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第十六章

二十話 【新人研修】

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ミコの剣撃を受ける弁慶。

体が見る見る赤くなっていく。

「あれ大丈夫か?」

心配する惣一郎。

その弁慶の異様に気付いたミコが、距離を取る。

「ようやく本気になったか!」

「………」

次の瞬間、ミコがくるりと背中を向けると、スピードに乗った鉈が弁慶を襲う。

弁慶の体は赤く膨れ上がり、左腕に力を込めると、鉈の一撃をその硬く凝縮された筋肉で受け止めた!

ミコの回転は止まり、振り上げられた侃護斧が、ミコの頭上数センチの場所で止まる。

「ま、まいった……」

ニコッと笑う弁慶は、見る見る萎んでいく。

おいおい、訓練だよね……

弁慶の腕からは、血が流れていた。

白熱の試合を、ツナマヨも見逃せないと来ていた。

「やるなぁ、弁慶殿。肉を斬らせて骨を断つか。相手はミコ・ギャレットだろ? クルセウスの」

「見てたのか? ヒヤヒヤするよ、訓練なのに」

「ミコ殿の練撃で本気になったのだろう。私もあれは捌けるかどうか……」

なるほど、この辺りは力が拮抗してる様だな。



惣一郎は弁慶の手当に走り寄り、腕に地球産の傷薬を塗る。

あの鉈の一撃を素肌で受けたのに、傷は筋肉にも達しない浅いものだった。

「あんま無茶するなよ、あの武器だって地球産だぞ!」

「旦那様、あのミコって奴、武器が同等なら相当やばいぞ」

流石上位チームって訳か……

それをあっさり倒したベンゾウも、異常か……

ガブガの言葉を思い出す、惣一郎であった。





その日の晩は、4チーム揃っての賑やかな晩餐会となった。

特上の焼肉に驚き、美味い酒に歓喜の声をあげた。

サーズリも、初めて食べる肉の味に、涙をこぼす。

「お前さん方が強い訳はこれか!」

「ガウ!」

「この世の肉とは思えません!」

「この白い酒は、甘い酸味が昔飲んだ[キビト族]の酒に似てるが、格段に美味い!」

マッコリもお気に召した様で……

各々に自己紹介をし、顔合わせは賑やかに遅くまで続いた。






翌日、遅めの朝食を摂りながら惣一郎は、

「今日は島へ行き、チームごとに直接、厄災と対峙してもらう」

っと、言いだす。

みんな覚悟は出来ている顔であった。


施設長のギドに出掛ける事を伝え惣一郎は、浜辺に銀のボートを4隻浮かべる。

サーズリは、昨夜のうちに戻ったそうだ。

チームごとに舟に乗り込むと、惣一郎の乗る舟を先頭に、火山の島へ向けて進みだす。

「おい、漕いでもいないのに、進んで行くぞ!」

舟は全て、惣一郎がテレキシスで引っ張っていた。

潮の流れを無視して舟は、火山の島に到着する。

「これから配る袋には、厄災を弱らす毒が入っている。だが、厄災によっては効果が薄いものもいるので、注意してくれ!」

浜で舟を収納しながら、惣一郎は麻袋に入った殺虫剤を多めに配る。

この森にいる厄災に効果あるといいが……

先ずはジビカガイライが、この毒を使った戦闘を見てもらう。

惣一郎はサーチを広げ、島にいる厄災を把握しようとする。

結構いるな……

だが、群れるタイプではなさそうであった。

一番近いのは…… 森に入ってすぐに大きな反応がある。

近付くと、黒光りする鎧に身を包んだ大きなツノを持つ、軽自動車程のサイズのカブトムシが鹿の様な動物を抱え込み血を啜っていた。

カブトムシに殺虫剤効くかな?

惣一郎は麻袋を投げ込み、セシルがウインドカッターで切り裂くと、粉を吸ったカブトムシがギシギシと暴れて襲いかかって来る。

多少効いている様だ。

ツノを突き上げ、襲い掛かるカブトムシのそのツノを、弁慶が侃護斧で打ち下ろすと、鍔迫り合いになり、ベンゾウが踏ん張るカブトムシの脚を小刀で関節に斬り込み、両断する。

姿勢を崩すカブトムシのツノを、いなした弁慶が頭上から渾身のフルスイングを撃ち込むと、硬く黒い鎧にヒビが入る。

惣一郎の鉄球が、更に上から無数の流星の様に、胸部と腹部の間に撃ち込まれていく!

たまらず仰反るカブトムシに、銀のの残像が背後からカブトムシを通過した様に見えると、惣一郎の前で、小刀を腰の鞘に収めるベンゾウ。

カブトムシは、頭部、胸部、腹部と三つに分かれて中の空洞を覗かせ崩れる。


「まぁ、毒が効きづらい類いの厄災だったが、こんな感じで。次はゴリラング・ログが行ってみようか!」

惣一郎はこの厄災が、厄災の中でも硬く、タフで有名な厄災である事を知らなかった。

ミコ達もツナマヨ達も、ゼリオス達も、口を開けたまま、ポカンと死骸を見ていた。




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