349 / 409
第十六章
十六話 【スーサイド・キップス】
しおりを挟む
落ち着いたクルセウスの3人に、お茶を出す惣一郎。
「お前達のテントはあれだ、ベッドと必要な物は揃えて置いた。足らない物があれば言ってくれ」
「ああ…… なあ、あんた何者なんだ」
「それは自分で決めてくれ。兎に角、俺がいいと言うまで、島を出られないと思ってくれ!」
ベンゾウとセシルとクロは、海で遊び始めていた。
順応が早い……
そこにサーズリと、冒険者4人がギドに案内されやって来る。
「惣一郎様、遅くなりました」
「いえ、丁度準備出来た所ですよ!」
「こちらが、スーサイド・キップスの方々です」
「…………」
コイツらも時間が必要か……
惣一郎はもう一つ、砂浜にテーブルを出すと、弁慶がお茶を淹れる。
「あ、あの初めまして、スーサイド・キップスの[クトル]です。初めてまして、よろしくお願いします」
初めてまして2回言ったな……
クトルは、ダークエルフの男性で見た目20代の青年だった。
黒髪ショートのイケメンで、銀の杖を持っている事から魔導士だろう。
「同じく、スーサイド・キップスの[キンブル]です」
キンブルも背の高いダークエルフ。
彼も見た目20代後半で、長い黒髪に背中に見える剣と盾から戦士系だと思う。
「は、初めまして、同じくスーサイド・キップスの[グリコ]です」
はい来た~ 今度はお菓子ですか?
人族なのかな? 見た目普通の青年男性で、20歳前後の短髪だが、彼も杖を持ってるって事は魔導士?
「初めまして、お噂はかねがね、お会い出来て光栄です。私はスーサイド・キップスのリーダー[ゼリオス]と言います。お会いできる場を作っていただき、ありがとうございます」
そして最後に、固そうな男性。
彼も見た目普通と思いきや、ツノが見える。
黒髪ショートのイケメン。
驚く事に彼も杖を持っていた。
「魔導士多いね」
「ええ、全員魔法メインのチームです」
ああ剣背負ってる彼も、魔導士か……
「やっとお会いする事が出来ました、随分探したのですが、追いつくとあっという間に居なくなってしまって、流れて来る噂はとんでもなく遠い場所。今日やっと謎が解けましたよ!」
「追いかけて?」
「ええ、ずっと!」
するとサーズリが割って入る。
「彼らには、きちんと今回の件を言い聞かせてあります。書類にもサインをもらい、秘密は守るでしょう。彼らもまた、厄災に故郷を失くした者達で問題は無いかと」
「ええ、書類にサインを何度したか」
「これだけの施設です、仕方が無い事でしょう」
「追いかけても追いつけない理由が、まさかこんな施設にあったとは、ギルドで登り詰めてやっと追い付いた感じです」
ん~ 施設利用は最近なんだが……
「なぜ我々を?」
「これです!」
ゼリオスが差し出したのは、歪な銀の杖だった。
「我々が最近力を付けたのは、この杖のおかげなのです」
「はぁ…… ?」
「お気づきになりませんか?」
「ええ、悪いが……」
「これはある町で手に入れた荷車から作った杖なのです」
「……まさか!」
「高額でしたが、あまりにも性能がいい荷車でしたので購入したのですが、ある日荷車の金属部分が魔鋼より優れた金属である事に気づきまし。思い切って荷車をばらし、金属部分で杖を作ったのです」
「あの時のリーダーは、気が触れたのかと思いましたよ!」
「確かにな!」
「ですがその荷車から出来たのは、私のこの杖と、グリコの杖の2本だけ。だが、性能は予想を遥かに上回り、我々は冒険者として高みに登る事が出来たのです」
マジか……
「それで、どうしても荷車の出所を知りたく、苦労しました…… それでやっと突き止めたのが惣一郎殿、あなたです」
「あはは……」
「行方を追いかけて行くにつれ、あなた方がされた事の凄さを知り、いつの間にかギルドでトップになっている事に、不思議にも感じませんでした」
「そりゃどうも」
「今では杖の素材より、憧れに感じる思いで貴方を追いかけ来たのです! そこにこんな素晴らしい場を設けて頂き、我々スーサイド・キップス一同、飛び跳ねる思いでやって参りました」
「まぁ、覚悟は出来てるって事でいいんだね?」
「もちろんで御座います!」
「わかった。それじゃあそこのテントを使ってくれ、食事は日に三度こちらで用意する。ついて来れそうなら、その杖の数倍良い物を用意しよう」
「「「「 おおおお! 」」」」
「まずは、もう1チーム揃うまで、ゆっくり休んでくれ」
「畏まりました、では遠慮なく使わせて頂きます」
固い、固いよ…… 疲れそう。
「お前達のテントはあれだ、ベッドと必要な物は揃えて置いた。足らない物があれば言ってくれ」
「ああ…… なあ、あんた何者なんだ」
「それは自分で決めてくれ。兎に角、俺がいいと言うまで、島を出られないと思ってくれ!」
ベンゾウとセシルとクロは、海で遊び始めていた。
順応が早い……
そこにサーズリと、冒険者4人がギドに案内されやって来る。
「惣一郎様、遅くなりました」
「いえ、丁度準備出来た所ですよ!」
「こちらが、スーサイド・キップスの方々です」
「…………」
コイツらも時間が必要か……
惣一郎はもう一つ、砂浜にテーブルを出すと、弁慶がお茶を淹れる。
「あ、あの初めまして、スーサイド・キップスの[クトル]です。初めてまして、よろしくお願いします」
初めてまして2回言ったな……
クトルは、ダークエルフの男性で見た目20代の青年だった。
黒髪ショートのイケメンで、銀の杖を持っている事から魔導士だろう。
「同じく、スーサイド・キップスの[キンブル]です」
キンブルも背の高いダークエルフ。
彼も見た目20代後半で、長い黒髪に背中に見える剣と盾から戦士系だと思う。
「は、初めまして、同じくスーサイド・キップスの[グリコ]です」
はい来た~ 今度はお菓子ですか?
人族なのかな? 見た目普通の青年男性で、20歳前後の短髪だが、彼も杖を持ってるって事は魔導士?
「初めまして、お噂はかねがね、お会い出来て光栄です。私はスーサイド・キップスのリーダー[ゼリオス]と言います。お会いできる場を作っていただき、ありがとうございます」
そして最後に、固そうな男性。
彼も見た目普通と思いきや、ツノが見える。
黒髪ショートのイケメン。
驚く事に彼も杖を持っていた。
「魔導士多いね」
「ええ、全員魔法メインのチームです」
ああ剣背負ってる彼も、魔導士か……
「やっとお会いする事が出来ました、随分探したのですが、追いつくとあっという間に居なくなってしまって、流れて来る噂はとんでもなく遠い場所。今日やっと謎が解けましたよ!」
「追いかけて?」
「ええ、ずっと!」
するとサーズリが割って入る。
「彼らには、きちんと今回の件を言い聞かせてあります。書類にもサインをもらい、秘密は守るでしょう。彼らもまた、厄災に故郷を失くした者達で問題は無いかと」
「ええ、書類にサインを何度したか」
「これだけの施設です、仕方が無い事でしょう」
「追いかけても追いつけない理由が、まさかこんな施設にあったとは、ギルドで登り詰めてやっと追い付いた感じです」
ん~ 施設利用は最近なんだが……
「なぜ我々を?」
「これです!」
ゼリオスが差し出したのは、歪な銀の杖だった。
「我々が最近力を付けたのは、この杖のおかげなのです」
「はぁ…… ?」
「お気づきになりませんか?」
「ええ、悪いが……」
「これはある町で手に入れた荷車から作った杖なのです」
「……まさか!」
「高額でしたが、あまりにも性能がいい荷車でしたので購入したのですが、ある日荷車の金属部分が魔鋼より優れた金属である事に気づきまし。思い切って荷車をばらし、金属部分で杖を作ったのです」
「あの時のリーダーは、気が触れたのかと思いましたよ!」
「確かにな!」
「ですがその荷車から出来たのは、私のこの杖と、グリコの杖の2本だけ。だが、性能は予想を遥かに上回り、我々は冒険者として高みに登る事が出来たのです」
マジか……
「それで、どうしても荷車の出所を知りたく、苦労しました…… それでやっと突き止めたのが惣一郎殿、あなたです」
「あはは……」
「行方を追いかけて行くにつれ、あなた方がされた事の凄さを知り、いつの間にかギルドでトップになっている事に、不思議にも感じませんでした」
「そりゃどうも」
「今では杖の素材より、憧れに感じる思いで貴方を追いかけ来たのです! そこにこんな素晴らしい場を設けて頂き、我々スーサイド・キップス一同、飛び跳ねる思いでやって参りました」
「まぁ、覚悟は出来てるって事でいいんだね?」
「もちろんで御座います!」
「わかった。それじゃあそこのテントを使ってくれ、食事は日に三度こちらで用意する。ついて来れそうなら、その杖の数倍良い物を用意しよう」
「「「「 おおおお! 」」」」
「まずは、もう1チーム揃うまで、ゆっくり休んでくれ」
「畏まりました、では遠慮なく使わせて頂きます」
固い、固いよ…… 疲れそう。
23
お気に入りに追加
1,858
あなたにおすすめの小説
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

俺だけ2つスキルを持っていたので異端認定されました
七鳳
ファンタジー
いいね&お気に入り登録&感想頂けると励みになります。
世界には生まれた瞬間に 「1人1つのオリジナルスキル」 が与えられる。
それが、この世界の 絶対のルール だった。
そんな中で主人公だけがスキルを2つ持ってしまっていた。
異端認定された主人公は様々な苦難を乗り越えながら、世界に復讐を決意する。
※1話毎の文字数少なめで、不定期で更新の予定です。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる