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第十六章
十七話 【物の価値】
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「惣一郎様、私は一度本部へ戻ります。まだ、ゴリラング・ログがギルドを訪れた確認が取れておりません、施設から離れた場所にいた場合2~3日は遅れるかと……」
「そうか、まぁ急だったしね! 済まないが引き続き、よろしく頼むよ」
「ええ、では」
サーズリはそのまま、施設へと帰って行った。
仕方ない、先に始めるか……
セシルと弁慶に、食事の準備を始めてもらう。
惣一郎はベンゾウと砂浜に、丸太を等間隔で刺し、的を作っていく。
まずは一人ずつ、得意武器での攻撃力を見せてもらい、それに合った武器を惣一郎が探しあてがうつもりでいた。
スーサイド・キップスの4人の様に、杖と分かっていても、得意な魔法で杖の形状を考えていく為である。
トップバッターはミコからであった。
ベンゾウに呼んで来てもらい、説明をする。
「いや、先日姉弟子に折られ、武器がないぞ。買う暇もなかった」
出だしから躓く惣一郎であった。
確か短刀を両手に持ってたか?
オババの弟子だからか、ベンゾウと同じスタイルなのだろう。
取り敢えず、どんな短剣がいいか尋ねる。
「姉弟子の様なスピードは、アタイにはないからな、切れ味よりも相手の武器を受け流せる頑丈さは無いと」
なるほど、ゴツいナイフのイメージかな?
惣一郎はまず適当に無骨なアーミーナイフを購入し、試してもらう。
「おお! 凄い切れ味だ。ん~ だが、もう少し長さがと重さが欲しいかな」
じゃ普段、俺が使っている様なククリ刀でいいかな?
そして検索して見つけたのが、鉈であった。
分厚く重い薪割りなどに使う、先に返しの付いた蛇鉈と呼ばれる[豊藤作和鋼蛇鉈壱尺]重さも長さも、切れ味も申し分ないだろう!
「おいおい、なんだいこりゃ! 正にアタイにピッタリの武器じゃないか」
ミコはジャグリングの様にクルクル両手で鉈を回し、掴んだ瞬間、コマの様に自分も回り出す。
遠心力に乗せた鉈は、目の前の太い丸太を簡単に三つに斬り、そのままふわりと地面から竹蜻蛉の様に浮き上がると残された丸太を両袈裟斬りに両断する。
「なんて切れ味と重さだ! 腕が抜けそうだぜ」
その割には、嬉しそうに鉈を見つめていた。
気に入った様だ。
後は慣れてもらおう。
こんな感じで次々と順番に、ガブガとガウの武器も決めていく。
ガブガには、枝打ち用の手斧[越後三条多岐火斧]を2本!
ガウには、砂鉄が入っており、握ると硬くなる、ナックルグローブ。
拳にはチタンと強化アクリル樹脂が施され、手の平は防刃加工がされており、剣も受け止められると言う、こんな物までネットで買えるとは……
3人とも、驚きながら子供の様に喜んでいた。
鉈も斧もグローブも、ネットではいい物を購入したが、金額は思ったよりも安かった。
刀の異常な値段に、麻痺してた様だ……
すると遠巻きに見ていたゼリオスが、
「次は私でよろしいでしょうか?」
っと、ニコニコしながら寄って来る。
だが丁度、良い匂いが漂って来たので、
「一旦飯にしよう! スーサイド・キップスは食後に!」
っと言うと、肩を落として仲間を呼びに、戻っていく。
スパイシーな香辛料の匂いが食欲をそそる。
真っ先に席に付き、皿を差し出すベンゾウさん。
すっかり元気なベンゾウに戻った様だ。
砂浜に置かれたテーブルに、みんな席に着き、驚きの歓声を上げながら、カレーを食べている。
スーサイド・キップスの4人には、ジュラルミンで杖を作る事になるだろう。
長さや形状など、得意な魔法に合わせて作るのだが……
正直一本一本作るのが、面倒くさい。
「なぁガブガ、やっぱドワーフだし、手先が器用だったりするのか?」
「ああ、まぁ多少の心得はあるが」
職人ゲット!
「杖を作るから、食後一緒に見てくれ」
「あいわかった。こんな素晴らしい武器を頂いたのだ、喜んで協力させてもらおう」
「ああ、渡した武器なんだが、あげるわけじゃないんだ。無期限で貸し出しはするが、譲渡や売買できない様に後で契約を結んで貰うぞ」
「これだけの武器だ、当たり前だな」
「確かに、これを売ったら一生金には困らんだろう…… 持ち逃げ出来ない契約は必要だな」
鉈1本、数万で買えたんだが……
「まぁ…… そう言う事で!」
「もちろん我々も、異論ございません」
そんな事を食事をしながら話していると、ガウだけが食べていなかった。
「口に合わなかったか?」
「がぅ……」
「そう言えばガウは、香辛料がキツイの苦手だったな」
早く言えよ。
ガウにはクロと同じ、山盛りの肉を出す。
しかし、両手武器のチームに、魔導士だけのチーム……
偏ってんな~
「そうか、まぁ急だったしね! 済まないが引き続き、よろしく頼むよ」
「ええ、では」
サーズリはそのまま、施設へと帰って行った。
仕方ない、先に始めるか……
セシルと弁慶に、食事の準備を始めてもらう。
惣一郎はベンゾウと砂浜に、丸太を等間隔で刺し、的を作っていく。
まずは一人ずつ、得意武器での攻撃力を見せてもらい、それに合った武器を惣一郎が探しあてがうつもりでいた。
スーサイド・キップスの4人の様に、杖と分かっていても、得意な魔法で杖の形状を考えていく為である。
トップバッターはミコからであった。
ベンゾウに呼んで来てもらい、説明をする。
「いや、先日姉弟子に折られ、武器がないぞ。買う暇もなかった」
出だしから躓く惣一郎であった。
確か短刀を両手に持ってたか?
オババの弟子だからか、ベンゾウと同じスタイルなのだろう。
取り敢えず、どんな短剣がいいか尋ねる。
「姉弟子の様なスピードは、アタイにはないからな、切れ味よりも相手の武器を受け流せる頑丈さは無いと」
なるほど、ゴツいナイフのイメージかな?
惣一郎はまず適当に無骨なアーミーナイフを購入し、試してもらう。
「おお! 凄い切れ味だ。ん~ だが、もう少し長さがと重さが欲しいかな」
じゃ普段、俺が使っている様なククリ刀でいいかな?
そして検索して見つけたのが、鉈であった。
分厚く重い薪割りなどに使う、先に返しの付いた蛇鉈と呼ばれる[豊藤作和鋼蛇鉈壱尺]重さも長さも、切れ味も申し分ないだろう!
「おいおい、なんだいこりゃ! 正にアタイにピッタリの武器じゃないか」
ミコはジャグリングの様にクルクル両手で鉈を回し、掴んだ瞬間、コマの様に自分も回り出す。
遠心力に乗せた鉈は、目の前の太い丸太を簡単に三つに斬り、そのままふわりと地面から竹蜻蛉の様に浮き上がると残された丸太を両袈裟斬りに両断する。
「なんて切れ味と重さだ! 腕が抜けそうだぜ」
その割には、嬉しそうに鉈を見つめていた。
気に入った様だ。
後は慣れてもらおう。
こんな感じで次々と順番に、ガブガとガウの武器も決めていく。
ガブガには、枝打ち用の手斧[越後三条多岐火斧]を2本!
ガウには、砂鉄が入っており、握ると硬くなる、ナックルグローブ。
拳にはチタンと強化アクリル樹脂が施され、手の平は防刃加工がされており、剣も受け止められると言う、こんな物までネットで買えるとは……
3人とも、驚きながら子供の様に喜んでいた。
鉈も斧もグローブも、ネットではいい物を購入したが、金額は思ったよりも安かった。
刀の異常な値段に、麻痺してた様だ……
すると遠巻きに見ていたゼリオスが、
「次は私でよろしいでしょうか?」
っと、ニコニコしながら寄って来る。
だが丁度、良い匂いが漂って来たので、
「一旦飯にしよう! スーサイド・キップスは食後に!」
っと言うと、肩を落として仲間を呼びに、戻っていく。
スパイシーな香辛料の匂いが食欲をそそる。
真っ先に席に付き、皿を差し出すベンゾウさん。
すっかり元気なベンゾウに戻った様だ。
砂浜に置かれたテーブルに、みんな席に着き、驚きの歓声を上げながら、カレーを食べている。
スーサイド・キップスの4人には、ジュラルミンで杖を作る事になるだろう。
長さや形状など、得意な魔法に合わせて作るのだが……
正直一本一本作るのが、面倒くさい。
「なぁガブガ、やっぱドワーフだし、手先が器用だったりするのか?」
「ああ、まぁ多少の心得はあるが」
職人ゲット!
「杖を作るから、食後一緒に見てくれ」
「あいわかった。こんな素晴らしい武器を頂いたのだ、喜んで協力させてもらおう」
「ああ、渡した武器なんだが、あげるわけじゃないんだ。無期限で貸し出しはするが、譲渡や売買できない様に後で契約を結んで貰うぞ」
「これだけの武器だ、当たり前だな」
「確かに、これを売ったら一生金には困らんだろう…… 持ち逃げ出来ない契約は必要だな」
鉈1本、数万で買えたんだが……
「まぁ…… そう言う事で!」
「もちろん我々も、異論ございません」
そんな事を食事をしながら話していると、ガウだけが食べていなかった。
「口に合わなかったか?」
「がぅ……」
「そう言えばガウは、香辛料がキツイの苦手だったな」
早く言えよ。
ガウにはクロと同じ、山盛りの肉を出す。
しかし、両手武器のチームに、魔導士だけのチーム……
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