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第十章
十七話 【手掛かりを求めて!】
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朝早く宰相さんが、一度アロスに戻ると顔を出してくれた。
「惣一郎殿、一応の解決は見えて来たので、国に戻って他の者に引き継ぐ事に。惣一郎殿も色々大変でしたの~ 腕を失う大怪我に、国の者も心配しておりますぞ」
「ご心配おかけして! でもほら!」
青く燃える腕が現れ、目を見開く宰相さん。
「はっははは~ 流石惣一郎殿ですの! タダでは転ばん! 国の者には心配ないと伝えておこう」
「ええ、道中気をつけて! みんなによろしくお伝え下さい」
宰相さんを見送り、テントを出ると惣一郎は驚く。
先日蒔いた芝がもう生えていた。
「これ大丈夫かな?」
テントを収納し、呪羅流民を持ってヒロヨシーに、王都を離れると伝えに行く。
「そうですか、もう少し休まれてからでも」
「もう大丈夫だ! それとコレ」
惣一郎はジュラルミンの小さなリングを渡す。
「何か分かればコールしてくれ、俺もベリルを倒せる手を探しに行くよ」
「わかりました…… 惣一郎殿! 色々と申し訳ありませんでした。これからは新たなワーテイズとして頑張ってやって行きます。ベリルについても何か分かり次第、連絡しますので」
「ああ、気楽に行こう!」
そう言うと惣一郎は、ギルドを出ようとするが、丁度現れた貴族に呼び止められる。
「惣一郎殿! 行くのか?」
ゴディップ領の貴族オーサムだ。
深々と頭を下げ、一連の事に謝罪するオーサム。
「これからは、両国の中心としてうまく橋渡しして行ってください。それでチャラです!」
「二度目の襲撃で命まで救われて…… なんと寛大な…… そうだ惣一郎殿、これを届けに来たのだった」
豪華な小箱だった。
「これは?」
「ワーテイズの宝だが、皆で話し合ってな、惣一郎殿に使って貰うのが良いだろうとな! 今回の謝罪と礼だ、遠慮なくもらってくれ!」
「では、遠慮なく……」
「道中気を付けて行かられよ!」
「ええ、皆さんもこれから頑張ってくださいね!」
ヒロヨシーもオーサムも見えなくなるまで手を振っていた。
王都を出ると、大きな荷物を積んだ荷車と馬車が同じ方向にゆっくり進んでいた。
クロもゆっくり歩いていたが、徐々に追いつく。
王都から出て行く者の様だった。
近付くと豪華な馬車から顔を出し叫ぶ男がいた。
「貴様! 貴様のせいで余は王都を追い出される羽目に!」
何を言っているのだろう?
すると弁慶が、
「旦那様、コイツ爆発の時いた貴族のひとりだ」
っと教えてくれた。
なるほど、王の近くで甘い汁を吸ってたダメ貴族がお取り潰しなったって言う…… 俺こんな奴助けて腕無くしたのか……
「聞いてるのか貴様!」
すると前を塞ぎ止め、降りてくる。
「貴様のせいで余の家が、財産が! どうしてくれる!」
「お前! 助けてもらってアタイの旦那様にお礼もないのかい!」
「うるさい! 大女は黙っとれ!」
「あ~あ、弁慶。お好きにどうぞ!」
荷車を降りる弁慶が暴れる。
侃護斧も使わず、馬車をひっくり返し、護衛も次々と宙を舞う。
「ヒィ~ 止めろ、おいコイツを止めろ!」
「なんで?」
「へ?」
元貴族も遠くに飛んでいく。
固まった荷車を押す連中に、
「付いてく人は選んだ方がいいよ」
っと言い、クロは何事もなかった様に歩き出す。
アホは何処にでもいるものだ……
学者のミズイラから聞いた街は、このまま北東へ国境を越え、隣国[ザイラス]へ入った先にある。
失われた魔法研究や陣唱紙を作れる者がいるかもと言うこの国に、ベリルの手掛かりを探しに行く!
まずはこの先にある[マハの村]を目指す。
また新たな旅の始まりでもあった。
「惣一郎殿、一応の解決は見えて来たので、国に戻って他の者に引き継ぐ事に。惣一郎殿も色々大変でしたの~ 腕を失う大怪我に、国の者も心配しておりますぞ」
「ご心配おかけして! でもほら!」
青く燃える腕が現れ、目を見開く宰相さん。
「はっははは~ 流石惣一郎殿ですの! タダでは転ばん! 国の者には心配ないと伝えておこう」
「ええ、道中気をつけて! みんなによろしくお伝え下さい」
宰相さんを見送り、テントを出ると惣一郎は驚く。
先日蒔いた芝がもう生えていた。
「これ大丈夫かな?」
テントを収納し、呪羅流民を持ってヒロヨシーに、王都を離れると伝えに行く。
「そうですか、もう少し休まれてからでも」
「もう大丈夫だ! それとコレ」
惣一郎はジュラルミンの小さなリングを渡す。
「何か分かればコールしてくれ、俺もベリルを倒せる手を探しに行くよ」
「わかりました…… 惣一郎殿! 色々と申し訳ありませんでした。これからは新たなワーテイズとして頑張ってやって行きます。ベリルについても何か分かり次第、連絡しますので」
「ああ、気楽に行こう!」
そう言うと惣一郎は、ギルドを出ようとするが、丁度現れた貴族に呼び止められる。
「惣一郎殿! 行くのか?」
ゴディップ領の貴族オーサムだ。
深々と頭を下げ、一連の事に謝罪するオーサム。
「これからは、両国の中心としてうまく橋渡しして行ってください。それでチャラです!」
「二度目の襲撃で命まで救われて…… なんと寛大な…… そうだ惣一郎殿、これを届けに来たのだった」
豪華な小箱だった。
「これは?」
「ワーテイズの宝だが、皆で話し合ってな、惣一郎殿に使って貰うのが良いだろうとな! 今回の謝罪と礼だ、遠慮なくもらってくれ!」
「では、遠慮なく……」
「道中気を付けて行かられよ!」
「ええ、皆さんもこれから頑張ってくださいね!」
ヒロヨシーもオーサムも見えなくなるまで手を振っていた。
王都を出ると、大きな荷物を積んだ荷車と馬車が同じ方向にゆっくり進んでいた。
クロもゆっくり歩いていたが、徐々に追いつく。
王都から出て行く者の様だった。
近付くと豪華な馬車から顔を出し叫ぶ男がいた。
「貴様! 貴様のせいで余は王都を追い出される羽目に!」
何を言っているのだろう?
すると弁慶が、
「旦那様、コイツ爆発の時いた貴族のひとりだ」
っと教えてくれた。
なるほど、王の近くで甘い汁を吸ってたダメ貴族がお取り潰しなったって言う…… 俺こんな奴助けて腕無くしたのか……
「聞いてるのか貴様!」
すると前を塞ぎ止め、降りてくる。
「貴様のせいで余の家が、財産が! どうしてくれる!」
「お前! 助けてもらってアタイの旦那様にお礼もないのかい!」
「うるさい! 大女は黙っとれ!」
「あ~あ、弁慶。お好きにどうぞ!」
荷車を降りる弁慶が暴れる。
侃護斧も使わず、馬車をひっくり返し、護衛も次々と宙を舞う。
「ヒィ~ 止めろ、おいコイツを止めろ!」
「なんで?」
「へ?」
元貴族も遠くに飛んでいく。
固まった荷車を押す連中に、
「付いてく人は選んだ方がいいよ」
っと言い、クロは何事もなかった様に歩き出す。
アホは何処にでもいるものだ……
学者のミズイラから聞いた街は、このまま北東へ国境を越え、隣国[ザイラス]へ入った先にある。
失われた魔法研究や陣唱紙を作れる者がいるかもと言うこの国に、ベリルの手掛かりを探しに行く!
まずはこの先にある[マハの村]を目指す。
また新たな旅の始まりでもあった。
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