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第十章

十四話【甲乙】

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翌日、朝から弁慶相手に爆発の跡が生々しい庭で、訓練に励んでいる惣一郎。

盾を4枚出し、右手で杖を構える惣一郎は、攻めて来る弁慶の攻撃を宙に浮いた4つの盾で受ける訓練だった。

侃護斧の攻撃は重く、いちいち次への初動が遅れ、毎度驚く所から攻撃が飛んで来る。

惣一郎に合わせ、手加減してくれているのだろうが、それでも惣一郎はよく受けている。

そこで惣一郎に、ふと疑問が生まれる。

弁慶の魔法で魔力の分だけ力が上がる侃護斧の一撃と、ベンゾウの魔力の分だけ重くなる魔法、どちらが強力なのだろう?

惣一郎はガチガチに防御を固めて、受ける覚悟を決める。

だが弁慶は尻込みしていた。

仕方ないので城の瓦礫を運び込みプロテクターや樹脂の盾などを重ね置く。

「これなら良いだろ? 本気で頼む」

コレならベンゾウも攻撃出来る。

「ご主人様、勝った方にご褒美は?」

「いや、勝ち負けじゃ無いよ、質の違いを把握したいんだ」

「旦那様、ご褒美は?」

「ん、だから」

「「 ご褒美は? 」」

「分かったよ、なんか美味しいデザートを!」

ニッ!っと笑うふたり、先行は弁慶の様だ。

侃護斧を構え、筋肉が大きくなると、はち切れそうな血管を浮き出し、身体中から蒸気を上げ出す。

え? 錯覚だよな?

集中し、頬が空気で膨れるとガキン!っと奥歯が鳴り、侃護斧を叩きつける!

一瞬、肘の関節が無くなった様に見え弧を描き、力に遠心力を加算すると、大きな音と大地を揺らし、ベリルの爆発並みの衝撃が走る!

ギルドの建物を揺らし、大きなクレーターが出来ていた。

瓦礫はプロテクター越しに粉々になっていた。

一発で魔力を使い切った弁慶はヘタり込み、満足そうな笑みをベンゾウに向ける。

「ご、ご主人様! 瓦礫! ガレキ!」

「へ? ああ……」

慌てて新たな瓦礫とプロテクターと盾を用意して置く。

先の弁慶の攻撃で、地球産の盾も変形し、次で確実に壊れそうだったからだ。

いつの間にか爆音を聞きつけギャラリーも集まっていた。

ベンゾウは、深く集中すると両手の國家と國千代から、黒いオーラがゆらゆらと炎の様に湧き上がる。

静寂が包む中庭で、分厚いメガネの少女は弁慶との体格差を思わせないオーラを発していた。

重心が落ちたと思った瞬間、残像を残し遥か上空まで飛び上がると、銀の流星になって真っ直ぐ瓦礫へと落ちて来る!

ドスン!っと瓦礫に飛び降りただけに見えた次の瞬間!

瓦礫の周りの土を筒状に盛り上げてドンドンドンっと三段回に瓦礫が地面に大きなクレーターを作って大地を揺らす。

瓦礫の高さ分地面にめり込ませると、ベンゾウがひらりと飛び降りた。

すると大きな瓦礫が賽の目状に切り崩れ落ちる。

何が起きているのか、惣一郎にもさっぱりわからなかった。

ニカ!っと笑うベンゾウだったが、判定が難しすぎる!

ギルドの窓から職員が拍手と歓声を上げる!

惣一郎は中庭を更に破壊した二つのクレーターを見比べる。

派手さで言えば弁慶だろう、瓦礫も粉々だ。

美しい攻撃という点ではベンゾウに芸術点が入る。

だが、威力は……

甲乙つけ難いが…… いやほんと甲乙…… ん?



「勝者、ベンゾウ!」

飛び交う拍手の中、喜ぶベンゾウ!

悔しそうな弁慶は、審査員に抗議に向かう!

「ではここで、審査員のヒロヨシーにお話を聞いてみたいと思います」

「今回、弁慶の敗因はなんだったのでしょう?」

「え~ 厳選なる審査の結果、どちらも素晴らしい演技でしたが、こちらをご覧ください!」

「えっと、盾ですね。あっ、コレは!」

「そうです、完璧に近い防御力を誇るこの盾、弁慶選手の盾には衝撃の跡はありますが、まだ盾として十分機能はするでしょう。ですが、ベンゾウ選手のこちらの盾をご覧ください!」

「放送席! 放送席! 見えますか? こちらの盾! 大きな傷が付いています! コレでは盾としてもう使えません!」

「そうです、この盾にここまで大きな傷を残したベンゾウ選手の威力が、勝負を分けました!」

弁慶は膝を突き、喜ぶベンゾウは、惣一郎に抱きつき「ご褒美!」っとキスをする。

ヒロヨシーは「中庭…… 元に戻しておいて下さいね」っと……

…………





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