に、事情を説明する。

「ワイドンテが! そりゃただ事じゃね~な!」

ミコを驚かせる、このワイドンテ。

17人とメンバーの多い、ベテラン揃いの冒険者チームだと言うこのチーム。

リーダーの[イグラシオ]は槍の名手で、ミコは過去に二度ほど喧嘩をふっかけ、やられているそうだ。

イグラシオの強さより、血の気の多いミコに引いた惣一郎。


「まぁ、そんな訳で、俺らは暫く留守にする。厄災の討伐依頼があれば、無理のない範囲でよろしく頼むよ!」

「ああ、任された」

「こっちは上手くやるさ!」

「連絡係にセシルが島に待機するので、何かあればセシルに言ってくれ」

「惣一郎様、留守はお任せください! 惣一郎様もどうかお気を付けて」

「ああ、よろしく頼む」

気怠そうなクロを引きずり、施設へと向かう。


「ギド、暫く留守にする。何かあればセシルに言ってくれ」

「ああ、連絡は受けている。また厄災絡みか?」

「まだわからんが、おそらく……」

惣一郎は、コステル国のエキオに一番近い施設へ繋いで欲しいと頼むが、

「コステルの施設は、エキオだ。そのエキオに連絡がつかん。一番近くて、ワーテイズ城だな」

ありゃ、急がないとだな……

ギドが連絡を取り合い、光る魔法陣に乗る。

惣一郎には、嫌な予感がした……





しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

俺だけ2つスキルを持っていたので異端認定されました

七鳳
ファンタジー
いいね&お気に入り登録&感想頂けると励みになります。 世界には生まれた瞬間に 「1人1つのオリジナルスキル」 が与えられる。 それが、この世界の 絶対のルール だった。 そんな中で主人公だけがスキルを2つ持ってしまっていた。 異端認定された主人公は様々な苦難を乗り越えながら、世界に復讐を決意する。 ※1話毎の文字数少なめで、不定期で更新の予定です。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...