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十五章
十二話 【女の戦い】
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クロに乗ったベンゾウが雨に濡れ、ずぶ濡れの4人の冒険者を連れ、ギルドの中庭へ入って来る。
濡れた金髪に羊の様なツノを生やした美人が、馬を降りると真っ直ぐ惣一郎の元へ!
「惣一郎様! お久しゅうございます!」
再会のハグに、弁慶の視線が痛い。
「元気そうだな、ビルゲン!」
「ええ、あれから僕は、片時も惣一郎様の事を…… えっ! その腕どうしたのですか!」
「ゴホン!」
こちらも、濡れた金髪から長く尖った耳を出すエルフが、馬から降りて咳払いをする。
「ほんとお久しぶりですね、惣一郎殿…… 惣一郎殿、その腕は! えっ、若返ってません!」
「ああ、まぁ、バオも元気そうで良かった! 取り敢えず中で話そう!」
惣一郎はみんなにクリーンをかけて、テントに案内する。
テントの中は大人数で蒸せ返す。
テーブルにお茶を出し、立ってる者にも樽の上にお茶を並べと、ビルゲンが話し出す。
「まずは僕から、義勇軍を代表して! 此度の厄災討伐を受けてくれて感謝致します。すでに数ヶ所で数百匹にも及ぶ厄災を倒されたそうで、ギルドから知らせを受け、ほんと驚きました。まさかジビカガイライが、依頼を受けてくれたなんて!」
「ええ、本当に!」
「どう言った知り合いなのだ?」
「一緒にダンジョンで遊んだの!」
「ゼリアオールスと聞いて、もしかしてとは思ったが、本当に会えるとはな! 国に戻ってたんだな」
「それがダンジョンを出たと思ったら、僕の故郷の[グラサーナ]に飛ばされた様で、奪われた領地で、なんとかやって来れたのも、惣一郎様がくれた物のおかげです。本当になんとお礼を言っていいか……」
「ええ、惣一郎殿のおかげで、盾を売ったお金で屋敷も買い戻せ、また一からノイタジア家再建を夢見ていたのですが、王が病に倒れ、国は次期国王を決める争いに…… 出遅れたビルゲン様も名乗りを挙げようとしていたのですが」
「よろしいかな? ご挨拶が遅れました。私はその王位継承争いに名乗りを挙げている[ルミアシト領]の領主[ガルド・ウォン・ルミアシト]と申します。この度のご助力、感謝致します。隣は、私の付き人[イミーナ]」
硬い挨拶をする金髪癖毛の美少年。
彼も、きっと見た目の年齢ではないのだろう。
隣にはやはり、金色の短髪エルフの女性が立ってお辞儀をする。
そして露骨に嫌な顔をする、ビルゲンとバオ。
「初めまして、よろしく」
「ノイタジア家とは、長年共に互いの領土を守って来た仲でして、私が王位を継いだ暁には、彼女を王妃に迎え、ノイタジア再建へ」
「貴様! 僕の惣一郎様の前で、なに世迷言を!」
「ビルゲン様! 今はそれどころでは、相手にしてはいけません!」
ふたりを睨むイミーナ。
「おいおい、アタイの旦那様に、僕のとはどう言う意味だ!」
不穏な空気に止めに入る、ツナマヨ。
「待て待て、そんな場合じゃないだろ!」
あらやだ、モテ期?
まぁ、どうせ下着か食い物目当てだろうが……
「ゴホン! その為にもこの厄災問題を、何としても早期に解決したく、ジビカガイライの方々へは協力を惜しみません! が、物で恩を売って気をひこうなどと、決してお考え無い様に願いたく、彼女は高貴な出ですので、貴方とは」
「貴様! ツノ無しの分際でよくも! 付いてくると言い出した時から、おかしいと思ったのだ!」
「ご主人様、この金髪クリクリ、斬っていい?」
「ベンゾウさん! ここはこのバオが!」
「旦那様に対する暴言は、この弁慶が許さん!」
「あら、貴方、よく見たらモモさんじゃないわね? 苦労かけてるんじゃ無いの? お痩せになってよ惣一郎様」
カオスだった……
「いい加減にせぬか! 何の話だ!」
そだ、いいぞ団長。
「ですから、我々の結婚の邪魔をしないで頂きたいと」
「誰が貴様と! 僕は惣一郎様と!」
「黙って聞いておれば、惣一郎様に相応しいのは、同じ魔導士である、ワシなのじゃ!」
「一体何が始まったんだ……」
「ええい、ビルゲン様、こうなっては待ってられません! 今すぐ惣一郎様と、夜のお勤めはこのバオにお任せを!」
「もう、全員斬っていい? ご主人様! ご主人様? あれ、ご主人様は~」
惣一郎は外で子供達と遊んでいた。
よく降るな~ この雨。
濡れた金髪に羊の様なツノを生やした美人が、馬を降りると真っ直ぐ惣一郎の元へ!
「惣一郎様! お久しゅうございます!」
再会のハグに、弁慶の視線が痛い。
「元気そうだな、ビルゲン!」
「ええ、あれから僕は、片時も惣一郎様の事を…… えっ! その腕どうしたのですか!」
「ゴホン!」
こちらも、濡れた金髪から長く尖った耳を出すエルフが、馬から降りて咳払いをする。
「ほんとお久しぶりですね、惣一郎殿…… 惣一郎殿、その腕は! えっ、若返ってません!」
「ああ、まぁ、バオも元気そうで良かった! 取り敢えず中で話そう!」
惣一郎はみんなにクリーンをかけて、テントに案内する。
テントの中は大人数で蒸せ返す。
テーブルにお茶を出し、立ってる者にも樽の上にお茶を並べと、ビルゲンが話し出す。
「まずは僕から、義勇軍を代表して! 此度の厄災討伐を受けてくれて感謝致します。すでに数ヶ所で数百匹にも及ぶ厄災を倒されたそうで、ギルドから知らせを受け、ほんと驚きました。まさかジビカガイライが、依頼を受けてくれたなんて!」
「ええ、本当に!」
「どう言った知り合いなのだ?」
「一緒にダンジョンで遊んだの!」
「ゼリアオールスと聞いて、もしかしてとは思ったが、本当に会えるとはな! 国に戻ってたんだな」
「それがダンジョンを出たと思ったら、僕の故郷の[グラサーナ]に飛ばされた様で、奪われた領地で、なんとかやって来れたのも、惣一郎様がくれた物のおかげです。本当になんとお礼を言っていいか……」
「ええ、惣一郎殿のおかげで、盾を売ったお金で屋敷も買い戻せ、また一からノイタジア家再建を夢見ていたのですが、王が病に倒れ、国は次期国王を決める争いに…… 出遅れたビルゲン様も名乗りを挙げようとしていたのですが」
「よろしいかな? ご挨拶が遅れました。私はその王位継承争いに名乗りを挙げている[ルミアシト領]の領主[ガルド・ウォン・ルミアシト]と申します。この度のご助力、感謝致します。隣は、私の付き人[イミーナ]」
硬い挨拶をする金髪癖毛の美少年。
彼も、きっと見た目の年齢ではないのだろう。
隣にはやはり、金色の短髪エルフの女性が立ってお辞儀をする。
そして露骨に嫌な顔をする、ビルゲンとバオ。
「初めまして、よろしく」
「ノイタジア家とは、長年共に互いの領土を守って来た仲でして、私が王位を継いだ暁には、彼女を王妃に迎え、ノイタジア再建へ」
「貴様! 僕の惣一郎様の前で、なに世迷言を!」
「ビルゲン様! 今はそれどころでは、相手にしてはいけません!」
ふたりを睨むイミーナ。
「おいおい、アタイの旦那様に、僕のとはどう言う意味だ!」
不穏な空気に止めに入る、ツナマヨ。
「待て待て、そんな場合じゃないだろ!」
あらやだ、モテ期?
まぁ、どうせ下着か食い物目当てだろうが……
「ゴホン! その為にもこの厄災問題を、何としても早期に解決したく、ジビカガイライの方々へは協力を惜しみません! が、物で恩を売って気をひこうなどと、決してお考え無い様に願いたく、彼女は高貴な出ですので、貴方とは」
「貴様! ツノ無しの分際でよくも! 付いてくると言い出した時から、おかしいと思ったのだ!」
「ご主人様、この金髪クリクリ、斬っていい?」
「ベンゾウさん! ここはこのバオが!」
「旦那様に対する暴言は、この弁慶が許さん!」
「あら、貴方、よく見たらモモさんじゃないわね? 苦労かけてるんじゃ無いの? お痩せになってよ惣一郎様」
カオスだった……
「いい加減にせぬか! 何の話だ!」
そだ、いいぞ団長。
「ですから、我々の結婚の邪魔をしないで頂きたいと」
「誰が貴様と! 僕は惣一郎様と!」
「黙って聞いておれば、惣一郎様に相応しいのは、同じ魔導士である、ワシなのじゃ!」
「一体何が始まったんだ……」
「ええい、ビルゲン様、こうなっては待ってられません! 今すぐ惣一郎様と、夜のお勤めはこのバオにお任せを!」
「もう、全員斬っていい? ご主人様! ご主人様? あれ、ご主人様は~」
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