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第十六章

四話 【クオンの悩み】

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「惣一郎様、ワーテイズ王都にも施設があるそうです! 担当の名前はヒ・ロヨシーと言う方で王都のギルドマスターとの事です!」

「あはは、アイツか!」

「ご存じで?」

「ああ、明日ワーテイズに行くとサーズリに、言っといてくれ、俺の事は内緒でって!」

「分かりました」

いきなり行って、驚かせてやる。

せっかく訪れた、ゼルダン国のギルド本部があるシェーマスと言う街を、堪能する事もなく、行き当たりばったりな旅をする惣一郎達。




翌朝、ベッドの中で誰が布団から出て暖炉の火に薪を入れるかで、静かな戦いが始まっていた。

「ベンゾウは絶対無理!」

「私も出来れば遠慮します…… ブルブル」

「ダダダ、旦那様が、テテテ、テレキシスで運べばいいいいいだろ」

「弁慶、お前昨日平気って言ってたろ! 顔出すのも寒いんだよ!」

「あああ朝の、さささ寒さが異常なんだよ」

「あの、ブルブル、早くしないと、ブルブル、火が消えてしまいます」

「じゃセシルが行って!」

「それはちょっと…… ブルブル」

「ベンゾウこのままじゃ凍死しちゃうよリーダー!」

「そそそそうだ! リーダーだろ!」

「すいませんリーダー! ブルブル」

「こんな時だけずるく無いか?」

「クロ! クロ~!」

「クロさん、耳栓して寝てますリーダー。ブルブル」

「よーしわかった」

うりゃ!っと布団を全部跳ね上げる惣一郎。

「「「 ぎゃーーーーー! 」」」


賑やかな朝を迎える。





朝食を終えると惣一郎達は、ギルドの地下にある施設へ来ていた。

施設長のヌイドリーが、魔法陣に魔力を注ぐ。

「随分と急な移動ですね」

「すんません! ギルドの為と思って!」

「では、行きますよ!」

また魔法陣が光だし、その光に包まれると暖かい空気が肌を覆う。

「ようこそワーテイズ…… ゲッ!」

「ゲッ、ってなんだ、ゲッて!」

「惣一郎殿がなぜここに! あれ? お偉いさんが来るって、聞いて……」

「ふふふ、コレを見ろ!」

惣一郎は自慢気に、黒い冒険者カードを見せる。

「えええっ! それって最高役員の五賢者しか持ってない…… え?」

「昨日、六人目になった惣一郎です!」

「はぁ…… えええええーーーー!」

「そんな事より、すまんがクオンの所まで案内頼めるか?」

驚くヒロヨシーを無視して、先に進む惣一郎達。

階段を登ると、ギルドの敷地内の古屋に出た。

「へぇ~ 倉庫の地下か! 芸がない」

「ちょ、惣一郎殿! 誰かに聞かれたらどうするんですか! 極秘なんですから、もう少し慎重にお願いしますよ!」

「はいはい」

ヒロヨシーの案内で街中を歩く。

聞けばクオンは街中に、一軒家を改装して泊まり込んでいるそうで、そこに向かっていた。

「惣一郎殿、あれから一向にベリルの消息は掴めてないのですが、それっぽい事件も起きないですし…… 一体何があったんでしょうね~」

そうだ、言ってなかったわ!

「まぁ、ダンジョンにでも篭ってるのかもね」

「えっ! それはどう言う意味なのですか? あれ、惣一郎殿! ちょっと!」

一軒家の前に着く。

まぁまぁ広い家だった。

一階部分は雑にぶち抜かれ、針子さんだろう人が30人近く机を並べて、死にそうな顔で働いていた。

「ブラックだな」

中に入ると、エレノイが目に隈を作って書類に囲まれていた。

「エレノイ! 久々」

「惣一郎! 助けてくれ~」

開口一番、出た言葉が「助けて」だった。

「ああ、助けに来たよ!」

惣一郎はエレノイに栄養ドリンクを渡し、針子さん達にも配る。

「なんなのさコレ! 生き返る!」

「クオンは?」

「上で死んでるんじゃ無いかな~」

笑えない……

ヒロヨシーとベンゾウ達は一階で待ってもらい、エレノイと惣一郎で二階に上がる。

デザイン画だろう紙と下着に囲まれて、クオンは静かに目を閉じていた……

「クオン! ずるいぞひとりだけ寝るなんて!」

容赦ないビンタだった。

「はっ! エレノイ!」

「よ! クオン」

「惣一郎殿~」

泣きながら抱き付くクオン。

取り敢えず栄養ドリンクを飲ませて、話を聞く事になる。

マシンガンの様に話始めるクオン。

要約すると、売り出し直ぐに好調で注文が殺到し、生産が間に合わないそうで、人を雇い工場を購入する。

だが、どっかのバカ貴族が、この下着は自分のアイデアだと言い張り、金を払った工場は改装途中で貴族の妨害により工事が止まっている状態である。

新作発表を控えており、デザインに集中したいが、次から次へと妨害に遭い、生産も滞っていると言う……

「わかった、あとは任せろ! みんなは工場へ」

「惣一郎殿ーーーーー!」

先ずは工場へ向かう。

途中ヒロヨシーに、その貴族を呼び出してもらう。

町外れの大きな工場。

中は出来てないが屋根も壁もある。

惣一郎は足踏みミシンと作業台を大量に購入し、並べて使い方を教える。

ミシンが使える惣一郎の意外な一面であった。

「凄い! 綺麗な縫い目」

「なんて精密な魔導具なの!」

この針子さん達なら、直ぐに使いこなせそうだ。

工場の端にパーテーションを並べ仕切りを作ると、デザイン用の机とテーブル、応接セットまで並べる。

隣には机と棚を並べ、事務用品も数点見繕う。

一軒家から収納して来た物を出し、整理整頓し始めるエレノイ。

クオンはデザインデスクにご満悦!

約束の見本の下着も机に並べ、睡眠はキチンと取る様に言う。

あとは追々揃えていこう。

工場の外にテントを出し、弁慶とセシルがみんなの食事を作り始める。




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