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第十六章

二十一話【厄災の脅威】

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惣一郎のサーチが、凄いスピードで近付く影を捉えると、木々を縫う様に這ってくる、ムカデが視界に入る。

「丁度いい! 脚が多いがアレも厄災だ。ツナマヨ、行けるか?」

「ああ、任せろ! 行くぞゴリラング・ログ!」

赤い大きなムカデは手前の木に纏わり付く様に登って行くと、上から牙の生えた大きな口を開き、襲いかかる!

全長20mはありそうなムカデの上空からの突進を、トーマが盾で受け止めると、勢いに後ろに滑る様に押し戻される。

ミコが驚く。

「あの体格差を受け切ったのか!」

大木から吊り橋の様に伸びたムカデの腹部に、下から炎槍と光矢が飛ぶ!

たまらずその場に落ち丸まるムカデが口を開け叫ぶ瞬間、ギコルが開口に麻袋を投げ込み、両刃の剣で頭部にそのまま斬り込み視界を奪う。

泡を吹き暴れだすムカデの尻尾にあたる頭部の様な黒い部分が、腰を落とし居合の構えで前に立つツナマヨに襲い掛かるが、それもトーマが盾で受け止めると、ツナマヨはすでに刀を抜き背を向けていた。

動きを止めたムカデは、ゆっくりと地面に横たわる。

「斬ったのか?」

斬られた様には見えないムカデであったが、確認すると体内で魔石は二つに割れていた。

おお! ムカデ一匹なら余裕だな~

チームワークの良いバランスの取れたチームだ。

「乱戦になったら、このムカデ何匹行ける?」

「今の段階なら、二匹同時で手に余る」

驕らず冷静な判断であった。

惣一郎は次に、クルセウスの3人を指名する。

だが一番近い厄災が、少し歩く距離であった。



移動しながらも、各チームごとに作戦会議が行われていた。

一緒に戦った経験のあるゴリラング・ログは、見ていて安心できたが、残りのクルセウスとスーサイド・キップスは、編成が偏り過ぎている為、惣一郎にはやや不安があった。

コール。

『ベンゾウ、弁慶、次からは万が一を考えて、いつでも助けに入れる様に見ていてくれ』

「わかった!」

弁慶は親指を立てて、ウインクする。

お前ら…… わざわざコールで伝えた意味がないだろ、アホ。





森の中を少し進むと、サーチに反応があった場所に着く。

溶岩石で出来た岩山に、大きな渦を巻いた直径3mほどの岩が3つ。

カタツムリだ。

カタツムリも脚は無いが厄災だろうか?

にしてもデカい!

殻の中に閉じこもっている様だった。

「気を付けろ、これも多分厄災だ! 殻に閉じこもっているが中身は……」

惣一郎達に気付いたのか、3つのうちの1つが、カタカタと動き出す。

中から現れたのは、カタツムリでは無かった。

黒い艶のない、細長く脚の長い虫。

大型犬程の大きさだが、脚が長い分大きく見える。

細長い顔に、慌ただしく動く触覚。

カタツムリを食べる虫…… なんだっけ?

そんなのがいるのは知っているが、よく思い出せない惣一郎。

サーチの反応から他の2つの殻は空だろう。

食事中に現れた惣一郎達に、警戒している様だった。

「なんだい、今度のは随分と小さいじゃないか!
アタイだけでも行けそうだぜ!」

鉈を構えて前に出るミコ。

確かに小さい厄災が一匹……

だが、惣一郎は不安だった。

何か忘れている様な不安。

近付くミコに警戒して、後ろを向き逃げようとする厄災。

「へっ! 逃すかよ」

迂闊に近付くミコに、惣一郎が叫ぶ!

「離れろ!」

その瞬間! 

厄災の尻から、勢いよく噴き出すガス噴射!

間一髪! 惣一郎が投げ込んだ強化アクリルの盾が、ミコの前でガスを遮る。

アクリルの盾の表面が、ただれる様に溶けていた。

「迂闊に近付くな!」

両手をクロスさせ防御姿勢で固まるミコ。

思い出した!

カタツムリ… マイマイに齧り付く虫[マイマイカブリ]だ!

だが、厄災はすでに逃げていた。

盾で遮れなかったミコの足は靴が溶け、火傷を負っていた。




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