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第十一章

二十八話 【一號街】

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入り組んだ砦の中を、騎士の後を付いて行く。

所々で空が見えるが明かり取りだろう、木造の建築物は想像以上に巨大な様だ。

扉の前で止まる騎士は、

「ようこそ一號街へ」

っとドアを開ける。

扉の先には、街が広がっていた。

獣人達で賑わう街は、大型の商業施設の様でもあり、その全貌を見渡す事は出来ない大きさだった。

そのまま騎士は、一軒の大きな店に入って行く。

受付があり、ギルドの様だ。

「[ガラガ]を呼んでくれ」

受付の獣人女性に話す騎士は、

「俺はここまでだ、ここからギルド長のガラガが案内する」

すると奥から、弁慶ほどの大きな黒豹を色濃く残す獣人が現れる。

「おいおい、早すぎないか? 連絡があったのは二日前だぞ!」

砂漠越えはやはり、過酷な様だ……

「初めまして、ジビカガイライの惣一郎です」

ギルドカードを出し、自己紹介をする惣一郎。

「あ、あぁ、ガラガだ。一號街でギルド長をしている。連絡はヒロヨシーからも来ているよ」

周りが騒がしくなって来た。

「獣王の所へ案内しよう!」

騎士に礼を言い、ガラガと外に出ようとすると、

「よぉ! ガラガ。今ジビカガイライって聞こえたんだが、まさかその小さいおっさんじゃねーよな!」

まだ、絡むアホがいるのか…… まぁ、ザイラス
は同じギルドでも別物ってクオンも言ってたが……

「[オイド]! 貴様が気安く絡んでいい相手じゃないぞ!」

「いえ、構いませんよ。冒険者を続けたくないのなら、遠慮なくどうぞ!」

「ハッハハハ、聞いたかよ! 冒険者続けたくないのならだってよ! 笑わせてくれるぜ!」

惣一郎はこういう輩との会話がわからない。

そもそも会話が出来ない様な輩が、絡んで来るのだが、それも理解出来ない。

突然現れた無精髭に耳を付けた大男が、笑いながら惣一郎に掴みかかろうと一歩踏み出す。

その踏み出した足を鉄球が、地面にめり込ませると、幻腕が現れ、苦悶表情で屈む男の肩にそっと手を置く。

男の手に握られた不似合いな杖から、魔法を使うと思ったのだろう。

男の顔に見る見る汗が吹き出す。

足の痛みから魔法が発動しないんじゃない、魔力が乱されている事に気付く。

杖を手放し床に落とす。

肩の手が凄い力で掴んでいるせいでもある。

それだけで、男はガタガタと震え出す。

周りの冒険者達には理解出来ないだろう。

ただ肩に置かれた青い腕が、何もさせてくれないのだ。

「じゃ、もう冒険者に未練は無いですね?」

自分の過ちに気付く事も無い男は、ガタガタ震えながら、何を差し出せば許して貰えるかだけを、怯えた目で考えていた。

「惣一郎殿! もうその辺で!」

止めに入るギルマスが、天使にでも見えたのだろう。

だが、惣一郎は、

「駄目ダメ! 約束は約束ですよ!」

っと、潰れ屈む男の膝に鉄球が落ちる。

男の左足は原型を無くし、潰れ血溜まりを作っていた。

それでも叫ばないのは流石と思っていたら、泡を噴き出し気を失っていた。

「では、行きましょう!」

静まり返るギルドで、誰もが二度とジビカガイライに関わらない事を、固く心に誓っていた。

ギルドを出る惣一郎は外で、ギルマスが我に帰り追いかけて来るのを待つ。

ベリルが居るかもしれない街で、幻腕を使った事を反省する惣一郎。

何だか最近、我慢が出来ない気がする……

怒りが瞬時に染めて行く感覚に、このままでは本当に魔王に…… っと、改めて気を引き締める。

遅れて来るギルマスは、

「お、お待たせしました。こちらです……」

っと、恐る恐る先を歩き始める。

街の奥へと歩いて行くと、建物の一部が崩壊した大きな家へ入って行く。

ガラガが、その家の者に話しかけると、奥の部屋へ通される。

奥には包帯だらけで、傷を癒す獣人の男がいた。

ライオンの様な立髪で、顔半分を包帯で隠す筋肉質な男が、両脇にいる綺麗な獣人の女性に包帯を巻き直させていた。

「惣一郎ってのはあんたか?」

っと掠れた声だった。

ベリルの自爆に巻き込まれたのだろうか?

「初めまして、ジビカガイライの惣一郎です」

「よく来たな、一號街を仕切る[ジン]だ。あんたの事はパリコレから連絡があったよ」

「その怪我は、ベリルに?」

「ああ、野郎自爆に巻き込みやがって!」

回復薬を使いここまで回復したらしく、元はもっと酷い怪我だったのだろう……






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