290 / 409
十四章
四話 【港町ポートス】
しおりを挟む
「ジビカガイライの方々ですね、ザザンド国へようこそおいでくださいました! 連絡頂いてからお待ち申し上げておりました!」
地面が揺れる感覚の惣一郎は、ベンゾウの肩に掴まりながら、ようやく立っていた。
「来たばかりでスマンが、少し休ませてくれ…… 目が回る……」
船酔いの次は陸酔いの様だ。
「そうですね、長旅でお疲れでしょう。テントがあるので場所の提供だけでいいと聞いておりますが?」
「ああ、頼む……」
ザザンド国の港町[ポートス]にある、冒険者ギルドへ案内される。
真っ直ぐ歩けない惣一郎は、クロに荷車で引いてもらう。
ポートスの町は、木造の家が並び、何処となく西部劇で観た様な雰囲気を、醸し出していた。
移動手段が馬なのだろうか、家の前には馬を繋ぐ杭と樽には水が張られており、乾燥している砂埃が舞っていた。
その町並みにアンバランスな町民は、和服ぽい、前合わせの服を着てる。
ギルドへ着くと、裏から中庭へ真っ直ぐ案内された。
「ジビカガイライの皆さん、滞在中はこの中庭をご自由にお使い下さい」
礼を言うと職員はお辞儀をして、ギルドへ入って行く。
広い中庭へ、テントを出す惣一郎は、隣にリヴォイとサヴォイ用に別にテントを出す。
以前、風呂用に使っていたテントだ。
空っぽのテントにベッドを二つと寝具を置いてテーブルもサービスする。
「こっちはふたりで使ってくれ」
襲われた村の事を聞いてから、無口なふたりは礼を言うと中へ入り休む。
「セシルはどうする? ひとり用のテントを出すか?」
「いえ、ご一緒で構いません!」
てっきり別にすると思っていた惣一郎。
本人がいいならと、テントの中にベッドを用意すると惣一郎も直ぐにベッドへ倒れ込む。
「ジビカガイライの皆さん! どちらに?」
外から男の声が聞こえてくる。
「セシル、要件を聞いて来てくれ…… 話なら明日に頼むと……」
頷き外に出るセシル。
少しすると戻ってきて、
「ギルドマスターの方がご挨拶に来たそうですので、日を改めて貰いました」
惣一郎はベッドから、手を上げて返事をする。
翌朝、一晩寝た事で大分楽になった惣一郎は、中庭に出て、朝食に力を入れていた。
朝からガッツリと、チャーハンと中華スープ。
チャーハンには、焼肉が乗っていた。
朝から重い朝食に、誰も文句を言う者はおらず、みんな喜んで食べている。
「いい匂いですな~ おはよう! ポートスギルドの責任者をしている[ノイカ]と言います」
現れた白髪に白い髭の男は、挨拶をするとセシルの頭に手を置いて撫で始める。
「昨日は済まなかった! 船旅で具合が悪くって。ジビカガイライの惣一郎だ、よかったら一緒にどうだ?」
「ええ是非! いい匂いに釣られた甲斐があった!」
ギルマスのノイカを加え、食事を摂りながら今の状況を聞いた。
厄災は、ここから東に行った[トイプリの森]辺りで目撃されているそうで、ザザンドの兵が常に見張っているそうだ。
足止めも進行方向を誘導する事も出来ず、遠巻きに見張る事しか出来ない現状であり、進行先にある村や町に危険を知らせ、避難させるそうだ。
「[グスコールの村]は! 村人はどうなりました!」
箸を止め、ギルマスに身を乗り出し聞くリヴォイとサヴォイ。
「村は酷いあり様の様だが、人的被害は出ておらぬ。安心せい! 皆、無事だ」
ギルマスの言葉に、ホッとして腰をイスに下ろすふたりは、
「「 よかった~ 」」
っと、声を揃える。
地面が揺れる感覚の惣一郎は、ベンゾウの肩に掴まりながら、ようやく立っていた。
「来たばかりでスマンが、少し休ませてくれ…… 目が回る……」
船酔いの次は陸酔いの様だ。
「そうですね、長旅でお疲れでしょう。テントがあるので場所の提供だけでいいと聞いておりますが?」
「ああ、頼む……」
ザザンド国の港町[ポートス]にある、冒険者ギルドへ案内される。
真っ直ぐ歩けない惣一郎は、クロに荷車で引いてもらう。
ポートスの町は、木造の家が並び、何処となく西部劇で観た様な雰囲気を、醸し出していた。
移動手段が馬なのだろうか、家の前には馬を繋ぐ杭と樽には水が張られており、乾燥している砂埃が舞っていた。
その町並みにアンバランスな町民は、和服ぽい、前合わせの服を着てる。
ギルドへ着くと、裏から中庭へ真っ直ぐ案内された。
「ジビカガイライの皆さん、滞在中はこの中庭をご自由にお使い下さい」
礼を言うと職員はお辞儀をして、ギルドへ入って行く。
広い中庭へ、テントを出す惣一郎は、隣にリヴォイとサヴォイ用に別にテントを出す。
以前、風呂用に使っていたテントだ。
空っぽのテントにベッドを二つと寝具を置いてテーブルもサービスする。
「こっちはふたりで使ってくれ」
襲われた村の事を聞いてから、無口なふたりは礼を言うと中へ入り休む。
「セシルはどうする? ひとり用のテントを出すか?」
「いえ、ご一緒で構いません!」
てっきり別にすると思っていた惣一郎。
本人がいいならと、テントの中にベッドを用意すると惣一郎も直ぐにベッドへ倒れ込む。
「ジビカガイライの皆さん! どちらに?」
外から男の声が聞こえてくる。
「セシル、要件を聞いて来てくれ…… 話なら明日に頼むと……」
頷き外に出るセシル。
少しすると戻ってきて、
「ギルドマスターの方がご挨拶に来たそうですので、日を改めて貰いました」
惣一郎はベッドから、手を上げて返事をする。
翌朝、一晩寝た事で大分楽になった惣一郎は、中庭に出て、朝食に力を入れていた。
朝からガッツリと、チャーハンと中華スープ。
チャーハンには、焼肉が乗っていた。
朝から重い朝食に、誰も文句を言う者はおらず、みんな喜んで食べている。
「いい匂いですな~ おはよう! ポートスギルドの責任者をしている[ノイカ]と言います」
現れた白髪に白い髭の男は、挨拶をするとセシルの頭に手を置いて撫で始める。
「昨日は済まなかった! 船旅で具合が悪くって。ジビカガイライの惣一郎だ、よかったら一緒にどうだ?」
「ええ是非! いい匂いに釣られた甲斐があった!」
ギルマスのノイカを加え、食事を摂りながら今の状況を聞いた。
厄災は、ここから東に行った[トイプリの森]辺りで目撃されているそうで、ザザンドの兵が常に見張っているそうだ。
足止めも進行方向を誘導する事も出来ず、遠巻きに見張る事しか出来ない現状であり、進行先にある村や町に危険を知らせ、避難させるそうだ。
「[グスコールの村]は! 村人はどうなりました!」
箸を止め、ギルマスに身を乗り出し聞くリヴォイとサヴォイ。
「村は酷いあり様の様だが、人的被害は出ておらぬ。安心せい! 皆、無事だ」
ギルマスの言葉に、ホッとして腰をイスに下ろすふたりは、
「「 よかった~ 」」
っと、声を揃える。
23
お気に入りに追加
1,858
あなたにおすすめの小説

俺だけ2つスキルを持っていたので異端認定されました
七鳳
ファンタジー
いいね&お気に入り登録&感想頂けると励みになります。
世界には生まれた瞬間に 「1人1つのオリジナルスキル」 が与えられる。
それが、この世界の 絶対のルール だった。
そんな中で主人公だけがスキルを2つ持ってしまっていた。
異端認定された主人公は様々な苦難を乗り越えながら、世界に復讐を決意する。
※1話毎の文字数少なめで、不定期で更新の予定です。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる