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第十六章
六話 【ベンゾウの影】
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翌日、惣一郎はクオンに下着の雑誌や関連する本を数点を渡し、予備のミシンとミシンに必要な針などの消耗品を在庫として渡しておく。
下着自体の材料は糸も生地も全てこちらの世界の物を使ってもらう。
クオンは惣一郎に感謝し、意欲に燃えている。
ヒロヨシーも商人ギルドを紹介し、新たな流通経路も確保していた。
惣一郎は安心すると、久しぶりに触ったミシンに懐かしく、こちらで買った服などを直し始めていた。
「惣一郎殿、このストッキングとやらは、縫い目が無いのだが……どうやって作っているのだ?」
確か一本の糸から機械で編み込んでいた様な……
「ありゃ無理だ、自分で考えろ!」
なんだかんだと時間も忘れ、長居してるとセシルが、サーズリから連絡が入ったと言って来た。
どうやら厄災ではない様だが、百を超える足を持つ鎧の魔獣が、数匹暴れてる場所があるらしい。
あれもきっと厄災だと思うのだが……
冒険者にも被害が出てる為、応援要請が来た。
場所は、ノイデン共和国の北、[ゴーデンセル炭鉱街]付近。
「ノイデン共和国か~ 俺が最初に来た国でベンゾウと出会った国だな~ もう懐かしく感じるよ!」
北部なので、ジュグルータさんとは会えなそうだが……
だがベンゾウは、重い表情を浮かべていた。
「どうしたベンゾウ! また何か変な物食べたのか!」
だが顔を背け、テントに戻っていく。
らしくない……
「ベンゾウさん、また何か変な物を食べたのですか?」
「分からん……」
「食べたい物がなかったんじゃないのか」
「かも知れん……」
取り敢えず急ぎ向おうと、惣一郎はクオンにまた来ると、別れを告げる。
「えっ、もういくのですか? 惣一郎殿ーーー」
途中、針子さんにヘラヘラしてるヒロヨシーを攫い! 施設へ向かう。
「ヒロヨシー、ノイデン共和国の北だ、近い場所へ頼む」
「えっ、ちょ、また急ですね! 北だと[シェンスーの街]ですかね~ でも待って下さい、そんな直ぐは無理ですよ」
どうやら転移は、送る側と迎える側が同時に発動しなければ、いけない様であった。
「今連絡しますので、ちょっと待って下さい!」
なるほど、いつも出口に誰か居たのはそう言う事か…… 仕方ない。
こんな時、惣一郎はいつもの癖で、ベンゾウにお菓子を差し出す。
「いい……」
「嘘だ…ろ…… お前……」
「ベンゾウ殿、また何か黙って食ったのか?」
「ベンゾウさん、お腹痛いんですか?」
「違う! ベンゾウの……ゴーデンセルは、ベンゾウの故郷なの!」
「そういえば、ノイデンの北部って言ってたな~ 誰かいるのか? 家族とか親戚とか」
「ちょ、旦那様も知らないのか?」
「そういえば、なんも知らんな、お前もだろ」
「まぁ、確かに……」
「言いたくなきゃ、それでいいと思って来たからな~」
「ベンゾウ、もし行きたくなきゃ、留守番してるか?」
「ありがと、ご主人様…… 大丈夫、いく!」
元気が無く、曇る顔のベンゾウは、コレはコレで可愛かった。
「お待たせしました、準備が出来ました」
また来るとヒロヨシーに別れを告げ、魔法陣が光出す。
ベンゾウの故郷、ノイデン共和国北部、シェンスーの街へ。
下着自体の材料は糸も生地も全てこちらの世界の物を使ってもらう。
クオンは惣一郎に感謝し、意欲に燃えている。
ヒロヨシーも商人ギルドを紹介し、新たな流通経路も確保していた。
惣一郎は安心すると、久しぶりに触ったミシンに懐かしく、こちらで買った服などを直し始めていた。
「惣一郎殿、このストッキングとやらは、縫い目が無いのだが……どうやって作っているのだ?」
確か一本の糸から機械で編み込んでいた様な……
「ありゃ無理だ、自分で考えろ!」
なんだかんだと時間も忘れ、長居してるとセシルが、サーズリから連絡が入ったと言って来た。
どうやら厄災ではない様だが、百を超える足を持つ鎧の魔獣が、数匹暴れてる場所があるらしい。
あれもきっと厄災だと思うのだが……
冒険者にも被害が出てる為、応援要請が来た。
場所は、ノイデン共和国の北、[ゴーデンセル炭鉱街]付近。
「ノイデン共和国か~ 俺が最初に来た国でベンゾウと出会った国だな~ もう懐かしく感じるよ!」
北部なので、ジュグルータさんとは会えなそうだが……
だがベンゾウは、重い表情を浮かべていた。
「どうしたベンゾウ! また何か変な物食べたのか!」
だが顔を背け、テントに戻っていく。
らしくない……
「ベンゾウさん、また何か変な物を食べたのですか?」
「分からん……」
「食べたい物がなかったんじゃないのか」
「かも知れん……」
取り敢えず急ぎ向おうと、惣一郎はクオンにまた来ると、別れを告げる。
「えっ、もういくのですか? 惣一郎殿ーーー」
途中、針子さんにヘラヘラしてるヒロヨシーを攫い! 施設へ向かう。
「ヒロヨシー、ノイデン共和国の北だ、近い場所へ頼む」
「えっ、ちょ、また急ですね! 北だと[シェンスーの街]ですかね~ でも待って下さい、そんな直ぐは無理ですよ」
どうやら転移は、送る側と迎える側が同時に発動しなければ、いけない様であった。
「今連絡しますので、ちょっと待って下さい!」
なるほど、いつも出口に誰か居たのはそう言う事か…… 仕方ない。
こんな時、惣一郎はいつもの癖で、ベンゾウにお菓子を差し出す。
「いい……」
「嘘だ…ろ…… お前……」
「ベンゾウ殿、また何か黙って食ったのか?」
「ベンゾウさん、お腹痛いんですか?」
「違う! ベンゾウの……ゴーデンセルは、ベンゾウの故郷なの!」
「そういえば、ノイデンの北部って言ってたな~ 誰かいるのか? 家族とか親戚とか」
「ちょ、旦那様も知らないのか?」
「そういえば、なんも知らんな、お前もだろ」
「まぁ、確かに……」
「言いたくなきゃ、それでいいと思って来たからな~」
「ベンゾウ、もし行きたくなきゃ、留守番してるか?」
「ありがと、ご主人様…… 大丈夫、いく!」
元気が無く、曇る顔のベンゾウは、コレはコレで可愛かった。
「お待たせしました、準備が出来ました」
また来るとヒロヨシーに別れを告げ、魔法陣が光出す。
ベンゾウの故郷、ノイデン共和国北部、シェンスーの街へ。
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