202 / 409
第十章
十六話 【燃える幻肢】
しおりを挟む
あれから惣一郎は、食事をする時も箸を持たずじっと見ていたり、トイレのドアの前でずっと立ってたりと奇行が目立つ様になる。
ふたりの温かい目がムカつく惣一郎だった。
そしてふと思う。
俺、右利きじゃん!
箸を持つのもドアを開けるのも、いつも右手だった。
だからイメージが足りないのか?
いや、湯呑みが倒れたのがそもそも偶然?
でも惣一郎には何故か出来そうって思えて仕方がないのであった。
左でしてた事…… 防御?
弁慶に木刀を持たせて訓練に付き合って貰う。
ただ立つ惣一郎に木刀で殴りかかる様に頼めば、弁慶は嫌がるだろう。
なので右手で盾を持って構える。
弁慶が持つと短く感じる木刀で、惣一郎に襲い掛かる。
だが惣一郎は動かない!
弁慶も気付き、止めようとするが間に合わない!
そして木刀は惣一郎の頭に直撃し、砕ける。
「痛った!!!!」
それで済むのはプロテクターのおかげだろう。
「旦那様! すまん!」
「いやいいんだこれで、もう一度頼む!」
「だが……」
流石に嫌がるか……
「弁慶、頼むお前しかいないんだ!」
キュンとする弁慶は嫌々だが、新しい木刀を構える。
惣一郎は盾を持つのもやめ、ただ立つ。
結果は同じだった。
「痛っ………」
「旦那様、何がしたい?」
そりゃそうだろう、説明も無い。
だが説明しようも無いのだ!
「大事な事なんだ、頼む! もう一度」
ベンゾウはこの子の面倒は私が見なくては!っと優しい目で見ている。
惣一郎は、プロテクターを全て脱ぐ。
甘えだ、甘えがあるからだ!
流石に木刀でも防御力の無い惣一郎では死ぬだろう。
弁慶もそれには同意しない。
だが惣一郎の目は真剣その物だった!
覚悟を決める弁慶!
覚悟する惣一郎!
木刀が弧を描き風を切る!
「「「 !!!!! 」」」
惣一郎の左腕に、青く燃える透明な腕が木刀を受け止めている!
燃える腕はそのまま燃え尽きて消える……
なんじゃこりゃ!
「「「 なにそれ! 」」」
なんだいそりゃ!
左腕には…… 何もない。
が、コツは掴めた…… 気もする。
惣一郎は弁慶が持ってる木刀を取ろうと左腕を出すと、青く燃える腕が現れ、木刀を掴む!
驚き力を込める弁慶は木刀ごと惣一郎に引っ張られ、前のめりに膝を突く。
木刀を握っている弁慶は、燃え尽きて消える左腕を見ていた。
だが惣一郎も腰を下ろす。
「やばい…… 魔力消費半端ない」
魔力が作り出した[幻肢]であった。
3人とも、そのまましばらく固まっていた。
久々に風呂のテントを出し、湯を足して3人で浸かる。
惣一郎も弁慶のおっぱいに動揺せず入れる様になっていた…… チラ。
「癒されるな~」
「ご主人様の腕、カッコいい!」
「力も相当強かったぞ、旦那様」
「杖使えばもう少し使えるかな~」
のんびりとした時間が流れていた。
風呂上がりにアイスとビールを飲みながら、
「なぁ、学者の話にあった魔法研究が盛んな街に行ってみないか?」
「ベンゾウは何処でも一緒」
「アタイも何処でもついて行く」
惣一郎は明日、王都を出る事を決める。
ふたりの温かい目がムカつく惣一郎だった。
そしてふと思う。
俺、右利きじゃん!
箸を持つのもドアを開けるのも、いつも右手だった。
だからイメージが足りないのか?
いや、湯呑みが倒れたのがそもそも偶然?
でも惣一郎には何故か出来そうって思えて仕方がないのであった。
左でしてた事…… 防御?
弁慶に木刀を持たせて訓練に付き合って貰う。
ただ立つ惣一郎に木刀で殴りかかる様に頼めば、弁慶は嫌がるだろう。
なので右手で盾を持って構える。
弁慶が持つと短く感じる木刀で、惣一郎に襲い掛かる。
だが惣一郎は動かない!
弁慶も気付き、止めようとするが間に合わない!
そして木刀は惣一郎の頭に直撃し、砕ける。
「痛った!!!!」
それで済むのはプロテクターのおかげだろう。
「旦那様! すまん!」
「いやいいんだこれで、もう一度頼む!」
「だが……」
流石に嫌がるか……
「弁慶、頼むお前しかいないんだ!」
キュンとする弁慶は嫌々だが、新しい木刀を構える。
惣一郎は盾を持つのもやめ、ただ立つ。
結果は同じだった。
「痛っ………」
「旦那様、何がしたい?」
そりゃそうだろう、説明も無い。
だが説明しようも無いのだ!
「大事な事なんだ、頼む! もう一度」
ベンゾウはこの子の面倒は私が見なくては!っと優しい目で見ている。
惣一郎は、プロテクターを全て脱ぐ。
甘えだ、甘えがあるからだ!
流石に木刀でも防御力の無い惣一郎では死ぬだろう。
弁慶もそれには同意しない。
だが惣一郎の目は真剣その物だった!
覚悟を決める弁慶!
覚悟する惣一郎!
木刀が弧を描き風を切る!
「「「 !!!!! 」」」
惣一郎の左腕に、青く燃える透明な腕が木刀を受け止めている!
燃える腕はそのまま燃え尽きて消える……
なんじゃこりゃ!
「「「 なにそれ! 」」」
なんだいそりゃ!
左腕には…… 何もない。
が、コツは掴めた…… 気もする。
惣一郎は弁慶が持ってる木刀を取ろうと左腕を出すと、青く燃える腕が現れ、木刀を掴む!
驚き力を込める弁慶は木刀ごと惣一郎に引っ張られ、前のめりに膝を突く。
木刀を握っている弁慶は、燃え尽きて消える左腕を見ていた。
だが惣一郎も腰を下ろす。
「やばい…… 魔力消費半端ない」
魔力が作り出した[幻肢]であった。
3人とも、そのまましばらく固まっていた。
久々に風呂のテントを出し、湯を足して3人で浸かる。
惣一郎も弁慶のおっぱいに動揺せず入れる様になっていた…… チラ。
「癒されるな~」
「ご主人様の腕、カッコいい!」
「力も相当強かったぞ、旦那様」
「杖使えばもう少し使えるかな~」
のんびりとした時間が流れていた。
風呂上がりにアイスとビールを飲みながら、
「なぁ、学者の話にあった魔法研究が盛んな街に行ってみないか?」
「ベンゾウは何処でも一緒」
「アタイも何処でもついて行く」
惣一郎は明日、王都を出る事を決める。
28
お気に入りに追加
1,858
あなたにおすすめの小説
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる