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第十六章

三話 【懐かしのあの子】

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「惣一郎様! お待ちを!」

「サーズリ、様とか付けなくていいよ」

「いえそう言う訳には、今やギルドのトップなのですから」

トップね~

「サーズリ、俺は今さっき会ったばかりのご老体より、お前を信じるよ! お前から見てどうなんだ実際。理由は納得出来るんだが、会ってすぐに金の話だ、アイツら信じていいのか?」

「ええ、確かに避けては通れない問題です。五賢人の皆さんも、元は名を轟かせた冒険者。人柄はああですが、信用は出来ます」

「そっか、わかったサーズリを信じるよ」

「ありがとうございます」

「硬いって! 最初いきなり斬りかかって来たサーズリは何処へ?」

「はぁ、それは、その…… 忘れて頂きたい」

「サーズリ、エリリンテは一度スワロを裏切ってる、二度は無いからね! マイズの為によろしくお願いします」

「はい! お任せ下さい!」

長い螺旋階段を降りながら、念を押す惣一郎。

「厄災の討伐依頼は?」

「はい、今のところ2件、ですが詳細がまだ分からず時間がかかっています。分かり次第セシル様に連絡を」

「私にも、様は必要ないですよ」

雪国で汗をかくサーズリ。

美人の奥さんがいるだけで、いじられる男。

「所で惣一郎様、どちらへ?」

「ん? 街を見て寝床を探そうかと」

「本部に部屋が用意されておりますが」

「いや、枕がかわるとね~ 街も見てみたいし」

「そうですか、何かあればいつでもご連絡下さい」

「ああ、ありがとう!」

惣一郎を見送るサーズリ。

惣一郎達は、そのまま一階へ降りると、賑やかなギルドそのものであった。

雪国で随分と活気があるんだな~

長いカウンターに列を作る冒険者。

大きな掲示板には、無数の依頼が張り出されている。

「おい見ろ! あのでかい犬神、まさか」

『『『『 ジビカガイライ! 』』』』

「ヒソヒソ……上から降りて来たって事は、噂は……見ろ黒鉄だ! ヒソヒソ……厄災を倒せるトップチームだぜ!……閃光の乙女がいないな」

ベンゾウは、寒いとクロの背中に張り付いており、白い防寒着で同化していた。

「ヒソヒソ……おい!仲間に入れてもらうんじゃなかったのかよ……馬鹿、話しかけたら殺されるぞ!………ヒソヒソ……でも、あのおっさん」

『『『 全然強そうに見えないな~ 』』』

「お~しお前ら、全員かかってこい! 聞こえてんだよ心の声が!」

弁慶に抱えられ、ギルドを出る惣一郎だった。





「ううう~ 寒い!」

「ですね、コレでは街を見て回るなんて」

「アタイは平気だがな~」

「いかん、ベンゾウが無理そうだ! 久々宿でも探すか!」

レンガ作りの街並みを、宿屋を探して歩く一行は、すぐ目に入った宿屋へ入る。

「いらっしゃいませ~ 宿屋ウオエルゴルドへようこそ!」

「えっ! なんて?」

「旦那様! 寒いからってガラが悪くなってるぞ!」

「すいません、大部屋をお願いします」

「はい、毎度~」

五階の大部屋に通されると、広い部屋に等間隔でベッドが10個並ぶ、本当の大部屋だった。

「ま、いいか!」

惣一郎は暖炉の前に勝手にソファーを出してくつろぎ始める。

ベンゾウが膝に頭を乗せて丸くなる。

セシルと弁慶は、惣一郎が出したキッチンで、食事を作り始めた。

そう言えばクロが静かだ…… あ!

「クロ、よし!」

「ふう~ 皆この位の寒さで大騒ぎしすぎだぞ! 我は全然……」

「じゃ外で寝るか?」

「いや、ほれ、小娘が寒がるじゃろうから、我がいてやらんと……」

あっそ……

そうだ、クオンに連絡しよう。

どれだっけ?

通信用の魔導具が増え過ぎて、わからんぞ。

コレかな?

『コール』……

『惣一郎殿! お久しぶりです、噂は流れて来てますよ! 厄災討伐を請負っておられるとか!』

『誰だっけ?』

『ちょ、酷いじゃ無いですか、ヒ・ロヨシーです』

『おお、久しぶり! 間違っちゃった、ごめんごめん! 以上』

『ちょちょちょ、惣一郎殿! 酷いですって! 久しぶりなんですから、もっとホラ』

『なんかある?』

『いえ特に……』

『以上!』

『ちょ……』

あっれ~ どれだっけな~ クオン、クオン……

コレか?

『コール』………

『惣一郎殿~ お久しぶりです!』

『クオンか?』

『当たり前じゃ無いですか! もう大変なんです!』

『クオンブランド、おめでとう! ギルドから入金の知らせ受けてな、気付くの遅れてすまん』

『ありがとうございます! おかげさまで大人気になり、万年人手不足なんです! もう私も3日も寝てなくて~』

『嬉しい悲鳴じゃないか! 良かったな~ 夢叶って!』

『そうなんですが、ここまで人気が出るとは……今、工場を建設中なんですが、それまでは寝てる暇もないくらいでして!』

『頑張れ頑張れ! 売り上げの20%の約束守ってくれて嬉しいよ! こっちもそれで助かってさぁ、礼を言わなきゃってな』

『お礼だなんて、全部惣一郎殿のおかげですし、それと丁度お話が!』

『どうした?』

『実は工場建設にあたり、今までの何倍も商品が流れるので、それに合わせて新作を発表する予定だったのですが……中々デザインが決まらなくって……』

『なるほど』

『惣一郎殿、もっと見本を貰えませんでしょうか? このままじゃ、悔しいけど私のデザインでは駄目なんです!』

『見本か…… 今何処に居るのよ』

『ワーテイズです、ワーテイズの王都に工場も!』

『あれ? ヒロヨシーの所?』

『ええ、さっきまで手伝ってもらってましたが、大事な連絡が入ったと言って逃げられました』

『あはは、すまん』

『なぜ惣一郎殿が?』

『まぁ、なんだ、事情はわかったよ! なんとかしてみる。丁度時間も空いたしね!』

『本当ですか?』

『ああ、また連絡するよ。 以上』

『は、はいお願いします! 以上』

「セシル~ サーズリにワーテイズの王都にも施設あるか聞いてくれる?」

「はい!」

さて、下着選びでもしますか!

最近抵抗が無くなって来た惣一郎だった。





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