異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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十五章

二話 【説得の難しさ】

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魔力が豊富な魔族が多い街の生存者の力を借りる事になり、ネイが特に魔力の多い者を集めてくれた。

惣一郎は理喪棍を伸ばし、みんなが握り集中する。

惣一郎は全方向ではなく、西側だけに意識を集中するが、思ったほど魔力が増えた感じがしなかった。

10人近い魔族が握っているのに、惣一郎ひとりの時より一割増えた程度の感覚である。

だが結果は、ギリギリ厄災を捉える事が出来た。

「いた! 村の手前の森で木を食ってる……いやほとんどは寝てるのか?」

「お腹いっぱいで、寝てるのかな?」

「かも知れない! 急げば間に合うか」

惣一郎は、馬車の馬を急がせ、クロを荷車に繋ぎ始める。

「ネイ! 先を急ぐ! なんとか村に連絡取れないか当たってくれ!」

「わかりました! お気をつけて」



惣一郎達は、西へ向けて走り出す。

だが少しすると、クロのスピードになんとか食い付いて走っていた馬車が、徐々に遅れ出す。

「ベンゾウ、俺は先に村へ行って避難を呼びかける! このまま真っ直ぐ西へ、手前の厄災の森で落ち合おう!」

そう言うと、理喪棍に乗り、ベンゾウにマスクを渡し、飛び去る。

「「 ご主人様! 旦那様! 」」

ひとりで先を飛ぶ、惣一郎。

凄い速さで風を切り、西へ飛ぶ。

2時間程で、森が見えて来た。

やはりバッタか! 

森を覆い尽くす大量のバッタ。

一匹が1mほどの巨大なバッタが木を食いまくっていた。

だが、半数はじっと動きを止めている。

森を食い尽くすまでは、動かないといいが。

惣一郎は村の避難を優先して、森の上空をそのまま通り過ぎる。

その先に村が見える!



村に降り立つ惣一郎!

「この村に厄災が迫ってる! 今すぐ避難するんだ!」

空から降り立ったおっさんに、村人の目が点になる。

「突然、何を言ってんだオメ~?」

「オーミサの街が厄災に襲われた! そこの森まで来てるんだ! 早く避難を!」

「そんな話聞いてないけど…… あなたは誰なの?」

「そんな事どうでもいいんだ! 急いで逃げてくれ!」

「そんな事急に言われても、な~」

「ああ、うちには年寄りもいるし」

「牛を置いてなんてとても……」

「頼む、急いで逃げてくれ!」

「オメ~ そんな事言って、留守の村さ襲う気じゃねぇのか?」

「盗賊か!」

「違う! ギルドの依頼で来てる冒険者だ! オーミサのネイにも頼まれてる! だから信じて避難してくれ!」

「ネイ様の?」

「おい! ネイ様の名前まで持ち出しやがって! そんなんで騙せると思うなよ!」

「クソ! どう言ったら信じるんだ! 兎に角、急いで逃げてくれ!」

騒ぎを聞きつけ、村人が集まり出す。

手には農具や武器を持って!

「この野郎、田舎だと思って馬鹿にしやがって、牛が目当てか! みんな、騙されんでねぇぞ!」

惣一郎はパニクっていた。

村人の乖離的な考えに、初対面で種族も違う惣一郎は、説得出来る言葉を持ち合わせていなかった。

惣一郎は、アイテムボックスから金貨の詰まった麻袋を何個も出し広げて、

「頼む! これをやるから持って避難してくれ」

地面に膝を突き、手を突いて頭を下げる。

盗賊が大金を出して騙すはずが無い……

困惑する村人。

だが、待っても居られない。

「俺は厄災を食い止めに戻る! 金を持って避難してくれ! 厄災の数は多い! どこか地下か洞窟にでも隠れるんだ!」

そう言い残し、惣一郎はまた森へ飛び去る。

村人は誰も声を出さず『もしかして本当なのか?』っと、思い始める。


惣一郎は、森の上空まで戻ると空から、ベンゾウにマスクをする様にコールする。

惣一郎もマスクをすると、空から殺虫剤を撒き始めた。




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