異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第十六章

十話 【怪物】

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「だ、旦那様~ 足が! 足がふわふわ」

「いたぞ! 弁慶」

森の入り口付近に、2匹のムカデ。

「旦那様~ ち、小さくないか?」

確かに……

以前遭った紫のムカデに比べると、二回りほど小さい。

ま、倒す事には変わり無い!

惣一郎は上空から薬の入った袋を投げ出し、ククリ刀で斬り刻む。

粉が拡散し、苦しみだすムカデ。

「行くぞ!」

上空から、弁慶が飛び降り侃護斧を振り下ろす!

苦しみ仰反るムカデの頭部に、鈍い音を立て大きな凹みを作る侃護斧。

倒れるムカデの体はまだウネウネ動いている。

惣一郎も降り立ち、円盤を幾つも作るともう一匹に飛んで、火花を散らす!

背中は硬いが、腹部はどうだ!

円盤が、起き上がるムカデの腹部を斬り刻み、緑色の体液を撒き散らす。

断末魔の叫びをあげ、そのまま仰け反り倒れると、腹の中を円盤が切り進み出てくる。

振り返ると、弁慶の方も潰し終えていた。

「あれ、こんなもの?」

「ああ、小さいからか?」

遠く出張って来た割に、あっさり片付いた討伐依頼であった。

惣一郎はアイテムボックスに死骸を収納し、戻ろうと理喪棍にまたがるが、弁慶が歩いて帰ろうとと言い出した。

「まぁ、急ぐ必要もないか……」

嬉しそうに腕を組む弁慶だったが、ぶら下がり肩が外れそうな惣一郎だった。

プロレスの新技か!





テントに戻ると、クルセウスの3人が来ていた。

「惣一郎! いい所に戻った!」

「おい! 姉弟子がお前の命令が無いと戦わないって言うんだ! 頼む命令してくれ」

「懲りないね~」

「昨日は油断したんだ!」

「ガウ……」

「オババは?」

「呼んだかニャ?」

「なっ!」

驚いた、いつの間に後ろに…… 猫だからか?

「オババ、弟子が揉めてるぞ!」

「ああ、勝った方が魔獣を倒しに行くと言い出したニャ」

あっそう……

「ご主人様、やっていい?」

へっ、乗り気?

「なぁ~ 強さなんて相性だろ、そんなこだわらなくてもよくないか? 魔獣も、もういないし」

「コレは弟子同士のはな……え? もういないって、どう言う事だ?」

「さっき倒して来た」

惣一郎はアイテムボックスから死骸を出し「ほれっ!」と見せる。

ミコの顎は外れるのでは無いだろうか。

オババも目を丸くしていた。

「か、関係ないわ!」

いや、あるだろう……

「はぁ~ じゃ、好きにするといいよ」

溜め息を吐く惣一郎は、もう興味も無くした様に真っ直ぐテントに入っていく。

「この魔獣は、本当にお前さんが倒したのか
ニャ? リコは本当にお前より強いのかニャ?」

「ああ、アタイと旦那様で倒した。そしてベンゾウ殿は、アタイらより上だ!」



腰の小刀に手を添えるベンゾウ。

重心がやや落ちる。

ミコも慌てて、短剣を抜く。

ベンゾウと同じく、両手に。

そしてベンゾウの構えに反応したのか、ミコの後ろに控えていたガブガとガウも、釣られて構えてしまう。

ガブガも両手に斧を!

ガウは拳闘士なのか、拳を構える。

だが、その時点で終わっていた。

ベンゾウは黒いオーラを漂わせながら、3人の背後で小刀を抜いていた。

ミコの短剣は刀身を失い、ガブガも手には木の棒だけを握っていた。

ガウも、金属のグローブから素手が剥き出しになっていた。

弁慶も心の中で、力など無意味と知る。

素早さと、切れ味の良い刃物。

コレがあれば最強なのではないのかと……

3人の時間が止まる。

オババも細い目を見開いて止まっていた。


腰の鞘に小刀を収めると、黒い炎が霧散する。

「どう? オババさま、ベンゾウ強くなったでしょ!」

親に自慢する、無邪気な子供の様だった。

その声は届いているのだろうか……




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