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十五章

五話 【雨天血行?】

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家畜の牛に齧り付く厄災。

飛び出したツナマヨが日本刀で斬りかかる!

だが、寸前で跳躍を見せるバッタ。

ツナマヨの一閃は雨の中、その軌道だけが虚しく空を斬る。

そのバッタの跳躍を、エルの炎槍が追撃するも、茶色のバッタは燃えながら、雨で消火し地面に着地すると、ツナマヨ達に敵意を向ける。

「ギギギギギー!」

無数の歯を擦り合わせ、羽を振動させるバッタは、食事を邪魔された怒りを目に映す。

すると他の食事中の厄災も、食事をやめ同じ様にツナマヨ達に怒りを向ける。

鞘に日本刀を戻し、居合いの構えを見せるツナマヨ。

腰を落とし、睨み返す。

一匹のバッタが、大きな後ろ足を蹴ると、厄災は弾丸と化し、真っ直ぐ地面と平行に雨を弾きながら飛んで来た!

「伏せろ!」

腰を落としたツナマヨは、更に低く頭を下げると、頭上を弁慶の侃護斧が通り過ぎる!

片手のフルスイング!

弾丸を頭から潰し、打ち返す弁慶は赤い鬼へと姿を変えていた。

汚くバラバラに打ち返された厄災に、正面のバッタの視界が一瞬、塞がれると目の前に突然現れたツナマヨに驚き、体を浮かす。

ツナマヨの一閃!

魔法剣豪が厄災を、食い殺された牛ごと横に両断する!

一瞬、雨も斬った様に、時間が止まって見えた。

厄災は横に2つになってずれ落ちると、横のもう一匹の体から上にはみ出した大きな後ろ足も、切っていた。

「ギーーーー」

飛べなくなったバッタが大きく口を開け、叫ぶ様に威嚇すると、炎の槍が上から連続で落ち、地面に縫い付け激しく燃える。

そこにギコルの長剣が、厄災の首元に深く斬り込む。

最後の一匹が生存本能からか、逃走を図ろうと跳ぼうとするが、その瞬間上から侃護斧が地面に叩き潰す。

体の大半が潰れ、体液をこぼすバッタの足は、しばらくピクピクと動いていた。

「逃した厄災は、これで全てか!」

「そのはずじゃ! 惣一郎様が先に村人を避難させてくれたお陰で、被害も牛1頭で済んだ様じゃ!」

蒸気を上げ、徐々に元のサイズと色に戻って行く弁慶が、

「セシル殿! 旦那様に連絡を!」

「それが、繋がらないんです!」

「まさか! 直ぐ北へ向かおう! 旦那様を助けに!」

「済まぬ…… 今ので魔力切れだ」

「ワシもじゃ…… 惣一郎様」

「戦闘中なのかも知れません! 今は惣一郎様からの連絡を、待った方がいいです!」

焦る弁慶だったが、自分が駆け付けた所で残された体力から足手纏いになるとわかっていた。

「旦那様…… 無事でいろよ」

雨が強まり、みんなの熱を冷ましていく。






その頃。

「あっ! そ、そこ、気持ちいい~」

「ここ? ご主人様~ 固くなってるよ~」

「ああ~ 右しか使ってないからな~ 肩が凝って……って、何これ? お約束?」

ソファーに座る惣一郎の肩を、優しく揉むベンゾウ。

「血流悪いと、魔力にも影響しそうだろ?」

「じゃ、ご、ご主人様……他にも血が溜まってる所があれば、べ、ベンゾウが……」

「あ、連絡しないと!」

ヘタレ惣一郎は、多少回復した魔力で、セシルにコールする。

『惣一郎様、ご無事ですか!』

『ああ、連絡遅れて済まない。こっちの大群はなんとか倒したが、魔力使い過ぎて、コールも出来なかったんだ』

『流石、惣一郎様! そう言う事だったのですね! 心配しました』

『そっちは?』

『はい、逃げた厄災も全て倒しました。西の村まで来てしまいましたが』

『村に被害は?』

『村には誰も居ません、飼われていた牛が1頭犠牲になりましたが、弁慶さん達が倒してくれました』

『そうか、ちゃんと避難してくれたのか!』

『孵化した白い厄災は家畜を襲うと、茶色く変色し、攻撃性を上げ襲って来ましたが、皆さんが怪我も無く』

『成虫になったのか! そんな早く!』

『はい、恐ろしい成長速度と繁殖力です。1匹でも逃せば、大変な事になっていたかも知れません』

『ああ…… だが、これで終わりとも限らない! 俺も魔力が回復次第戻る。みんなにも今の内に、休むように言ってくれ!』

『わかりました。弁慶さんが心配してるので、お早いお帰りを! 以上』

『わかった! 以上』

セシルは、連絡があった事をみんなに伝えると、丁度トーマ達の馬車が村へ到着する。



「ご主人様♡ だからね、ベンゾウがね……」

「向こうも無事倒したらしい! 休んだら、戻るぞ! 今の内に、回復しておけ!」

「……もぅ!」

内心ドキドキの惣一郎は、ベッドに横になると、すぐ睡魔に襲われる。





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