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第十六章

三十三話 【免許皆伝!】

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崩壊した外壁の手前で荷車を降りる4人は、そのまま瓦礫の上を走り、街の中へと入っていく。

先頭を走るミコがクンクンと匂いを嗅ぎながら、街の中央にある崩れた建物へ走り寄る。

すると瓦礫の山の下から黒い2本の大きなツノが飛び出し、雨に濡れていた。

「ツナマヨ! アタイが寝起きにキツイの喰らわすぜ! 合わせろ!」

「了解した。トーマ、反撃に備えろ! エルは後方から魔法支援だ」

「「 ああ! 了解じゃ! 」」

積み重なった瓦礫の山を軽やかに登り、高く飛ぶミコは、獣化していた。

両手の鉈を錘に回転し始めると、黒い弾丸が剥き出しの黒いツノの片方に、勢いよく襲い掛かる!

瓦礫からはみ出したツノは4mはあるだろう。

その根元、太さ90cmはあるだろう場所に、鈍い音と火花を散らし、ミコの弾丸がぶつかる!

勢いは胴体が隠れてる瓦礫を一瞬持ち上げ、太いツノを根元から折って見せたミコ!

ギシャーーーーー!

瓦礫を撒き散らし起き上がる厄災!

巨大なクワガタは寝起きに、その威厳を表す一本を折られ、怒り心頭のご様子。

両脇の離れた目は赤く光っていた。

巨大な体を支え持ち上げる細い脚が揃って右に揺れると、残されたツノが横で構えるツナマヨ達を襲う!

トーマが前に飛び出し盾を構え、勢いそのままに黒いツノを迎え撃つ!

だが、勢いを殺せず、盾を構えたまま後ろに飛ばされるトーマ!

そのツノが振り抜いた勢いそのまま、戻って来てツナマヨを襲う!

腰を低く構えたツナマヨが、居合の一閃!

軸足の一本を切り落とすと向かって来るツノはコースを変え、ツナマヨの頭上をかすめ通りすぎる!

通り過ぎた大きなツノが、厄災の体重を逆の脚に乗せ、重心移動したのをミコは見逃さなかった!

横に軸回転し出すミコは駒の様に、脚を切り刻んでいく!

黒く硬い脚は火花を散らし、傷だらけに破裂する様に壊れ、脚を失う!

たまらずギシギシもがく厄災の頭上に大きな青い火柱が突き刺さると、厄災の顔を青い炎が包み、格子状の口が開くと炎を吐き出す!

暴れる厄災!

狙いも何もなくただ暴れるそのツノが、また偶然兼房虎徹を構えるツナマヨを捉える!

だが今度こそと、地面に足をめり込ませながら盾で受け切るトーマ!

ミコは腹部を回りながら、和鋼蛇鉈壱尺を振り回し、切り刻んでいく!

ムカデと違い体液は出ず、青い炎が噴き出す!

エルが中から焼いているのだ!

撃った炎槍の炎を操り、中から焼き尽くしていく!

ギシギシと暴れていた厄災は徐々にゆっくりと、その動きを止めていく……

「トーマ、怪我は無いか!」

「ああ、吹っ飛ばされただけだ」

ミコはふらふらと、目が回った様だった。

「さぁ早く、惣一郎様に褒めて貰いに戻るのじゃ!」

エルがミコの腕を掴み、荷車へと戻っていく。



上空から見ていた惣一郎は、

目が回るなら何で回るんだ?っと考えていた。

頭上の惣一郎に気付いていたツナマヨが、鞘に収めた兼房虎徹を掲げ、エル達を追いかけて行く。

予想以上であった。

殺虫剤も無しで、巨大な厄災を倒して見せた4人。

特にエルの見せた炎を操る魔法はゼリオスの影響だろう、厄災に対して大きな武器になる。

惣一郎はこの3チームなら、安心して任せられると確信した。

エルチャンドに討伐完了を伝え、惣一郎は夜通し走って来たみんなを労う。

新しいテントを出し食事を振る舞うと、少し寝てから戻ろうと提案する。






数日後、島に戻った惣一郎達。

先に戻った者達が、浜辺で訓練をしていた。

「おかえりなさい惣一郎様!」

杖を持ったセシルが、走って出迎える。

ゼリオスに魔法を教わっていたのだろう。

「昨日サーズリが来まして、惣一郎様に渡す様にと、マジックバッグを預かっております」

仕事が早いなサーズリ!

ミコは仲間の元へ。

ツナマヨ達もギコル達と合流して、話に盛り上がっていた。

夕食までまったりしましょう!




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