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第十章
十話 【持病は巻き込まれ体質!】
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建物の中へ入って行くと、大部屋に元老院と呼ばれる5人の老人が惣一郎を立って出迎えてくれた。
「お初にお目にかかります、ジビカガイライの皆さん。私は[ドリス・レン・カザフ]と申します。どうか畏まらずドリスとお呼び下さい」
背の低い樽の様な老人が、両手で握手を求めて来る。
「初めまして、ジビカガイライの惣一郎と言います」
惣一郎は老人の手を握り返さざる得なかった。
次々と自己紹介と握手を求める老人達が、一巡するとドリスが、
「惣一郎殿、亡くなった王が起こそうとした厄災の被害を最小限で抑えて下さり、我々一同心より感謝申します」
深々と頭を下げるその一同。
マルジさんの言う様にワンマンな王だった様だ。
「では、ワーテイズはもうアロスと戦争をしないと言う事ですか?」
「もちろんです、王以外は最初から反対しておりましたゆえ」
ふ~ん……
「惣一郎殿! そろそろ本題へ」
「それで犯人について何か分かったのか?」
そこへ遅れて来た、別の貴族が入ってくる。
「すまん、遅れた! 私はもう大分聴き逃したかね?」
入ってきた50代位の男は、惣一郎を見るなり駆け寄り、
「ジビカガイライか! 惣一郎殿、何と礼を言えば良いか…… いやすまん! 初めましてだな[オーサム]だ、[オーサム・アリザネ・ゴディップ]」
ゴディップ? 聞いた事あるな。
「アロス国境近くのゴディップ領を任されていた者だ、ええい、細かい事はいい! 惣一郎殿のお陰で、我が領が、町も民も今があるのは其方のおかげだ! 本当に感謝する! 戦争にでもなったら我が領は……」
「オーサム! あとにせい!」
「おっと、そうだな」
王とアロスの元王子の計画で真っ先に被害が予想されたゴディップ領。
惣一郎が厄災の進行を止めた事で、領主であるオーサムも惣一郎に頭が上がらないという。
「では改めまして……」
事件の詳細と今後の方針を決める会議は数時間に及び、ベンゾウがクロに寄りかかり寝出すとつられて、元老院の老人2人もコックリし出す。
そしてこの会議、明日には各地から顔役が揃うので、その前哨戦的な物らしく、惣一郎にはベリルの事以外、関わりのない話ばかりであった。
逃げ出したい気持ちを抑えて、真顔を作り続けているとヒロヨシーが、
「では、それでいいですか? 惣一郎殿?」
「はっ、はい! 何でしょう?」
やばい、全然聞いてなかった。
………
「すいません、持病の通風が……」
………
ヒロヨシー
「で、では、惣一郎殿には後で私から…… 取り敢えずこの様に、我が国は予断を許さない状況で……」
そもそも俺は、何でここに?
遅くまで続いた会議は、惣一郎を置き去りにようやく終わりを迎える。
ギルドに戻るとヒロヨシーが、
「惣一郎殿、お疲れの所申し訳ありませんでした。だが惣一郎殿が居たおかげで、方針も決まりそうです」
「何でもいいが、俺は関係ないぞ国にもベリルの敵討ちにも、あまり担ぐなよ!」
「申し訳ないですが、今この国の」
「だ・か・ら! 俺は国民ですらないのよ! ベリルの件でって言うから付き合ったが、関係ない話ばかりじゃないか! 俺はのんびり旅がしたいんだ、悪いがもう会議なんかには参加しないぞ!」
「そんな、もう少し! もう少しだけ、お付き合い下さい! お願いします!」
「すまんが政治に利用されたくは無いんだ」
………
惣一郎はテントに戻り、ソファーで何やら作業を始める。
ダンジョンでもあれば遠くに行けそうだが……
「ご主人様、また船乗りたいね!」
「そうだな……」
「お初にお目にかかります、ジビカガイライの皆さん。私は[ドリス・レン・カザフ]と申します。どうか畏まらずドリスとお呼び下さい」
背の低い樽の様な老人が、両手で握手を求めて来る。
「初めまして、ジビカガイライの惣一郎と言います」
惣一郎は老人の手を握り返さざる得なかった。
次々と自己紹介と握手を求める老人達が、一巡するとドリスが、
「惣一郎殿、亡くなった王が起こそうとした厄災の被害を最小限で抑えて下さり、我々一同心より感謝申します」
深々と頭を下げるその一同。
マルジさんの言う様にワンマンな王だった様だ。
「では、ワーテイズはもうアロスと戦争をしないと言う事ですか?」
「もちろんです、王以外は最初から反対しておりましたゆえ」
ふ~ん……
「惣一郎殿! そろそろ本題へ」
「それで犯人について何か分かったのか?」
そこへ遅れて来た、別の貴族が入ってくる。
「すまん、遅れた! 私はもう大分聴き逃したかね?」
入ってきた50代位の男は、惣一郎を見るなり駆け寄り、
「ジビカガイライか! 惣一郎殿、何と礼を言えば良いか…… いやすまん! 初めましてだな[オーサム]だ、[オーサム・アリザネ・ゴディップ]」
ゴディップ? 聞いた事あるな。
「アロス国境近くのゴディップ領を任されていた者だ、ええい、細かい事はいい! 惣一郎殿のお陰で、我が領が、町も民も今があるのは其方のおかげだ! 本当に感謝する! 戦争にでもなったら我が領は……」
「オーサム! あとにせい!」
「おっと、そうだな」
王とアロスの元王子の計画で真っ先に被害が予想されたゴディップ領。
惣一郎が厄災の進行を止めた事で、領主であるオーサムも惣一郎に頭が上がらないという。
「では改めまして……」
事件の詳細と今後の方針を決める会議は数時間に及び、ベンゾウがクロに寄りかかり寝出すとつられて、元老院の老人2人もコックリし出す。
そしてこの会議、明日には各地から顔役が揃うので、その前哨戦的な物らしく、惣一郎にはベリルの事以外、関わりのない話ばかりであった。
逃げ出したい気持ちを抑えて、真顔を作り続けているとヒロヨシーが、
「では、それでいいですか? 惣一郎殿?」
「はっ、はい! 何でしょう?」
やばい、全然聞いてなかった。
………
「すいません、持病の通風が……」
………
ヒロヨシー
「で、では、惣一郎殿には後で私から…… 取り敢えずこの様に、我が国は予断を許さない状況で……」
そもそも俺は、何でここに?
遅くまで続いた会議は、惣一郎を置き去りにようやく終わりを迎える。
ギルドに戻るとヒロヨシーが、
「惣一郎殿、お疲れの所申し訳ありませんでした。だが惣一郎殿が居たおかげで、方針も決まりそうです」
「何でもいいが、俺は関係ないぞ国にもベリルの敵討ちにも、あまり担ぐなよ!」
「申し訳ないですが、今この国の」
「だ・か・ら! 俺は国民ですらないのよ! ベリルの件でって言うから付き合ったが、関係ない話ばかりじゃないか! 俺はのんびり旅がしたいんだ、悪いがもう会議なんかには参加しないぞ!」
「そんな、もう少し! もう少しだけ、お付き合い下さい! お願いします!」
「すまんが政治に利用されたくは無いんだ」
………
惣一郎はテントに戻り、ソファーで何やら作業を始める。
ダンジョンでもあれば遠くに行けそうだが……
「ご主人様、また船乗りたいね!」
「そうだな……」
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