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十三章

十話 【エリリンテ教国の姿】

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ジャガイモ…… いや、クルルーシェ料理を楽しみながら酒を出すと、村をあげての宴会になった。

笑って送ろうと……

皆各々に、思い出話を笑顔で語る。

涙が浮かぶ笑顔で、楽しそうに酒を飲む。

宴会は陽が落ちても続き、マイズの村は賑やかな夜を過ごす。

「惣一郎様、ロウガ殿がお着きになりました」

ロウガと一緒にガイロンも到着したそうだ。

「惣一郎殿、これは?」

明るい雰囲気の村に、戸惑うロウガ。

「送別会かな?」

「そ、そうですか…… そうですな! きっとスワロ殿も、その方が喜ぶでしょう」

墓に手を合わせ、ロウガも酒を飲む。

白銀の騎士ガイロンが手を合わせ、惣一郎に話しかける。

「ゴキコロリ殿…… 惣一郎とは?」

そういえば、名乗って無かったな……

ガイロンに事情を説明して酒を渡すが、見かけに寄らず飲めないそうだ。

「そうでしたか、あのジビカガイライの…… 聖母スワロ殿の事でジビカガイライも無関係ではないとは思っておりましたが……」

「聖母?」

「そうでした、此処へ来る途中連絡が入り、王家が解放されセシル様が全てお話に。それで王も、国の英雄の死には大変心を痛め、スワロ殿を聖母として認め、大々的に国葬を執り行うと」

「そっか、聖母スワロか……」

「ええ、教皇の反乱の後始末もあるので、国葬は五日後と決まり、早速伝令を国中に飛ばしたそうです」

「迅速な対応だな感謝するよ。それで教会は?」

「今のところは…… ですが葬儀の後、解散になるでしょう。責任は取らねば……」

惣一郎は黙って酒を飲んだ。




翌日、ガイロン達は王都へ戻って行き、ロウガも急な国葬に、準備が間に合わないとカーマへ帰っていった。

国葬は此処マイズで行われるそうで、午後にはすっかり元気になったクロイツが、マイズにロウガと入れ替わりで到着する。

最初は泣き通しだったクロイツも、領主として全力で任にあたると張り切り出す。

夕方には続々と近い村や町から人が集まり出し、準備が始まる。

イルマもスワロの後任として、大忙しであった。



二日後には、村の外にテントが並び、もう一つの町の様なものが出来上がっていた。

神木の周りには、スワロの墓に手を合わせる行列ができ、マイズの村の者が警備にあたる。

豪華な墓石をと話もあったが、惣一郎がこのままピノの作った物で頼むと、そのまま行われる事になる。


三日後には、村の外に大きな会場の様な物も出来上がり、続々と貴族達が到着する。

ガイロン達もその警護にとんぼ返りなのだろう、目に隈が出来ていた。

惣一郎は栄養ドリンクなどを配り、働く者を支援すると、効果大であり、みるみる会場が出来上がって行く。

国中からマイズへ向けての列ができ、手を合わせ戻って行く者、そのまま葬儀に参加する者など、マイズの村は人で溢れかえっていた。

商売を始める者も増え、吟遊詩人が脚色したスワロの物語を歌い、村を囲む様に数日で町が出来て行く。

エリリンテ本来の国民の強さを見て、悪い所ばかり見て来た惣一郎は、見直す事になる。

「これが、スワロが守りたがったこの国の本当の姿なんだな……」



国葬前日、王族が到着し、凄い数の軍の騎士達が、村の外で整列し、最高の敬礼を神木めがけ、し続ける。

厄災により多くの仲間を失った者達の、心からの礼が注がれる。

ギルド代表としてロウガの姿もあった。

ロウガと並ぶ、エリリンテ教国の宰相が、

「カーマ卿! 王が、ゴキコロリ様に御目通りを望んでおられる! 聖母様のお仲間にしてこの国の救世主だ、是非に!」


クロイツが額に汗を浮かべ、

「宰相様、それが……」



惣一郎達の姿は、すでになかった。





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