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十二章
二十四話 【鳥人】
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惣一郎は、開けた集会場の様な場所に案内されると、そこに年配だろう腰の曲がった鳥人が、杖をつきながら近付いて来る。
「飯の時間…… かな?」
「長老、さっき食べただろ」
ダメだこりゃ……
惣一郎の苦手なパターンだ。
「長老、ダンジョンへの挑戦者だ!」
「おお、そうかそうか…… ダンジョン?」
「長老は歳だな! えっと……そう、惣一郎! 代わって私が、話そう!」
大丈夫だろうか……
「ゴホン! え~ よく参られた挑戦者よ! ここは砂漠のオアシス、オイザネ! 我々はダンジョンを守護し崇める民、ルイマ族! 私は族長の[ルイザネ]と言う」
「お前さっきプルエって名乗っただろ」
「そうだった、これは長老のメモだった」
「え~ 族長のプルエだ」
「族長なのか?」
「そうだった、族長はそこの長老だった」
あかん! 逃げ出したい……
「ま~ あれだ、ダンジョンに挑戦するのなら、その力をまずは示してもらおう!」
「………」
「………」
「で、どう示すんだよ?」
「示す?」
「もういい! ダンジョンの場所さえ教えてくれ! 後は勝手に行くよ」
「ダンジョンは、誰でも入れる訳ではない! ここで力を示したものだけが、ダンジョンへ我々ルイマ族が導くのだ!」
「だ・か・ら! どう示すんだって聞いたんだろ!」
「そうだ! 思い出した!」
「そりゃ助かるよ! で?」
「ん? お前も食べに行くか?」
「何おじゃゴラ!!」
そこに杖をついた老人が近づいて来る。
「飯の時間かな?」
「おし! お前ら全員の羽むしって布団にする」
割とマジな惣一郎は、ベンゾウと弁慶に止められ、取り敢えず、監視に行ってるルイマ族の帰りを待つ事になる……
緑の多いここなら、大きいテントも問題ないだろうと、湖を見渡せる開けた場所にテントを出す様に、ベンゾウと弁慶に言われる。
「ええ~ もういいよ。他の国のダンジョン行こうぜ~ こんな所に長居したくないよ~」
完全にヘソを曲げた惣一郎だった。
「せっかくここまで来たんじゃないか、旦那様」
「そうだよ、きっと監視に行ってる人は、話の分かる人だよ! ねっ! ご主人様」
膝を抱えて湖を見る惣一郎は、仕方なくテントを出し、中へ入る。
癒されようと、大きな風呂で足を伸ばす。
入浴剤の匂いがテント中に広がり、落ち着きを取り戻す惣一郎。
夕飯は焼き鳥にしようと湯船の中で、ネットショップスキルで検索していた。
翌朝、早くから騒がしい音で目を覚ますと、何人もの鳥人達が空を旋回している。
監視が戻って来たのかな?
遠くの空には大きな影が見えた。
鳥人じゃ…ない……
大きな影と交戦している様に見えた鳥人が、次々とやられては落ちていく。
「ここにいたのか! 敵襲だ![ゲイトソーサー]が現れた!」
見た目じゃわからないが、プルエじゃない鳥人が、空から降り立ち、避難する様に指示する。
大きな影が近づいて来ると、そのゲイトソーサーの正体が見えて来た。
影じゃない、黒い大きなカラスだ!
鳥人の何倍もの大きな黒いカラスには、足が余計に付いていた!
カラスと空中戦を繰り広げている鳥人達が、槍を構え、一斉にカラスを襲う!
数本が刺さるが、当たらない槍が地面に降り注ぐ!
「危な! 確かに避難した方が良さそうだ」
ベンゾウ達に盾を持たせて、惣一郎は持っていた理喪棍に乗り、円盤と化したククリ刀を引き連れ上空へ向かう!
「下がってろ!」
惣一郎の声に、戦っていたプルエが気付き、皆に離れる様に指示を飛ばす。
大きなカラスも上空で、キラキラと銀に輝く理喪棍に気付き、惣一郎を襲う!
惣一郎は円盤を走らせ、あっさりカラスの翼を奪うと、黒い塊がそのまま落ちて行く。
追う様に地面に戻る惣一郎は、下で落ちてもがくカラスに、
「ベンゾウ! 任せた!」
っと大声を出す。
銀の閃光が、大きなカラスの首を刎ね、ゲイトソーサーを倒す。
上空で固まり見下ろす鳥人達の中、プルエが、
「す、凄い! 強いなお前! 何者だ!」
「………」
「飯の時間…… かな?」
「長老、さっき食べただろ」
ダメだこりゃ……
惣一郎の苦手なパターンだ。
「長老、ダンジョンへの挑戦者だ!」
「おお、そうかそうか…… ダンジョン?」
「長老は歳だな! えっと……そう、惣一郎! 代わって私が、話そう!」
大丈夫だろうか……
「ゴホン! え~ よく参られた挑戦者よ! ここは砂漠のオアシス、オイザネ! 我々はダンジョンを守護し崇める民、ルイマ族! 私は族長の[ルイザネ]と言う」
「お前さっきプルエって名乗っただろ」
「そうだった、これは長老のメモだった」
「え~ 族長のプルエだ」
「族長なのか?」
「そうだった、族長はそこの長老だった」
あかん! 逃げ出したい……
「ま~ あれだ、ダンジョンに挑戦するのなら、その力をまずは示してもらおう!」
「………」
「………」
「で、どう示すんだよ?」
「示す?」
「もういい! ダンジョンの場所さえ教えてくれ! 後は勝手に行くよ」
「ダンジョンは、誰でも入れる訳ではない! ここで力を示したものだけが、ダンジョンへ我々ルイマ族が導くのだ!」
「だ・か・ら! どう示すんだって聞いたんだろ!」
「そうだ! 思い出した!」
「そりゃ助かるよ! で?」
「ん? お前も食べに行くか?」
「何おじゃゴラ!!」
そこに杖をついた老人が近づいて来る。
「飯の時間かな?」
「おし! お前ら全員の羽むしって布団にする」
割とマジな惣一郎は、ベンゾウと弁慶に止められ、取り敢えず、監視に行ってるルイマ族の帰りを待つ事になる……
緑の多いここなら、大きいテントも問題ないだろうと、湖を見渡せる開けた場所にテントを出す様に、ベンゾウと弁慶に言われる。
「ええ~ もういいよ。他の国のダンジョン行こうぜ~ こんな所に長居したくないよ~」
完全にヘソを曲げた惣一郎だった。
「せっかくここまで来たんじゃないか、旦那様」
「そうだよ、きっと監視に行ってる人は、話の分かる人だよ! ねっ! ご主人様」
膝を抱えて湖を見る惣一郎は、仕方なくテントを出し、中へ入る。
癒されようと、大きな風呂で足を伸ばす。
入浴剤の匂いがテント中に広がり、落ち着きを取り戻す惣一郎。
夕飯は焼き鳥にしようと湯船の中で、ネットショップスキルで検索していた。
翌朝、早くから騒がしい音で目を覚ますと、何人もの鳥人達が空を旋回している。
監視が戻って来たのかな?
遠くの空には大きな影が見えた。
鳥人じゃ…ない……
大きな影と交戦している様に見えた鳥人が、次々とやられては落ちていく。
「ここにいたのか! 敵襲だ![ゲイトソーサー]が現れた!」
見た目じゃわからないが、プルエじゃない鳥人が、空から降り立ち、避難する様に指示する。
大きな影が近づいて来ると、そのゲイトソーサーの正体が見えて来た。
影じゃない、黒い大きなカラスだ!
鳥人の何倍もの大きな黒いカラスには、足が余計に付いていた!
カラスと空中戦を繰り広げている鳥人達が、槍を構え、一斉にカラスを襲う!
数本が刺さるが、当たらない槍が地面に降り注ぐ!
「危な! 確かに避難した方が良さそうだ」
ベンゾウ達に盾を持たせて、惣一郎は持っていた理喪棍に乗り、円盤と化したククリ刀を引き連れ上空へ向かう!
「下がってろ!」
惣一郎の声に、戦っていたプルエが気付き、皆に離れる様に指示を飛ばす。
大きなカラスも上空で、キラキラと銀に輝く理喪棍に気付き、惣一郎を襲う!
惣一郎は円盤を走らせ、あっさりカラスの翼を奪うと、黒い塊がそのまま落ちて行く。
追う様に地面に戻る惣一郎は、下で落ちてもがくカラスに、
「ベンゾウ! 任せた!」
っと大声を出す。
銀の閃光が、大きなカラスの首を刎ね、ゲイトソーサーを倒す。
上空で固まり見下ろす鳥人達の中、プルエが、
「す、凄い! 強いなお前! 何者だ!」
「………」
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