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十四章

十五話 【ゴリラング・ログ】

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気を失っていた惣一郎が目を覚ます。

「惣一郎様!」

「セシル…… 何があった?」

見渡すと大楯の大男と弓のエルフが倒れており、大剣を構える青年がベンゾウと戦っていた。

「なんじゃ、これは!」

「それがこの冒険者の方々が、付いてくると言い出しまして、弁慶さんがあそこの魔導士さんと揉め出して……」

セシルの指差す方を見ると弁慶が、団長のツナマヨと向かい合い一触即発の状態だった。

団長の後ろには、M字開脚でパンツ丸出しのローブの女が倒れている。

「ちょ! 何してんの! やめろ!」

「「 ご主人様! 旦那様! 」」

大剣の振り下ろしを軽く避け、青年の顔を踏んで惣一郎の元に駆けつけるベンゾウ。

「ご主人様、大丈夫?」

「ああ、何があった! 俺はコイツらにやられたのか?」

沈黙で答えるベンゾウ……

「旦那様! コイツで終いだ! 少し待っててくれ!」

「いや、やめろ! なんで戦ってるんだ!」

「気が付いた様だな惣一郎よ! だが遅い! 少し待っておれ!」

「弁慶! やめろって言ってんだ!!」

惣一郎が立ち上がり、弁慶の元に駆け出す!

「旦那様!」

ツナマヨに背を向け、弁慶を止める惣一郎。

「弁慶、落ち着けよ!」

「惣一郎! お前が相手してくれるのか?」

剣を惣一郎へ向ける団長のツナマヨ。

「弁慶、何があったんだ! 俺はなんで気を失っていた!」

沈黙の弁慶……

「惣一郎よ、もう始まって仲間もやられておるのだ、戦わないなら見てるがいい!」

「戦う理由はなんだ?」

「旦那様、女の戦いなんだ! やらせてくれ」

ちょっと何言ってるか分からない惣一郎だった。

「あぁもう! 勝手にしろ!」

惣一郎はセシルを呼び、倒れた冒険者の手当を始める。


見る見る赤く大きくなる弁慶。

本気の様だ。

相手もそれ程の冒険者という事か……

両刃の片手剣を持つ団長ツナマヨが構える。

「鬼人化か初めて見る…… いくぞ!」

踏み込んだのが見えないすり足での初動!

一気に弁慶の懐に入り剣が閃光を描く!

侃護斧で弾き返す弁慶がそのまま反対の肩で団長を吹き飛ばすと、遅れて金属音!

「やるな!」

笑みを浮かべるツナマヨが剣を背後に居合の様な構えに変える!

コレ放って置いて大丈夫か不安になる惣一郎。

次の瞬間!

ふたりの踏み込んだタイミングが揃い!

中間で見事剣を交える!

遅れた金属音と砂煙がふたりを中心に外へ広がると、空から風を切る音を立て、銀の刃先が降って来る。

団長の剣が折れ、弁慶の侃護斧は弾かれるも、なんとか頭上で握り止めていた。

「負けたか……」

「いや、武器の差だ」

弁慶はそのまま振り下ろせば勝てそうだったが、弾かれた腕は痺れていた様だ。

弁慶とやり合える冒険者がいるとは、惣一郎は驚いていた。

まぁ、怪我もなく終わってよかった。

団長は折れた剣を見ていた。

だが、折れた剣を見ていたのではなく、団長もまた手が痺れており、あのまま折れずに続けていても、結果が見えていたと……

「惣一郎!」

何やら考え込んでいた団長が、急に頭を下げて話しかける。

「改めて頼む! 我々も厄災討伐に同行させてもらえないだろうか!」

「ふぇ? 一緒に旅を? お姐様と♡」

「「 ご主人様! 旦那様! 」」

「いや、ゴホン! 理由を聞いても?」

「単純だ、力になり、力を付けたい!」

「なるほど、わかりやすい」

「では!」

「いや、直ぐには答えは出せない! 会ったばかりだしね! 俺たちは今から王都へ向かう」

「王都へ? ゼリアオールスなら南ではないのか?」

「その答えも結果次第だな! 兎に角、王都までの道中、考えさせてくれ」

「了解した、よろしく頼む!」


と言う訳で、大所帯になって王都を目指す事に。

クロの荷車を先頭に、馬に乗った魔導士と弓使いのエルフ、その後ろを大剣の青年が御者を務める馬車に、団長と大楯の大男が続く。

そして先頭の荷車では、ベンゾウと弁慶に責められる惣一郎がいた。

「痛ててて! 待て待て! それよりもなんで俺は気を失っていたんだ?」

沈黙が続く……




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