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十五章
四話 【追う者】
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雨が降る荒野。
ベンゾウは大きく肩を揺らし、バッタを両断しては、大きく口を開け息をする。
惣一郎も苦悶表情を浮かべ、円盤でバッタを刻んでいくが、殺虫剤の影響を受けなかった厄災は、大きな跳躍で次々と襲いかかって来る。
バッタの死骸で埋め尽くされた、広い荒野は、雨の音だけがしていた。
最後の一匹をベンゾウが、縦に両断すると、
「ハァハァ、ごしゅじ…ん、ハァハァ…さま」
惣一郎は頭を抱えて、理喪棍にもたれる様にギリギリ意識を残していた。
コールを感じるが、受ける魔力が無かった。
ザスの実を出し、齧る気力も無い。
「ちょ……と…休憩……」
っと、言い残し倒れる。
その頃!
西へクロの荷車に乗り疾走する、弁慶とセシル! それとツナマヨとエルにギコル。
トーマとゴザは、馬車で後から追いかけると残った。
産まれたばかりの厄災は飛べないのだが、跳躍を繰り返し、ほぼ飛んでる様に西へ向かって行く。
弁慶達から逃げる様に。
クロのスピードでも中々追い付けない!
「おい! 別れるぞ!」
白いバッタは二手に分かれ、西と南へと進路を変えた。
数は西に4匹、南へ3匹。
「どうする!」
「団長、南の3匹の方が足が遅いぞ!」
「犬神さん、もう少しで炎槍が届くのじゃ! あと少し!」
クロが踏ん張り、ややスピードを上げる。
「いけるのじゃ! ファイヤーランス!!」
3匹の厄災は、背中に炎槍が突き刺さり、転げ落ちる!
ツナマヨとギコルが止めを刺しに、荷車から飛び出す!
白いバッタは、二つに分かれ燃え上がり、もう2匹も日本刀で両断される!
「クロ殿! そのまま進め!」
弁慶は手を伸ばし、走りながらツナマヨとギコルを拾い上げる!
クロは進路を西に戻し、見失った厄災を追う。
大分息が上がっていた。
「すまぬ弁慶殿! しかしなんて切れ味なんだ」
「団長、この杖のが異常なのじゃ! さっきから炎槍を撃ち続け、もう20は超えておるのに、まだ撃てそうじゃし、距離も発動時間も、何もかもがおかしいのじゃ」
「旦那様の武器は、ダンジョン産なんかより、神がかってるからな! アタイのこの侃護斧だって!」
「ゴツい斧だな…… 鈍器か? 重そうだ」
「ほれ、持ってみな!」
「ゴフッ! つぶ…れ…る……」
ワン!(村が見えたぞ!)
「村です! いけない、厄災が!」
先に見える村で、家畜に群がる4匹のバッタが見えた。
厄災は見る見る色づいていき、茶色になっていく。
クロが入り口で止まると、荷台から飛び出す弁慶とツナマヨ。
「私は惣一郎様に、連絡を入れておきます!」
丁度、雨が降り始める。
「ご主人様!」
雨の中、ベンゾウに抱えられ目を覚ます惣一郎。
頭痛が酷い。
ザスの実を出し齧ると、ベンゾウの腹が鳴る。
「すまん、心配かけた」
惣一郎は厄災の死骸だらけの荒野に、テントを出す。
「直ぐには飛んで帰れないから、少し雨宿りしていこう」
中に入ると、びしょ濡れのふたりはクリーンをかけ、テーブルにおにぎりを出す。
惣一郎は残したみんなを心配するも、直ぐには動けない焦りから、せめてコールぐらいは出来る様にと、ザスの実を齧り続ける。
「ご主人様、弁慶もいるし大丈夫だよ!」
フラグじゃないだろうな……
ベンゾウは大きく肩を揺らし、バッタを両断しては、大きく口を開け息をする。
惣一郎も苦悶表情を浮かべ、円盤でバッタを刻んでいくが、殺虫剤の影響を受けなかった厄災は、大きな跳躍で次々と襲いかかって来る。
バッタの死骸で埋め尽くされた、広い荒野は、雨の音だけがしていた。
最後の一匹をベンゾウが、縦に両断すると、
「ハァハァ、ごしゅじ…ん、ハァハァ…さま」
惣一郎は頭を抱えて、理喪棍にもたれる様にギリギリ意識を残していた。
コールを感じるが、受ける魔力が無かった。
ザスの実を出し、齧る気力も無い。
「ちょ……と…休憩……」
っと、言い残し倒れる。
その頃!
西へクロの荷車に乗り疾走する、弁慶とセシル! それとツナマヨとエルにギコル。
トーマとゴザは、馬車で後から追いかけると残った。
産まれたばかりの厄災は飛べないのだが、跳躍を繰り返し、ほぼ飛んでる様に西へ向かって行く。
弁慶達から逃げる様に。
クロのスピードでも中々追い付けない!
「おい! 別れるぞ!」
白いバッタは二手に分かれ、西と南へと進路を変えた。
数は西に4匹、南へ3匹。
「どうする!」
「団長、南の3匹の方が足が遅いぞ!」
「犬神さん、もう少しで炎槍が届くのじゃ! あと少し!」
クロが踏ん張り、ややスピードを上げる。
「いけるのじゃ! ファイヤーランス!!」
3匹の厄災は、背中に炎槍が突き刺さり、転げ落ちる!
ツナマヨとギコルが止めを刺しに、荷車から飛び出す!
白いバッタは、二つに分かれ燃え上がり、もう2匹も日本刀で両断される!
「クロ殿! そのまま進め!」
弁慶は手を伸ばし、走りながらツナマヨとギコルを拾い上げる!
クロは進路を西に戻し、見失った厄災を追う。
大分息が上がっていた。
「すまぬ弁慶殿! しかしなんて切れ味なんだ」
「団長、この杖のが異常なのじゃ! さっきから炎槍を撃ち続け、もう20は超えておるのに、まだ撃てそうじゃし、距離も発動時間も、何もかもがおかしいのじゃ」
「旦那様の武器は、ダンジョン産なんかより、神がかってるからな! アタイのこの侃護斧だって!」
「ゴツい斧だな…… 鈍器か? 重そうだ」
「ほれ、持ってみな!」
「ゴフッ! つぶ…れ…る……」
ワン!(村が見えたぞ!)
「村です! いけない、厄災が!」
先に見える村で、家畜に群がる4匹のバッタが見えた。
厄災は見る見る色づいていき、茶色になっていく。
クロが入り口で止まると、荷台から飛び出す弁慶とツナマヨ。
「私は惣一郎様に、連絡を入れておきます!」
丁度、雨が降り始める。
「ご主人様!」
雨の中、ベンゾウに抱えられ目を覚ます惣一郎。
頭痛が酷い。
ザスの実を出し齧ると、ベンゾウの腹が鳴る。
「すまん、心配かけた」
惣一郎は厄災の死骸だらけの荒野に、テントを出す。
「直ぐには飛んで帰れないから、少し雨宿りしていこう」
中に入ると、びしょ濡れのふたりはクリーンをかけ、テーブルにおにぎりを出す。
惣一郎は残したみんなを心配するも、直ぐには動けない焦りから、せめてコールぐらいは出来る様にと、ザスの実を齧り続ける。
「ご主人様、弁慶もいるし大丈夫だよ!」
フラグじゃないだろうな……
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