異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
上 下
304 / 409
十四章

十八話 【御伽噺】

しおりを挟む
翌朝、惣一郎より早起きの5人。

いつでも出発出来るという態度であったが、惣一郎は朝食の準備を始める。

「朝から飯を食うのか?」

と思わず声に出すゴザ。

「ウチは朝晩しっかり食べる! 多い日は日に3食ね!」

困惑する5人は、出されたパンとハムエッグを夢中で食べ始める。

「なんて柔らかいパンだ!」

「このスープも美味い!」

「見るのじゃ、この瑞々しい野菜! こんな場所で新鮮その物じゃ!」

「パンもおかわりあるからな」

「「「「「 おかわり! 」」」」」




食事を終えるとテントを収納し、クロの荷車へ乗り込み王都を目指す。

荷車では、真っ直ぐ前を見据えるセシル。

ニコニコと、小刀を手入れするベンゾウ。

また一段と強くなったベンゾウに、対抗心を燃やす弁慶。

そして惣一郎はまた、サーチで後ろの馬車の様子を伺っていた。

「しかし美味い食事だったな! なんだか力も湧いて来る感じだ」

「ああ、ジビカガイライの強さは、あの食事にあるのかも知れん」

「かもな、あんな物毎日食べてれば強くもなれる気が」

「あの少女達が惣一郎に付き従う理由なのやも知れん。覇気の無い男だが見たか? あの大きなテントや家具をバッグを使わずに収納しておった! 奴の役割は戦闘じゃ無いのかもな」

「なるほど! 食材もあの男が全て出していた。まるで[ネロの御伽噺]に出てくる[ゲンテールの筺]だ」




ゲンテールのハコ? アイテムボックスの様な物なのだろうか? 散々な評価の惣一郎が興味を向ける。

「惣一郎様! 森が見えてきました」

セシルの声に視線を向けると、荒野の終わりに森が広がっていた。

王都はあの森の向こうだ。

「なぁ、ネロの御伽噺って知ってるか?」

「ええ、有名なお話ですね。私も子供の頃よく聞かされたのを覚えています」

っと、子供のセシルが答える。

「ネロって少年が毎回、神から凄いアイテムを貰って冒険をする話です」

「へぇ~ じゃゲンテールの筺って言うのは?」

「なんでも入り、欲しいものが出る箱ですね! 物語では聖獣を入れて、城から逃したりしていました」

「ほぉ~ 聖獣を…… 使えそうだな」

「何をですか?」

「いやこっちの話!」

森に入ると昼間でも薄暗い世界が広がって行く。

大きな木が陽射しを遮り、前に猿に出会った森に似ていたネロ!

少し進むと荷車や馬車では道が悪く進めなくなる。

「仕方ない歩くか」

「惣一郎、迂回すれば森を抜ける道があるのだが、ただ五日はかかってしまう」

「このまま進んだ方が早いだろ」

「しかし、馬は進めても我々の馬車が!」

惣一郎は荷車を収納すると、ゴリラング・ログの馬車も収納する。

「ちゃんと返すよ!」

目を丸くする5人。

残された馬は弁慶が手綱を持ち、歩き始める。

「団長やはりありゃ、ゲンテールの筺なんじゃ……」

そのまま森を進む一行。

途中休憩では、テーブルや椅子を出し、冷たい飲み物を振る舞う惣一郎。

5人のゲンテールの筺説は、ますます信憑性を増していく。

その日の晩に惣一郎は、5人にもテントとベッドを用意してあげ、夕食どきに、

「薄々勘づいてると思うが、俺の物を出し入れするスキルは特別なんだ! 絶対に他言にはしないでくれよな」

はっきりとは断言せず、勝手に勘違いしてくれ!っと言う様な言い回しであった。

「あっ、ああ、約束しよう……」




惣一郎は全員にクリーンをかけると寝る前に、サーズリにコールする。

『惣一郎殿、こちらも連絡しようと思っていた所でした!』

『なら丁度よかった! 何かあった?』

『いえ、本部に掛け合ったのですが、中々いい返事をもらえず…… もう少し時間がかかりそうでして』

『ああ俺も、その事で連絡をしたんだ!』

『と、言いますと?』

『要は転移施設を使った事を、彼女達に知られなければ問題無いんだろ?』

『ええ、まぁそう言う事ですが…… しかし5人に気づかせない様に転移させるとは……どうやって?』

『ゲンテールの筺だよ!』

『御伽噺のですか?』

『そそ! 聖獣を入れて城から出した箱!』

『まさか……』

『そっ、そのまさか! 寝かせて箱に入れて運んじゃうよ。気づかれない様にね』

『相変わらず、すごい事を思いつきますな…… 可能なのですか?』

『ああ、俺の収納スキルをすでに、物語と関連付けているからね! 上手く行くと思うよ! なので施設には大きい箱を運ぶとだけ言っといて欲しいんだ』

『本部も騙すと?』

『余計な心配かけたく無いだけさ!』

『分かりました。その様に伝えておきましょう。して、ゴリラング・ログの方々はお力になれそうなのですか?』

『ええ十分! 明日には着くと伝えてくれ!』

『分かりました。その様に、以上』

『よろしく! 以上』


さて、後は彼女達の覚悟だな……




しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...