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十五章
三話 【厄介な厄災】
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緩やかな風に乗り、粉末の殺虫剤は森全体へ広がり落ちる。
上空を旋回しながら幻腕を出し、両手で粉を撒き続ける。
白い煙の様に森へ広がる殺虫剤は、バッタにも確実にかかっただろう。
時折足をバタつかせ、木から力無く落ちるバッタ。
良かった、効いたようだ!
だが、ジジジっと声出し、口から泡を吹くも耐える個体も見える。
足らないのか?
地球産の殺虫剤だぞ!
惣一郎は、構わず空から撒き続ける。
上空から粉を撒く惣一郎の目に、追いついたクロと馬車が遠くに見えて来た。
『ベンゾウ、少しそこで待機だ!』
コールを飛ばす惣一郎。
クロの荷車と馬車が止まる。
バッタに喰われ禿げかけた森が、薄っすら雪化粧したかの様に、殺虫剤で白くなる。
耐えていたバッタも力尽き、ひっくり返っていた。
効いたかな……
すると馬車の方が騒がしい。
セシルが何やら叫んでいる。
惣一郎が皆んなの元へ降り立つと、セシルが慌てた様子で、
「惣一郎様、サーズリから連絡が! 厄災が今、北の[エリオンの街]を襲撃中との事です!」
「他にも居たのか!」
「そうみたいです! ここからエリオンまで3日は掛かるそうですが!」
「間に合わないか! 奴らがその後、何処へ飛び去るかサーズリに調べさせてくれ」
「はい!」
「惣一郎殿! 我々は」
「マスクをして、森の中の厄災を確認してくれ! 弁慶はゴリラング・ログの皆んなと!」
「「 わかった! 了解した! 」」
「ベンゾウは俺と北へ飛ぶぞ! グラビティーを頼む!」
コクン!っと頷くベンゾウ。
だが直ぐに弁慶が騒ぎ出す。
「旦那様! 卵が、厄災の卵が孵るぞ!」
「なにーーー!」
森の至る所で大きな米粒の様な卵から、白いバッタが生まれ始める!
恐ろしい繁殖力であった。
惣一郎は直ぐに殺虫剤を撒くが、驚くことに効果が無い!
「おいおい嘘だろ!」
抵抗力を付けた世代が、ここまで早く生まれるとは、さすがに読めなかった!
驚く惣一郎だが、ツナマヨが刀で斬り込む!
「切れる! 孵化したばかりだ、身体が柔らかいんだ! 続け、ゴリラング・ログ!」
ツナマヨ達が森に入り、孵化したバッタを両断していく。
孵化したばかりでまだ、飛ぶ事が出来ないバッタ。
「旦那様! ここはアタイ達に任せて!」
「あ、ああ! 頼む!」
惣一郎はセシルに魔石の付いたブレスレットを渡し、ベンゾウを理喪棍に乗せる!
「何かあればコールで連絡を!」
惣一郎達は、凄い速さで北へ飛んで行く!
そんな惣一郎達に追い討ちをかける様に、雲行きが怪しくなっていく。
曇り空の中エリオンを目指し、飛ぶ惣一郎にセシルからコールが飛んでくる!
『惣一郎様! 卵の数が多く何匹かが西へ! 残された厄災は倒したので、このまま西に向かいます!』
『わかった、一匹も逃すな! また卵を生まれたら厄介だ! 以上』
『わかりました、以上』
そんな惣一郎の正面に黒いモヤが見える。
「厄災だ! ベンゾウ、マスクをしろ!」
「ご主人様は上から薬を! ベンゾウ下で斬りまくるよ!」
「わかった!」
理喪棍から飛び降りるベンゾウ!
スカイダイビング出来るレベルの高さではあるが、グラビティーを使いこなしているベンゾウは、躊躇しなかった。
惣一郎は殺虫剤を振り撒き風に乗せる!
こちらに向かって来る厄災は、先頭からバタバタと落ちていく。
だがやはり効き目が弱い厄災もいた。
弱って落ちてはいくが、地面でもがき暴れている。
構わず殺虫剤を撒き続ける惣一郎。
落ちた先頭に追い付いたベンゾウが、2本の小刀で弱った厄災を両断していく!
バッタだらけの荒野を、銀の閃光が走り回る。
成虫でも斬れるなら助かる!
惣一郎もククリ刀を何本も投げ出し、円盤にすると、ペリジンをかける!
空へ投げ出した殺虫剤の袋を、円盤が切り刻み、粉を拡散していく!
ポツ……ポツ…ポツポツ……ザーーーー!
雨が無情にも降り出し、殺虫剤を洗い流していく。
「クソ! まだ少し残ってるのに!」
だが不思議な事に、残った厄災は雨を嫌う様に地面に降りていく。
それを追って円盤を投げ込み惣一郎も地上に降りる!
「クソ、頭痛がしてきたぞ……」
上空を旋回しながら幻腕を出し、両手で粉を撒き続ける。
白い煙の様に森へ広がる殺虫剤は、バッタにも確実にかかっただろう。
時折足をバタつかせ、木から力無く落ちるバッタ。
良かった、効いたようだ!
だが、ジジジっと声出し、口から泡を吹くも耐える個体も見える。
足らないのか?
地球産の殺虫剤だぞ!
惣一郎は、構わず空から撒き続ける。
上空から粉を撒く惣一郎の目に、追いついたクロと馬車が遠くに見えて来た。
『ベンゾウ、少しそこで待機だ!』
コールを飛ばす惣一郎。
クロの荷車と馬車が止まる。
バッタに喰われ禿げかけた森が、薄っすら雪化粧したかの様に、殺虫剤で白くなる。
耐えていたバッタも力尽き、ひっくり返っていた。
効いたかな……
すると馬車の方が騒がしい。
セシルが何やら叫んでいる。
惣一郎が皆んなの元へ降り立つと、セシルが慌てた様子で、
「惣一郎様、サーズリから連絡が! 厄災が今、北の[エリオンの街]を襲撃中との事です!」
「他にも居たのか!」
「そうみたいです! ここからエリオンまで3日は掛かるそうですが!」
「間に合わないか! 奴らがその後、何処へ飛び去るかサーズリに調べさせてくれ」
「はい!」
「惣一郎殿! 我々は」
「マスクをして、森の中の厄災を確認してくれ! 弁慶はゴリラング・ログの皆んなと!」
「「 わかった! 了解した! 」」
「ベンゾウは俺と北へ飛ぶぞ! グラビティーを頼む!」
コクン!っと頷くベンゾウ。
だが直ぐに弁慶が騒ぎ出す。
「旦那様! 卵が、厄災の卵が孵るぞ!」
「なにーーー!」
森の至る所で大きな米粒の様な卵から、白いバッタが生まれ始める!
恐ろしい繁殖力であった。
惣一郎は直ぐに殺虫剤を撒くが、驚くことに効果が無い!
「おいおい嘘だろ!」
抵抗力を付けた世代が、ここまで早く生まれるとは、さすがに読めなかった!
驚く惣一郎だが、ツナマヨが刀で斬り込む!
「切れる! 孵化したばかりだ、身体が柔らかいんだ! 続け、ゴリラング・ログ!」
ツナマヨ達が森に入り、孵化したバッタを両断していく。
孵化したばかりでまだ、飛ぶ事が出来ないバッタ。
「旦那様! ここはアタイ達に任せて!」
「あ、ああ! 頼む!」
惣一郎はセシルに魔石の付いたブレスレットを渡し、ベンゾウを理喪棍に乗せる!
「何かあればコールで連絡を!」
惣一郎達は、凄い速さで北へ飛んで行く!
そんな惣一郎達に追い討ちをかける様に、雲行きが怪しくなっていく。
曇り空の中エリオンを目指し、飛ぶ惣一郎にセシルからコールが飛んでくる!
『惣一郎様! 卵の数が多く何匹かが西へ! 残された厄災は倒したので、このまま西に向かいます!』
『わかった、一匹も逃すな! また卵を生まれたら厄介だ! 以上』
『わかりました、以上』
そんな惣一郎の正面に黒いモヤが見える。
「厄災だ! ベンゾウ、マスクをしろ!」
「ご主人様は上から薬を! ベンゾウ下で斬りまくるよ!」
「わかった!」
理喪棍から飛び降りるベンゾウ!
スカイダイビング出来るレベルの高さではあるが、グラビティーを使いこなしているベンゾウは、躊躇しなかった。
惣一郎は殺虫剤を振り撒き風に乗せる!
こちらに向かって来る厄災は、先頭からバタバタと落ちていく。
だがやはり効き目が弱い厄災もいた。
弱って落ちてはいくが、地面でもがき暴れている。
構わず殺虫剤を撒き続ける惣一郎。
落ちた先頭に追い付いたベンゾウが、2本の小刀で弱った厄災を両断していく!
バッタだらけの荒野を、銀の閃光が走り回る。
成虫でも斬れるなら助かる!
惣一郎もククリ刀を何本も投げ出し、円盤にすると、ペリジンをかける!
空へ投げ出した殺虫剤の袋を、円盤が切り刻み、粉を拡散していく!
ポツ……ポツ…ポツポツ……ザーーーー!
雨が無情にも降り出し、殺虫剤を洗い流していく。
「クソ! まだ少し残ってるのに!」
だが不思議な事に、残った厄災は雨を嫌う様に地面に降りていく。
それを追って円盤を投げ込み惣一郎も地上に降りる!
「クソ、頭痛がしてきたぞ……」
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