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十三章

十四話 【国盗りと黒鉄】

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「ええい! わかったよ、やりゃいいんだろ!」


       ご主人様!
「「「    旦那様!     」」」
       ゴキコロリ様!

サーズリのニヤケ顔が、イラつく惣一郎。



サーズリの指示でリヴォイ達が早速、船の手配をしに行く。

サーズリも、セシルの冒険者カードを作ると、セシルを連れて一階へ降りて行き、残された惣一郎はソファーに深く寄りかかり、溜息を吐く。

「船か…… 苦手なんだよな~」

ベンゾウは寝ていたクロの手を取り、はしゃいでいた。



惣一郎達が部屋を出て、一階に降りると久しぶりにざわざわ騒ぎ出す冒険者達。

以前より大分、少ない気もする。

「ざわざわ……おい、あれ閃光の乙女じゃないか?……ざわざわ……なんかデカいのがいるな……バカあれ[鬼人クロガネ]だぞ! なんでエリリンテに!……ざわざわ……出た! あの小柄な男が[国盗り]だ!」

クロガネも気になるが、国盗り? 

俺、鉄壁の魔導士じゃなかったの?

そこにサーズリが戻ってくる。

「こっちは終わったが…… どうしたので?」

「いや、国盗りって……」

「ああぁ、今やジビカガイライは有名で、他所の国での活躍もよく耳に…… 今じゃ、国をも盗れる強さと国盗りと呼ばれているのだが、ご存じない?」

「初耳ですが…… なんか今度のは、盗賊みたいな呼び名だな」

「まぁ、容赦のない姿から畏怖も込められているのでしょう。所で、宿は以前と同じ倉庫で?」

「いえまだ、何も決めてないですよ、来てすぐここでしたので」

「でしたな、でしたらギルドの裏庭をお使いください。船も直ぐという訳にはいきませんから」

「ありがとう、助かります」




早速、惣一郎は裏庭にテントを出し、休みたいと言うセシルのベッドを整える。

意外と広い庭に、はしゃぎ回るベンゾウとクロ。

惣一郎はセシルの事を頼み、弁慶とふたりで買い出しに行く事にする。

町は人も少なく、店だけがやっている様な状態であった。

どうやら皆、葬儀に参列する為に、交代でマイズへ行っているそうだ。

葬儀は一ヶ月近く行われるそうで、国中から聖母スワロにお悔みや御礼を伝えたい国民が後を立たないという。

その護衛に町の冒険者も同行している為、少ないそうだ。

なので今いるのは、後続の護衛と他所から来た冒険者との事。


「なぁ、弁慶。クロガネって前の名前なのか?」

「いや、アタイ名前がなかったので冒険者登録の際、職員に、前に使っていた折れた大剣から、そう呼ばれてたのだ」

「なるほど、それで黒鉄ね~」

「今は弁慶って名前、すごく気に入っているぞ」

「どっちも、女性っぽくない名前だけどね~」

「旦那様! アタイを女と見てくれるのだな♡」

また抱きつかれ、足が浮く惣一郎であった。

そこに久々の登場! 柄の悪い冒険者であった。

「昼間っから見せつけるじゃね~か! あ~! 大層な名前で呼ばれてるそうだが、俺らの国じゃ通用し……」

柄の悪い冒険者が、話途中で弁慶にコメカミを掴まれ片手で持ち上げられている。

「アタタタ、離せコノ!」

「弁慶、俺はおろせ!」

すると仲間だろう背中に大楯を担いだ、大きな男が、

「おい! 仲間を離せ!」

っと、弁慶の腕を掴み、力を入れる。

弁慶は無視し、顔を掴んだ手に力を入れる。

「イタタタタタっ! 離せってオイ! 離せ!」

「アタイの旦那様に、喧嘩を売るのか?」

弁慶の腕を掴む大男も、両手になり顔を赤くしていた。

「弁慶、潰れちゃうから離してあげな」

コメカミに、指の痕をくっきりと残す男が、地面に落ち頭を抱えて転げ回る。

「貴様!」っと、大楯を構える大男。

大楯には棘が幾つも付いており、それ自体が武器の様だった。

それを前に勢いをつけタックルしてくる大男。

だが、弁慶に届く前に惣一郎の幻腕に、軽く止められる。

真っ赤な顔で足元に、二本線を作る大男に惣一郎は、

「ちょっと、こんなんでタックルされたら怪我するだろ?」

真っ赤な顔の大男は、そのまま横から弁慶に蹴られ、吹っ飛ぶ。

「旦那様は人気者だな!」

っと、ニコニコ笑う弁慶は、ちゃんと女だった。





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