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十二章
三十二話 【情報の共有】
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冒険者達は五階層のボス、ベルフの上位種ライノルフに仲間をやられ、身も心も疲れ切っていた。
ライノルフに?
階層のボスが、ライノルフ?
なんかおかしい。
惣一郎達が一階層で倒しまくったゴドルは、ライノルフなんかよりも全然強い。
それがボス?
ダンジョンは入った冒険者達の力量で、出る魔物が変わるのか?
ベルフとライノルフの違いも分からない惣一郎は、不公平さを感じていた。
惣一郎は、有益な情報に欲を出し、美味い料理を並べ出す。
軽い酒も出し、冒険者全員にクリーンもかける。
驚きながらも、ダンジョンで出会った英雄の手厚いもてなしに、逆に不安になる冒険者達。
「それで、君たちはダンジョンで何か良いもの手に入れたかい?」
「い、いえ。今回は多くの犠牲を出したにも関わらず、まだ何も……」
なるほど、弱い敵じゃ報酬も見込めないのか……
それならいきなりゴドルの登場は、惣一郎にとって良い事なのだろうか。
夢中で食事を頬張る、5人の冒険者。
よっぽどお腹が空いていたのだろう。
「今回は、ここで帰るのか?」
「ええ、我々ではここらが限界ですので」
仲間を失ったんだ、もっと早く気付くべきだろう。
「しかし、ダンジョンが他の国と繋がっているなんて、きっと大騒ぎになりますよ! ダンジョンの謎がひとつ明かされたのですから」
だろうな…… 転移魔法の様なものだ。
交流に使われるならいいが、侵略にも利用されかねない。
いや、そうそう他の冒険者と繋がる事も無いのか?
「他にダンジョン謎って、どんなのが有名なんだ?」
「ダンジョンのですか? 魔物が何処から来るのかとか、帰りの魔法陣で迷子になる者もいるとかですかね」
ふむ。
「それと噂なのですが、先に進むボス部屋とは別に強いボスがいる部屋が存在するらしいと聞いた事が! なんでも宝箱が出るとか」
噂レベルなのかよ!
「そだ、もう一つ大事な事を聞いていいか?」
「ええ……」
「君たちに魔族はいるかい?」
「いえ、いませんが」
肩を落とす惣一郎を、不思議な目で見る腹の膨れた冒険者達は、食事の礼を言い魔法陣へと歩き出す。
「では、我々はこれで、色々ありがとうございました」
「ああ、モモによろしくな!」
「モモ?」
魔法陣が光り、5人は消えて行った。
惣一郎はテーブルを片しテントへ戻ると、弁慶が侃護斧を磨きながら、
「帰ったのか? 旦那様」
「ん? そう言えば顔出さなかったな」
「ああ、前に殴った事がある男がいたんだ」
えっ、あ、そうですか……
弁慶もアロスにいたんだったな……
詮索はやめておこう。
ベンゾウも起き出して、あくびをする。
「なんかあったの? ご主人様」
「ああ、ダンジョンの謎が少し分かった」
首を傾げるふたりだった。
その後、風呂を用意し直し、リラックス効果の高いラベンダーの入浴剤を入れ足を伸ばす。
ベンゾウも目を瞑って癒されている様だ。
「落ち着いたか? ベンゾウ」
「うん、もう平気」
「よかった、何かあれば相談しろよ」
「うん…… ご主人様…… あのね……」
「ん?」
「[ユーシャ]ってなに?」
ライノルフに?
階層のボスが、ライノルフ?
なんかおかしい。
惣一郎達が一階層で倒しまくったゴドルは、ライノルフなんかよりも全然強い。
それがボス?
ダンジョンは入った冒険者達の力量で、出る魔物が変わるのか?
ベルフとライノルフの違いも分からない惣一郎は、不公平さを感じていた。
惣一郎は、有益な情報に欲を出し、美味い料理を並べ出す。
軽い酒も出し、冒険者全員にクリーンもかける。
驚きながらも、ダンジョンで出会った英雄の手厚いもてなしに、逆に不安になる冒険者達。
「それで、君たちはダンジョンで何か良いもの手に入れたかい?」
「い、いえ。今回は多くの犠牲を出したにも関わらず、まだ何も……」
なるほど、弱い敵じゃ報酬も見込めないのか……
それならいきなりゴドルの登場は、惣一郎にとって良い事なのだろうか。
夢中で食事を頬張る、5人の冒険者。
よっぽどお腹が空いていたのだろう。
「今回は、ここで帰るのか?」
「ええ、我々ではここらが限界ですので」
仲間を失ったんだ、もっと早く気付くべきだろう。
「しかし、ダンジョンが他の国と繋がっているなんて、きっと大騒ぎになりますよ! ダンジョンの謎がひとつ明かされたのですから」
だろうな…… 転移魔法の様なものだ。
交流に使われるならいいが、侵略にも利用されかねない。
いや、そうそう他の冒険者と繋がる事も無いのか?
「他にダンジョン謎って、どんなのが有名なんだ?」
「ダンジョンのですか? 魔物が何処から来るのかとか、帰りの魔法陣で迷子になる者もいるとかですかね」
ふむ。
「それと噂なのですが、先に進むボス部屋とは別に強いボスがいる部屋が存在するらしいと聞いた事が! なんでも宝箱が出るとか」
噂レベルなのかよ!
「そだ、もう一つ大事な事を聞いていいか?」
「ええ……」
「君たちに魔族はいるかい?」
「いえ、いませんが」
肩を落とす惣一郎を、不思議な目で見る腹の膨れた冒険者達は、食事の礼を言い魔法陣へと歩き出す。
「では、我々はこれで、色々ありがとうございました」
「ああ、モモによろしくな!」
「モモ?」
魔法陣が光り、5人は消えて行った。
惣一郎はテーブルを片しテントへ戻ると、弁慶が侃護斧を磨きながら、
「帰ったのか? 旦那様」
「ん? そう言えば顔出さなかったな」
「ああ、前に殴った事がある男がいたんだ」
えっ、あ、そうですか……
弁慶もアロスにいたんだったな……
詮索はやめておこう。
ベンゾウも起き出して、あくびをする。
「なんかあったの? ご主人様」
「ああ、ダンジョンの謎が少し分かった」
首を傾げるふたりだった。
その後、風呂を用意し直し、リラックス効果の高いラベンダーの入浴剤を入れ足を伸ばす。
ベンゾウも目を瞑って癒されている様だ。
「落ち着いたか? ベンゾウ」
「うん、もう平気」
「よかった、何かあれば相談しろよ」
「うん…… ご主人様…… あのね……」
「ん?」
「[ユーシャ]ってなに?」
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