異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第九章

二十九話 【温かい目】

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朝からカールは見本となるコップを持って、ガラス職人の元へ向かう。

弁慶は、見本と渡した柄の長い小さいスプーンを作れる木工職人を訪ねに出かけた。

惣一郎はハイジに何度もプリンを教えながら、ジュラルミン材を削っていた。

こういう時、役に立たないのがベンゾウである。

基本、食うか戦うしか出来ない。

そんなベンゾウが庭で、2本の小刀とお話している。

痛い子なのだろうか?

可哀想に、温かい目で見てあげよう。



午後、カールが戻ると表情が明るい。

「瓶の方は何とか揃えそうです!」

「良かった! それともう一つ頼みが!」

「ええ何でしょう?」

「カールもアイスの魔法、覚えて来てくれ!」

「え? は? 」

とんぼ返りで行ってもらう。

市場で買った木の実が、美味かったのである。

これでソースを作れば、かき氷も売れる! 

ふたりでなら、数も作れるだろう!

そんな事を考えていると、来客があった。

「お、来たかな?」

カールに頼んでいた職人のドワーフだった。

庭に大きな蒸器を作る事にした。

耐熱レンガで惣一郎が作ろうとしたが、後々修理や補修が出来る人が近くにいた方が良いだろうと、カールに頼んでおいた。

瓶を見せて、これが一気に40~50個は蒸せるサイズの蒸器を作ってもらう。

すると弁慶が帰ってくる。

「旦那様!」

「おかえり、大丈夫そうか?」

「旦那様、すいません殴ってしまいました」

あ……そう……

なぜ?

聞くのが怖かった。

「旦那、場所はここでええのか?」

「えええ、この辺でお願いします。あと使えるならこれを」

耐熱レンガを出すと、

「ほほぉ~ こりゃええレンガじゃの~ だが、これだと繋ぎの粘土との温度差で繋ぎが割れるの~」

流石ドワーフ!

ならと耐熱用のセメントを出す!

驚いていたが、使った事のない素材に職人魂に火を灯し、サクサクと作り始める!

「凄い!」感心する惣一郎は弁慶の件を後回しにする。

2時間であっさり作り終えたドワーフに、料金を払いお礼を言うと、

「明日までは使わんでの~」

と帰って行った。

入れ違いでカールが帰って来る。

「早かったな!」

「ええ、運が良く2回目で!」

まだ使えない蒸器を見て、驚くカールに使い方を教えておく。

惣一郎はその後、ジュラルミンを削ったり、木の実のソースを作ったりと忙しそうにしていたが、本人は、

「なんか文化祭みたいで楽しいな!」

っと、みんなに意味が伝わらない言い回しで、楽しさをアピールしていた。

弁慶は役に立てなかったと申し訳なさそうに、惣一郎を手伝い、カールは山積みの材木でサクサクスプーンを作っていた。

もちろん惣一郎が出した道具で!

ベンゾウはクロに寄りかかり寝ていた。

惣一郎は温かい目で見ていた。




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