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第十一章

十話 【惣一郎】

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魔獣の毛皮を腰に巻き、骨を幾つもぶら下げる緑の巨人。

右手に手入れとは無縁の大剣、左手には斧。

下顎から伸びた牙に頭頂部が禿げた長髪。

緑の大きな体には無数の古傷。

ハイオークの王が惣一郎を睨んでいた……

惣一郎は結界を解き、円盤を止めると鉄球を2個出し歩き出す。

遊ぶ気だ。

残ったハイオーク達も異様な空気に尻込みする。

王が咆哮を上げると、ビクっ!っとクオンの手が止まる。

大振りの剣が素知らぬ顔で近付く惣一郎を襲う。

だが振り抜いた王の手には大剣が無かった。

片腕だった男の左手には青く燃える手が、大剣の刃を掴み止めていた。

唖然とする王の顎に鉄球が飛ぶと、鈍い音を立て牙を折る。

たまらず半歩下がる王に、惣一郎は大剣を差し出す。

「ほら、忘れ物」

王の額に血管が浮き上がる。

言葉は伝わらなくとも意味は通じた。

怒りの咆哮と共に差し出された剣を掴み、斧を振り下ろす!

それを虫でも払うかの様に、幻腕で斧を叩き落とすと、また下から顎に鉄球が打ち上がる。

仰け反り天を仰ぐ王の握った剣が、まだ繋がる惣一郎の差し出した手に引き戻されると、鳩尾に銀の杖がめり込む!

が、それはあまり効いてない。

惣一郎が剣を離すと、怒り狂った王が剣を振り上げる。

そこに鉄球が振り上げた肘に飛ぶ。

振り上げた剣が勢いそのまま後方に飛んで行くと、鉄球が次々と王を襲う。

2個とは思えない数に見える鉄球が、王をボコボコにすると、意識を失くした王が膝から崩れる。

ドスン!っと前のめりに倒れる。

その首筋に、ザクっとククリ刀が飛んできて両断する。

惣一郎が振り返り、残った5匹のオークを見る。

止まっていた時間が動き出す様に、ベンゾウと弁慶が残りを始末する。

クオンはまだ止まっていた。

腕の中の治療中の冒険者は、既に息をしていなかった。

「な、何が、えっ、ハイオークですよ!」

クオンが動揺しながら口を開く。



唯一生き残った冒険者にクリーンをかけ、手当てをするが、ずっと黙ったままだった。

国境まで連れて行くしかなさそうだ。

王の魔石だけを取り、後は捨て置く。

クオンもいるし、討伐部位は必要ないだろう。

荷車に無口な冒険者を乗せ、惣一郎達はそのまま歩いて国境を目指す。

「ジビカガイライがここまでとは思いませんでした…… まさかハイオークの群れをたったの3人で…… しかも真っ正面からなんて、誰が信じるのか……」

「じゃ、内緒にしとこう」



人数も増えたので、予備にと新たにテントを組立て始める。

惣一郎は弁慶とふたりで組み立てていると、ベンゾウも手伝い出す。

片手での作業に、見てられなかったのだろう。

食事を振る舞い、休む事にする。

怪我した冒険者の治療にクオンも、新しいテントで休むそうだ。

王との戦いで余裕に見えたが、惣一郎はベッドに入ると、いつもより深い眠りに落ちる。





……

………くん

…………サトウくん!






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