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十五章

十四話 【ヴォル大森林】

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大森林を目指して走る一行!

クロなら問題ないが、馬は休憩も考えないといけないな……

「惣一郎様! この先に川があります! 連日の雨で渡るのは難しいかも知れません! 迂回するなら南へ!」

まぁ、川幅位なら飛ばせるかな?

「いや、時間が惜しい! 真っ直ぐ向かう」



しばらく進むとビルゲンの言っていた川が見えて来た。

増水している川は流れも早く、時折大きな岩が押し流されて来ていた。

立ち止まるバオが「どうしますか?」っと、聞いてくる。

忠告を無視した惣一郎がどうするのか、楽しみで仕方ないと言った顔だった。

舟を出した所で馬が大人しく乗るはずもない。

惣一郎は、ネットで買った固い木材を大量に出して全てに印を結ぶと、バラバラに浮き上がった板が橋を形成して行く。

「なんでもアリですね…… まったく!」

呆れた顔でそのまま渡り出す、バオとビルゲン。

馬車も渡ると、クロも進んでいく。

木材はまたバラバラになり、惣一郎の前に綺麗に重なる。

それを収納すると、馬車の御者席から立ち上がるギコルが、

「ゲビツールだ! ゲビツールが3匹向かってくるぞ!」

手足の生えたナマズ。

前にダンジョンのボスだった魔獣だが、それより大分小さい。

小さいと言っても馬車ほどの大きさではあった。

「ここは私たちが!」

っと、バオが馬上から弓を構え、ビルゲンも杖を向ける。

早速、新たらしい武器を試せるチャンスに、ウズウズワクワクのふたり。

ツナマヨ達も馬車から身を乗り出し、見守る。

川縁の砂利をビタビタと走り来るナマズは、絵面的にシュールだったが、先頭のナマズにバオの光矢が放たれる!

光の矢は、黄色い光線をカクカクと角度を変え、四方からナマズを貫く!

「なっ!」

撃った本人が口を開け驚く。

次に、ビルゲンが後ろの2匹に、ウインドウカッター(風刃)を唱える。

フワッと砂煙を上げる風は、半月状の透明な空気の塊を砂煙で一瞬見せると、爆風を生み見えなくなる。

2匹のナマズは、強風に前足を浮かせると、バラバラに崩れ落ちた。

馬車から「おおお~」っと声が聞こえるも、撃ったふたりは、驚いて聞いていない。

「「 威力が…… おかしい…… 」」

お気に召した様で!

「クロ、行くぞ!」

「えっ! 回収しないのですか?」

「そんな暇ないだろ」

まぁまぁ珍しい魔獣で高額だそうだが、先を急ぐ。

空は、すっかりいい天気になっていた。




「惣一郎様、サーズリから連絡が、北の厄災が動き出したそうです!」

「向こうも雨止んだか! 了解」

先を急ぐ、惣一郎達。



しばらく進むと、荒野から草原に景色が変わっていく。

馬車の御者席からゴザが、

「惣一郎殿、そろそろ馬を休ませないと!」

っと、言い出すので休憩する事にする。

樽のまま水を置き、馬に飲ませる。

クロにも水をあげ、テーブルを出し、みんなにもスポーツドリンクを配る。

「なぁ、このまま馬に合わせると厄災に追いつかれるかも知れん。俺たちは先に大森林に向かおうと思う」

「確かにこのペースでは、グラサーナを捕らえてる暇がないかも、ですね……」

「セシルは馬車で連絡を取り合う。俺とベンゾウと弁慶、それとビルゲンで先に行くので、ツナマヨは、後続の指揮を頼む!」

「承知した。ビルゲン殿、馬をお借りする」

惣一郎は、水や食料をセシルに渡し、荷車に乗り込む。

「陽が落ちたら無理せず、休んでくれ! 厄災も夜は動かないらしいからな!」

「ああ、気を付けてな惣一郎殿!」

「ビルゲン様も!」

「ええ、バオ! 先に行って待ってますわね」

休憩もそこそこに惣一郎達は、先に大森林の何処にいるかわからないグラサーナを捕らえに向かう。



草原を4人を乗せ、疾走するクロの荷車。

馬車のペースに合わせなければ、夜には大森林に着きそうな勢いであった。

銀の舟を出し飛べば、更に早く着くだろうが、自分の魔力量を把握していない惣一郎は、厄災との戦いに備えて、なるべく魔力を温存したかった。


陽が傾き、赤く空が色付く。

遠くに一面を覆い尽くす森が見えてくる。

「惣一郎様、あれがヴォル大森林です!」

「ひろ! あそこから探すのか!」

「ええ、あの大森林の向こうの海には大昔、火を噴いたと伝えられる山があるそうですが、足を踏み入れ戻った者はおりません」

火山?

木々が増えていき、鬱蒼と生い茂る草木がクロの進行を遅くさせて行く。

「これ以上は荷車で進むのは無理か……」

辺りはすっかり暗くなっていた。

惣一郎は、ここで夜を明かし、夜明けに捜索を開始しようと、テントを出す。




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