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十四章

二十話 【畏怖の対象】

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「なんか上からっぽい言い方ですまんが、厄災と戦う覚悟出来たと思っていいんだな?」

「ハァハァ、ああ、その覚悟だ!」

満身創痍といった所か……

冒険者5人で、ハイオークの王を倒したのだ。

やはりただの冒険者ではないようだ。

預かった馬車を出し、弁慶が馬を戻す。

惣一郎達も荷車を出し乗り込むと、遠くに見える王都を目指して進み出す。


「惣一郎……殿、そろそろ教えてもらえないだろうか?」

「ん?」

「ゼリアオールスへ向かうのに、何故王都へ?」

「ああ、戦いの準備さ! それにこの場所は龍脈が重なっている。とっておきの魔法を使えるかも知れないんだよ!」

全くのウソである。

惣一郎は最もらしい話でやや強引に連れて行く気なのだ。

「リュウミャクだと? 初めて聞くが……」

「まぁ、大地を流れる凄い力って事さ!」



王都の周りには厄災から一時避難して来た人々が数多くテント生活をしていた。

だが避難民の表情は明るく笑い合い、酒を片手に皆、お祭り騒ぎであった。

その中を一団は進む。

背筋を伸ばし凛と構えるゴリラング・ログの団長は、エルと代わり馬に乗って避難民の中を進む。

注目を集め、歓声まで浴びていた。

まるで絵画の様であった。

その下男の様な惣一郎は、王都の城門に着くと、

「ジビカガイライだ、ギルドに連絡が入ってると思うんだが」

っと門番に話す。

話は通っていた様ですんなりと笑顔で迎えられ、城下町へ入ることができた。

そのままギルドを目指す。

賑やかな城下町も花ビラが舞い、お祭り騒ぎであった。

その中を進んで行くと、向かう先から白馬が駆け寄って来る。

「ジビカガイライの方々ですね! 王都ギルドを預かる[コイラット]と申します! ご案内致しますので、後に!」

金髪の中年イケメンは、ギルマスだと言うが、王都では王族でも通じる様相であった。

白馬の後に着いて行くと、大きな建物の裏に回り、直接ギルドの中庭へ案内される。

「改めましてジビカガイライの皆様! この度はこの国をお救い下さり、感謝の言葉もありません。長旅でお疲れかと思います。どうかこちらの中庭をご自由にお使いください。ところで以前何処かでお会いになっていませんか?」

ギルマスのコイラットは、感謝を団長のツナマヨに向け話ていた。

「私ではない! 彼がジビカガイライで今回の立役者だ」

「ハハ、どうも、ジビカガイライの惣一郎です! よろしくお願いしま~す!」

荷車を降りた惣一郎は、おどけた笑顔を見せる。

「これは、大変失礼を致しました!」

「いやいや、お気になさらず! 変に気を使わなくて結構ですので」

「申し訳ない! 惣一郎様、荷解きを終えたら紹介したい人が居りますので、ギルドの受付に声をかけていただけますか?」

「わかりました。では後ほど!」

白馬を引き、去って行くコイラット。

惣一郎は早速テントを出し、クロを労う。

ゴリラング・ログの5人も馬車から荷物を下ろすと、惣一郎の用意したテントへ運び込む。

「じゃ、ちょっと行ってくるから、弁慶! みんなに風呂でも浸かる様、案内してあげて!」

「旦那様だけで、大丈夫か?」

「問題ないだろう」

そう言うと惣一郎は、建物の中に入って行く。



裏口からギルド内に入ると、中も大変賑わっていた。

厄災討伐のお祭りなのであろう、冒険者達も酒を飲み、騒いでいる。

ゴツい冒険者達を掻き分けながら、受付にたどり着くと、

「すいません、コイラットさんを」

「え? なんですか?」

賑やかな室内で、声が聞こえない様だ。

「すいません! コイラットさんを!」

「ギルマス? どういったご用件ですか!」

「ジビカガイライが来たと!」

「え~? もう一度!」

「ジビカガイライが来たと!!」

シーーーーーーーーーン!!

「おい、ジビカガイライって言ったか?」

「「「「「 ジビカガイライ! 」」」」」


静まり返る室内……

適当に付けた耳鼻科外来って言葉が、まさかここまで異世界で、畏怖の対象になるとは……

異様な空気の流れる室内に、異変を感じたギルマスが現れ、

「惣一郎様! 早かったですね、どうぞこちらへ!」

くる時は掻き分けた冒険者達が、道を作る。

へこへこ頭を下げて通り抜ける惣一郎は、コイラットが招く二階へと上がって行く。



「あ、あれが国盗りか……」っと、誰かが呟く。




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