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十五章
二十話 【さよならは言わない】
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なにはともあれ、こうして無事ゼリアオールスでの厄災討伐は、終わりを迎えた。
セシルは、サーズリに討伐完了の知らせを送る。
ツナマヨは握る刀を見たあと、惣一郎に、
「終わったのだな……」
っと、囁く様に話しかける。
「ああ、みんなのおかげだ! ガルド達が来るまで、のんびり待とう!」
「惣一郎殿、話がある!」
いつになく真剣な表情であった。
「ああ、朝飯食べてからでいい?」
可愛げのなくなったクロを抱え、テントに戻る。
「イタタ! 惣一郎よ、もう少し優しく」
「クロ…… お前もう喋るな」
惣一郎はみんなに朝食を振る舞い、なぜか風呂に入り出す。
鼻歌まじりに、入念に体を洗う惣一郎の姿に、弁慶は女の感を働かせる。
「旦那様、お出かけに?」
「えっ! あ、いや、どっどこに行くって言うんんだよ、こんな場所で! 気のせいだよ、気のせい!」
ベンゾウと弁慶が薄目で『あやしい』っと思う。
着替えた惣一郎は「見回りに行って来る!」っと、ツナマヨを連れ出し、森の中へ入っていく。
「それで、話とは?」
シブイっと思ってるのだろう、低い声で格好を付ける惣一郎。
「ああ、ベンゾウ殿達も聞いて欲しい」
ベンゾウ達?
振り返るとベンゾウと弁慶も付いてきていた。
「ちょ、なんでいんだよ!」
「「 見回りですが、何か? 」」
するとツナマヨが、大きな声を出す。
「惣一郎殿!」
「はい♡」
「惣一郎殿が、マオウなのか?」
「「「 !!!!! 」」」
ツナマヨは、鞘に収められた兼房虎徹を前に差出す。
「ナンノコトダイ?」
「この刀を前に、惣一郎殿は[この世界には余る武器]と言った。この世界とはつまり、別の世界から来たのではないか?」
「オ、オ、オレ、ソンナコトイッタカイ! ベンゾウサン」
「ベンゾウ、キイテナイ…… アルヨ」
ん、中国人?
「惚けずともよい! 其方が、ベンゾウ殿が、ユウシャなのだろ!」
「勇者だなんて、そんなコイツはただの愚者ですよ!」
「なっ! ベンゾウ愚者じゃない、勇者!」
アホ……
「やはりそうであったか、惣一郎殿は勇者の意味を知っているんだな」
あ、俺がアホだったか……
「わかった、話そう……
……と、いう訳なんだが、正直俺もよく分からない」
「そうか…… 私もあれからあの夢を見ない理由が分かった気がした。魔王…… 殺された賢者、それに聖女に勇者か……」
「まぁ、神的な何かか分からんが、手の平で踊る気はないよ! 俺は俺の生き方を自分で決める。ベンゾウの様にな」
「自分で決める……か」
ツナマヨは組んでいた腕を下ろし、初めて笑顔を見せた。
「私はずっと、自分が何者なのか探してきた。ダンジョンでケンゴーを手に入れてからずっと。その意味があの夢で、やっと分かった気がして来たが…… そうだ、その通りだ! 他人に決めてもらうより、自分で決めるべきだな!」
清々しい笑顔であった。
「惣一郎殿、我々は行くよ! 短い間であったが、実り多い時間であった、感謝する」
「もう行くのか、下着はいいのか?」
「ああ、素晴らしい武器を手に入れた! コレで我々も人々の為に善を成し、ジビカガイライの様にギルドに認めてもらえるチームを目指す! 何かあればいつでも手を貸そう。惣一郎殿、世話になった」
「エルが騒ぎそうだな、下着~って」
「彼女なら大丈夫さ、私より年上だからな!」
「えっ?」
「彼女はハーフエルフだ。100は超えてると思うぞ!」
「ツナマヨ殿、アタイとの勝負の続きを、またいつか!」
「ああ、武器は互角だ、次は負けないぞ!」
弁慶と握手を交わすツナマヨは最後に、ベンゾウの前で膝を突き頭を下げる。
「勇者よ、力で倒すだけが全てでは無い。ベンゾウ殿ならきっと見事、魔王を倒すだろう。魔王を頼むぞ!」
「ん~ 力じゃ無い…… 押し倒す?」
力技じゃん。
笑いながら森を出ていく、ツナマヨ。
ゴリラング・ログ…… きっと今まで以上に名を世界に広げるだろう。
「旦那様…… なんか夢を見てないアタイだけ、仲間外れみたいだ」
「気にすんな、俺も見てない! でも、見てたらなんだろうな、弁慶は…… 戦士とか拳士か?」
「デカ女」
「ベンゾウ殿!」
セシルは、サーズリに討伐完了の知らせを送る。
ツナマヨは握る刀を見たあと、惣一郎に、
「終わったのだな……」
っと、囁く様に話しかける。
「ああ、みんなのおかげだ! ガルド達が来るまで、のんびり待とう!」
「惣一郎殿、話がある!」
いつになく真剣な表情であった。
「ああ、朝飯食べてからでいい?」
可愛げのなくなったクロを抱え、テントに戻る。
「イタタ! 惣一郎よ、もう少し優しく」
「クロ…… お前もう喋るな」
惣一郎はみんなに朝食を振る舞い、なぜか風呂に入り出す。
鼻歌まじりに、入念に体を洗う惣一郎の姿に、弁慶は女の感を働かせる。
「旦那様、お出かけに?」
「えっ! あ、いや、どっどこに行くって言うんんだよ、こんな場所で! 気のせいだよ、気のせい!」
ベンゾウと弁慶が薄目で『あやしい』っと思う。
着替えた惣一郎は「見回りに行って来る!」っと、ツナマヨを連れ出し、森の中へ入っていく。
「それで、話とは?」
シブイっと思ってるのだろう、低い声で格好を付ける惣一郎。
「ああ、ベンゾウ殿達も聞いて欲しい」
ベンゾウ達?
振り返るとベンゾウと弁慶も付いてきていた。
「ちょ、なんでいんだよ!」
「「 見回りですが、何か? 」」
するとツナマヨが、大きな声を出す。
「惣一郎殿!」
「はい♡」
「惣一郎殿が、マオウなのか?」
「「「 !!!!! 」」」
ツナマヨは、鞘に収められた兼房虎徹を前に差出す。
「ナンノコトダイ?」
「この刀を前に、惣一郎殿は[この世界には余る武器]と言った。この世界とはつまり、別の世界から来たのではないか?」
「オ、オ、オレ、ソンナコトイッタカイ! ベンゾウサン」
「ベンゾウ、キイテナイ…… アルヨ」
ん、中国人?
「惚けずともよい! 其方が、ベンゾウ殿が、ユウシャなのだろ!」
「勇者だなんて、そんなコイツはただの愚者ですよ!」
「なっ! ベンゾウ愚者じゃない、勇者!」
アホ……
「やはりそうであったか、惣一郎殿は勇者の意味を知っているんだな」
あ、俺がアホだったか……
「わかった、話そう……
……と、いう訳なんだが、正直俺もよく分からない」
「そうか…… 私もあれからあの夢を見ない理由が分かった気がした。魔王…… 殺された賢者、それに聖女に勇者か……」
「まぁ、神的な何かか分からんが、手の平で踊る気はないよ! 俺は俺の生き方を自分で決める。ベンゾウの様にな」
「自分で決める……か」
ツナマヨは組んでいた腕を下ろし、初めて笑顔を見せた。
「私はずっと、自分が何者なのか探してきた。ダンジョンでケンゴーを手に入れてからずっと。その意味があの夢で、やっと分かった気がして来たが…… そうだ、その通りだ! 他人に決めてもらうより、自分で決めるべきだな!」
清々しい笑顔であった。
「惣一郎殿、我々は行くよ! 短い間であったが、実り多い時間であった、感謝する」
「もう行くのか、下着はいいのか?」
「ああ、素晴らしい武器を手に入れた! コレで我々も人々の為に善を成し、ジビカガイライの様にギルドに認めてもらえるチームを目指す! 何かあればいつでも手を貸そう。惣一郎殿、世話になった」
「エルが騒ぎそうだな、下着~って」
「彼女なら大丈夫さ、私より年上だからな!」
「えっ?」
「彼女はハーフエルフだ。100は超えてると思うぞ!」
「ツナマヨ殿、アタイとの勝負の続きを、またいつか!」
「ああ、武器は互角だ、次は負けないぞ!」
弁慶と握手を交わすツナマヨは最後に、ベンゾウの前で膝を突き頭を下げる。
「勇者よ、力で倒すだけが全てでは無い。ベンゾウ殿ならきっと見事、魔王を倒すだろう。魔王を頼むぞ!」
「ん~ 力じゃ無い…… 押し倒す?」
力技じゃん。
笑いながら森を出ていく、ツナマヨ。
ゴリラング・ログ…… きっと今まで以上に名を世界に広げるだろう。
「旦那様…… なんか夢を見てないアタイだけ、仲間外れみたいだ」
「気にすんな、俺も見てない! でも、見てたらなんだろうな、弁慶は…… 戦士とか拳士か?」
「デカ女」
「ベンゾウ殿!」
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